【バードウォッチングツアー添乗報告記】
1/14発 シジュウカラガンとカリガネの群れ 2日間

ツアー名:シジュウカラガンとカリガネの群れ 2日間

2017年1月14日(土)~15日(日) 
文●ツアーガイド:簗川 堅治(やながわ けんじ)



今季最強の寒波!北日本はすっぽりと寒気に包まれてしまいました。現地も1~10cmほど積雪になり、何より寒いです。ツアーはそんな中、始まりました。

本ツアーの狙いは、近年、大幅に飛来数が増えているシジュウカラガンの群れと普段は数羽程度でしか見ることができないカリガネの群れを見ることです。シジュウカラガンは昨シーズン2,000羽を越え、カリガネも20~80羽程度群れが見られる場所も分かってきています。今シーズンはどうでしょうか?

 シジュウカラガンとカリガネの群れ 1日目

 シジュウカラガンとカリガネの群れ 1日目

まずはシジュウカラガンです。いくつかの場所がありますが、そのうち一ヶ所です。5cm程度の積雪の中、田んぼを回っていると、雪が降ってきて結構はげしくなってきたので一時待機して止むのを待ちます。ようやく止んだので再び探します。マガン300羽程の群れの中にシジュウカラガンを見つけました。1、2、3…結局20羽以上のシジュウカラガンがいました。みなさんでゆっくりと観察撮影しました。


雪上のシジュウカラガン雪上のシジュウカラガン


20羽以上の群れでも感動ですが、狙いの数百羽、ましてや2,000羽の群れには程遠いです。それもそのはず、今シーズンは1,500羽程度来ているものの、何らかの理由で群れが分散し、数十~100羽程度の群れでしか見られていないのです。その代わり、あちこちで見られる確率は上がったようです。

別のシジュウカラガンの群れを探しに、また回ります。今度はヒシクイの亜種「亜種ヒシクイ」を見つけました。亜種ヒシクイは近年だいぶ減ってしまい、見るのが難しくなっているガンですから、これはラッキーです。30羽ほどをじっくりと観察しました。


亜種ヒシクイの群れ亜種ヒシクイの群れ

今度はカリガネの場所へ向かいました。カリガネはマガンにそっくりで条件がよくないとなかなかわからないと思われていますが、移動中の車内で「あっという間のカリガネの見分け方」を説明しました。これを習得すれば楽勝です。

ちょっと距離はあるものの、早速ガンの群れがいました。いよいよ現場実践です。みなさん思い思いに観察撮影です。すると、みなさん早くも「あっという間のカリガネの見分け方」を難なく習得したようで、「あっ、ここにも」「こっちにもいる」などなど自力で次々とカリガネを見つけていました。結局、100羽程度のマガンと一緒に20羽程度のカリガネを見ることができました。


採餌するカリガネの群れ採餌するカリガネの群れ

この日の最後はシジュウカラガンの落雁です。近年、シジュウカラガンが増えたと同時に化女沼をねぐらとすることがわかってきましたので、そこへ向かいます。日の入りにはやや時間がありますが、少しずつガンが帰ってき始めていました。湖面にはカワアイサやミコアイサなどのカモ類もいました。

日の入り時間をピークにマガンやシジュウカラガンが編隊を組み、湖面上できりもみして着水していきます。段々暗くなり撮影はおろか観察も難しくなってきましたが、マガンとは異なる「ファンファン、ファンファン」という声でシジュウカラガンだということが分かります。ざっとでしたが400羽程度のシジュウカラガンがいたと思われます。


 シジュウカラガンとカリガネの群れ 2日目

 シジュウカラガンとカリガネの群れ 2日目

化女沼での雁行を見るため日の出前に出発です。化女沼に着いた頃は雪が降っていてちょっと不安になりながら車内待機です。しばらくすると少し明るくなり小止みになったので観察撮影の準備をしました。西の空には大きな月が出ています。きれいです。だいぶ冷えたようで湖面はガンが降りている所以外は結氷していました。飛び立つ場所を絞れるのでラッキーです。

まずは「グワハン、グワハン」と濁った声の亜種ヒシクイが薄暗い中、次々と飛んでいきます。そのうち東の空はますます明るくなり、青空になってきました。朝焼けに照らされ北西の山が茜色になり、それを背景にしてマガンの群れがいくつも飛び立っていく光景は、実に至福のひととき。言葉も出ません。


一斉に飛び立つマガン一斉に飛び立つマガン

湖面で休むシジュウカラガンはやはり約400羽いるようです。その後、約10,000羽のマガンが一斉に飛び立って、我々の頭上を通過していきました。シジュウカラガンも混じっていました。圧巻です。

それでもシジュウカラガン約150羽の群れが残っています。するとシジュウカラガンも次々と飛び立ち、「ファンファン、ファンファン」と鳴きながら頭上を越えていきました。肉眼でも十分シジュウカラガンとわかる近さです。朝日に照らされながら飛んでいくマガンやシジュウカラガンは、本当にきれいで感動した場面でした。


朝日を浴びて飛び立つシジュウカラガン朝日を浴びて飛び立つシジュウカラガン

朝食後は田んぼで採餌するシジュウカラガンの群れや狩りをしたハヤブサ、コチョウゲンボウ、さらにミヤマガラス、ハクガンなどを観察しました。また、蕪栗沼も散策し、亜種オオヒシクイやトモエガモ、ベニマシコ、オジロワシなどを観察し、最後はカリガネの群れを観察してツアーを終えました。


ハクガン成鳥ハクガン成鳥

例年にない寒さでしたが、目的のシジュウカラガンの群れとカリガネの群れを堪能することができました。特に化女沼の雁行はベストコンディションで見ることができました。参加者のみなさん、寒い中、大変お疲れ様でした。


【おまけ】簗川さんによる手書きのおさらい


クリックでPDFファイルが開きます


【今回確認できた鳥達】


ヒシクイ、マガン、カリガネ、ハクガン、シジュウカラガン、コハクチョウ、オオハクチョウ、オカヨシガモ、ヒドリガモ、マガモ、カルガモ、ハシビロガモ、オナガガモ、トモエガモ、コガモ、ホシハジロ、キンクロハジロ、ホオジロガモ、ミコアイサ、カワアイサ、カンムリカイツブリ、キジバト、カワウ、アオサギ、ダイサギ、クイナ、オオバン、タシギ、クサシギ、トビ、オジロワシ、ノスリ、カワセミ、チョウゲンボウ、コチョウゲンボウ、ハヤブサ、モズ、カケス、ミヤマガラス、ハシボソガラス、ハシブトガラス、ヒバリ、ヒヨドリ、ウグイス、ムクドリ、ツグミ、ジョウビタキ、カヤクグリ、スズメ、ハクセキレイ、セグロセキレイ、アトリ、カワラヒワ、ベニマシコ、シメ、ホオジロ、カシラダカ、アオジ 計58種



 

風の鳥日和