[バングラデシュ] クルナの見どころ

シュンドルボンへの船上では動物探し。「あっ!そこに動物が!」 シュンドルボンへの船上では動物探し。「あっ!そこに動物が!」

<ラジシャヒ>

バングラデシュ南西部に位置し、西はインドと国境を接し、コルカタ(インド)との往来を結ぶ交通の玄関口となっている。この土地の目玉は何といっても、インド・西ベンガル州とバングラデシュにまたがる世界最大のマングローブ林シュンドルボンであろう。大小の河川によって運ばれた土砂が堆積した広大な湿地帯は、潮の影響を受けやすくなっており、そのため内陸の河川はマングローブが生育しやすい汽水域となっていて、多くの動物が繁殖する生命の揺り篭としての役割を果たしてきた。一方、クルナ郊外に位置する小さな町バゲルハットには、バングラデシュを代表する15世紀のモスク群(世界文化遺産)があり、その歴史的な建造物を見ようと多くの観光客を集めている。他にも、バウルと呼ばれる吟遊詩人発祥の地といわれ、アジア人初のノーベル賞を受賞した詩聖タゴールの邸宅があるクシュティアの町も、ベンガルの文化的な側面を語る上で外せない場所の一つだ。

●バウル(吟遊詩人)の故郷で詩を聴く

ベンガル地方には、昔からバウルと呼ばれる吟遊詩人が存在していました。彼らはいかなる宗教にも属さず独自の信仰を持ち、エクタラと呼ばれる一弦琴などの演奏に合わせて信仰の歌を歌う修行者です。そんなバウルの中でも最も崇拝されているフォキル・ラロン・シャハの霊廟があるクシュティアには、現在も多くのバウルが暮らしています。

バウルの歌はユネスコ無形文化遺産に指定されている
霊廟の近くにあるラロンのモザイク画


●ベンガルを代表する詩聖タゴールが暮らした邸宅

アジア人初のノーベル賞を受賞した詩人ロビンドロナト・タゴールは、現在のインド、バングラデシュそれぞれの国歌を作詞・作曲した人物としても知られています。クシュティアにあるクティバリはかつてタゴールが暮らした邸宅で、現在は彼が生前愛用したベッドや調度品が展示されています。家の周囲の広々とした敷地には彼が愛した木や池もあり、地元の人々の憩いの場になっています。

晩年のタゴール
タゴールが来日時の写真も
生前タゴールが愛した木


●インドとを結ぶ国境の町

ベナポールの町は、国境を隔てて暮らす同じベンガル人の親戚を訪ねる人々や、満載の荷物を積んだトラックなどで賑わうインドとの陸路国境の町です。国境ゲート付近では私服警官が出入国者に目を光らせていて、実際に出国しない観光客も国境ならではの独特の緊張感を味わうことになります。

ベナポールを抜けたほとんどの人・車が、まずはコルカタへ向かう
国境の柱に描かれたベンガルの詩人、タゴール(左)とノズルル・イスラム(右)の肖像画


●世界最大のマングローブ林を船で訪れる

シュンドルボン国立公園(世界自然遺産)には、ベンガルタイガーをはじめ鹿や猿などの哺乳類、ワニなどの爬虫類や、その他魚類、鳥類など400種類近くの野生動物が生息しています。マングローブ林に船で到着した後は整備されたトレイルを歩く日帰りプランから、船内で数日間宿泊する本格的なプランまで様々。サイクロンが訪れる雨季は閉鎖になるので、入域は乾季に限られます。

この船着場からシュンドルボンへ船でゆく
マングローブ林内に整備された木道トレイル
警戒心が強く、姿を見せることはほとんどない
最大で体長7mに及ぶというイリエワニ


●歴史的なモスジット群

バゲルハットには、15世紀にイスラム神秘主義者のカーン・ジャハーン・アリ将軍によって建てられたモスジット群があり、世界文化遺産に指定されています。最盛期には360あったといわれるモスジットの内、現存するのは50ほど。その中でも、国内最大級のモスジット「シャット・ゴンブス・モスジット」は、バングラデシュを代表する歴史的なモスジットとして知られています。

シャット・ゴンブス・モスジット
男たちが石柱の修復をしていた
光と影が美しいモスジット内部
この地の開拓者カーン・ジャハーン・アリの霊廟