第66回●タナトゥク ~医学の小さな物語~
2010 年 2 月 6 日 土曜日
小川 康 カテゴリー » ダラムサラ, チベット文化圏, 小川康のヒマラヤの宝探し,
小川 康の 『ヒマラヤの宝探し 〜チベットの高山植物と薬草たち〜』
四部医典を手にし、タナトゥクの絵解きを行なう筆者(写真提供 釜井様)医学タンカ一枚目「医薬の都タナトゥク」を御覧下さい。チベット医学の教えは、ここタナ(見て)トゥク(美しい)の都で授けられ、四部医典という、たった一冊の教典に全てがまとめられました。それに対して現代の医学のテキストは膨大な量にのぼり、本屋の一階が占められてしまうほどです。現代医学は連載が果てしなく大長編物語なのに対して、チベット医学は昔から語り継がれる小さな物語であるといえます。しかも四部医典は詩文形式で書かれていることから、より一層、親しみやすくなっているのです。私はそんな四部医典冒頭のタナトゥクの件(くだり)が大好きで、もう何百回、いや何千回と空想を巡らしながら暗誦したか分かりません。 (続きを読む…)

2009年4月15日、日本を離れてから十年、ようやくチベット医・アムチの資格を得て帰国の時が訪れた。しかし、残念なことに現代文明はまだ滅びておらず、大地に根ざしたチベット医学の出番はまだやってきてないようだ。ましてやチベット薬は日本では薬事法の関係で処方できない。ならば、この現代においてアムチとして何ができるのだろうか、と立ち止まって考えてみる。いま、日本で自分にしかできないことは何か、と、もう一度じっくり考えてみるも結論はでない。そうして富山の実家でのんびり過ごしていた4月27日、突然、富山の売薬をやろうと閃いた。もしかしたら久しぶりに食べた寒ブリ、甘エビ、ホタルイカたちが僕の深層心理に働きかけたのかもしれない。「おい、富山のブランドって最高だぞ」って。もっともすでにエッセー第27話において、チベット医学と富山の売薬には多くの共通項があることはすでに述べていたものの、まさか夢物語が現実になるとは、文字通り夢にも思っていなかったのが本音である。
「庭の松の木から10歩、南に進み、次に西に6歩・・・」





キーワード(タグ)からツアーを探す

