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最後の桃源郷・瀘沽湖に歌垣と母系社会の残るモソ人を訪ねる(中国雲南省)

 

風光明媚な瀘沽湖

中国雲南省にある世界遺産の街・麗江。観光客の溢れるこの街のさらに奥地に、昔ながらの母系社会や通い婚、歌や踊りによる愛の交歓=歌垣の習慣を残す、どこか懐かしくなる人々が住んでいます。


最後の桃源郷・瀘沽湖

飼い葉桶のような船に乗る
モソ人

御伽の国のような可愛らしい水路のある世界遺産の古い街並みと、美しい玉龍雪山。独特の文化、宗教を持つナシ族の文化で有名な街・麗江が、四川省との省境にある瀘沽(ろこ)湖への入り口です。

観光客で賑わう、その麗江から250km程、瀘沽(ろこ)湖は青く光る静かな湖面 と10mを超すという透明度、そして、いまだに生き続ける母系社会と通い婚の里として有名です。最近中国国内の観光客が大量に来るようになりましたが、今も残る母系社会の習慣は日本人の文化の深層部にもつながっているせいか、どこかなつかしい気持ちになります。

モソ人の通い婚

伝統的なモソの村では、嫁は取らず嫁ぎません。男性は気に入った女性がいると金銀やアクセサリーを送り、その反応を確かめます。女性も気に入れば返しもので答えます。二人の気持ちが確かめられると男性は夜、彼女の家を訪れ朝まで過ごした後、実家に戻り、昼は実家の仕事をします。その関係がどれだけ続くかはお互いの気持ち次第だそうで、子供が生まれても、男は昼は実家に戻り、子供は母親とその兄弟姉妹や祖母によって育てられるそうです。

家は木造2階建て。2階には娘が恋人と過ごすための部屋が道路に面して作られています。 最近はアイデンティティに目覚めた人も多く「あそこがアチュが過ごす部屋だ」とか、「カマドの火は絶対に絶やさない」などと親切に解説をしてくれたり、お茶や食べ物を勧めてくれたりします。

興味本意に語られがちですが、限られた財産を分散させないように母から娘へと受け継ぐ母系社会と「阿注(アチュまたはアシャ)婚」と呼ばれる通い婚の習慣は、ヒマラヤの反対側のブータンから海を渡った我が国まで、広い範囲で古くから受け継がれてきた習慣です。 また日常生活の中でしっかりと相手を選び、贈り物や歌の交歓(歌垣)で愛を育むのは、日本の平安貴族が歌の交歓の果てに思いを遂げたのとまったく同じで、本来とてもロマンチックな習慣なのです。

モソ人の村を訪ねるのにオススメのお祭り


モソ人の女神を祀る転山祭り

旧暦の7月25日モソ人の女神ガンムが住むという獅子山で盛大なお祭りがあります。獅子山祭りとも呼ばれています。瀘沽湖(ろここ)周辺のモソ人たちがこぞってきれいな民族衣装に身を包み、山のふもとに集まります。もともとは自然崇拝のお祭りに、チベット仏教が習合したものらしく、チベット仏教僧が供え物を捧げお経を上げます。人々は宴や歌垣を楽しんだり、若い男女の出会いや告白の機会ともなっています。

歌垣が見られるモソ人の成人式

歌垣が最も華やかに見られるのは、中国の旧正月に行われるモソ人の成人式である「成丁礼」という儀式の時です。この日、数えで13歳になった少女少年たちが成人式を済ませ、大人の仲間入りを果 たします。(実際には17、8歳からアチュ婚を始めます。)この日、女の子はそれまでのお下げ髪に毛糸を編み込み、頭にグルリと巻き、花を飾ります。古い服を脱ぎ、赤い上着と白いギャザースカートを履き、カラフルな腰巻きを締めると、すっかり一人前の顔をしています。男の子も新しいズボンと短い上着に履き替えます。カマドの神に挨拶をし、豚肉の塊と食料袋を踏みます。将来食べ物と着るものに困らないという意味があるそうです。成丁礼が終わると人々は聖山獅子山にお弁当持参でピクニック。線香の煙がモウモウと立ち上り、若い男女は歌や踊りで互いの気持ちを伝えあう歌垣に参加するのです。

瀘沽湖へのいざない

もともと、標高が高くあまり豊かとは言えないこの地域では、限られた家畜や耕地を分割しないため、母親を中心とする家族を構成することは、ある意味自然なことでした。この社会では母権が非常に強く年長の女性が家の運営を行います。ここは本来、何事も女性主導の土地柄。「通い婚、夜這いの習慣」といった、変な期待に胸を膨らませた男性ばかりではなく、是非女性にも訪れて頂きたいところです。強くてやさしい女性たちに刺激を受けることでしょう。