添乗報告記

大塚めぐみがご案内 アンコールワットとカンボジア周遊スペシャル8日間(2008年12月)

 

2008年12月27日〜2009年1月3日  文●鈴木雅子(東京本社)

風の旅行社ではカンボジアという新しいエリアのツアーに取り組み始めました。2008年の年末には特別企画ツアーを設定し、私、鈴木が添乗員として行って来ました。今回はカンボジア在住の大塚めぐみさんが特別ガイドとして同行し、現地に住む人の視点から今のカンボジアについてたくさん教えていただきました。巷にはアンコール遺跡だけ訪れるカンボジアツアーがほとんどですが、このツアーは日本人観光客がほとんど来ない首都プノンペンやコンポントムという田舎にも訪れる、世にも珍しい(?)カンボジアツアーです。


スケジュール

 1日目:東京・大阪⇒(乗継)⇒プノンペン

 2日目:プノンペン

 3日目:プノンペン⇒コンポントム

 4日目:コンポントム⇒シェムリアップ

 5日目:アンコール遺跡観光

 6日目:アンコール遺跡観光

 7日目:シェムリアップ⇒(乗継)⇒

 8日目:⇒東京・大阪

完成された美しさのアンコール・ワット



2日目 カンボジアの悲しい過去と、現在を一生懸命生きる子供たち

旅は首都のプノンペンから始まります。プノンペンの街は整然と区画整理され、道路は広くて交通量も多い大都市です。まず、カンボジアの大きな歴史の流れを掴むため、王立博物館を見学します。そしてフランス統治時代に立てられた煌びやかな王宮やポルポト時代に知識人が収容され拷問されたトゥールスレン刑務所、伝統舞踊を教える孤児院を訪れ、カンボジアの近代、現代について知ります。トゥールスレン刑務所はポルポト派の残虐行為を後世に伝えるため、博物館として残されています。実際に使われていた拷問器具や拷問の様子を残した写真等が生々しく展示されています。当時の悲惨な状況を目の当たりにしてお客様は声が出ないほど衝撃を受けられていました。「歯を見せて笑ってはいけない」という注意を促す絵が張られていて、それがさらにこの場所の悲惨さを際立たせていました。次に、子供たちに将来の糧となる技術を身に付けさせるために伝統舞踊を教えている孤児院を訪れます。カンボジアにはポルポト時代の影響または感染症等の影響により、孤児がたくさんいるのです。嬉しいことに子供たちが衣装に着替えて私たちを出迎え、アプサラダンスを始めとするカンボジアの伝統舞踊を披露してくれました。お客様は、子供たちが真剣に、生き生きと踊る姿に感動されていたようでした。最後は子供たちと一緒に歌いながら輪になって踊り、心温まるひと時を過ごしました。彼等の境遇は決して恵まれているとは言えませんが、一生懸命生きる姿に私たちが逆に勇気付けられました。

笑うべからず

生き生きとした表情で踊る孤児院の子供たち

(撮影:宗像良保様)


3日目 林の中にある謎に包まれた遺跡と、美しい田園

プノンペンからコンポントムへ車で移動します。コンポントムは観光客がほとんど訪れない田舎の町ですが、この町の近くに、まだ発掘中のソムボープレイクックという遺跡があるのです。ここは前アンコール時代の7世紀ごろに建てられたと言われていますが、この遺跡がどんな意味を持つかはまだ解明されておらず、謎に包まれています。林の中にレンガで造られた八角形の特徴的な祠堂がたくさん点在していて、整備されたアンコール遺跡群とは違い、祠堂は草木に覆われて崩れているものもあります。ヒンズー教の遺跡にはいたるところに、神の象徴であり、男性器に模したリンガと呼ばれる石造品がありますが、そのリンガが草に埋もれながら無造作に置かれていることが印象に残りました。また、この遺跡は広大な田園地帯の中にあるので、移動途中には高床式の住居が点在し、農村の生活を垣間見ることができます。道には牛や豚が行きかい、なんとものんびりとした空気。一面に広がる田園に夕日が沈む様子は時間を忘れる様な美しいものでした。

林の中のソムボープレイクック遺跡

のんびりと牛が歩く(撮影:宗像良保様)


4日目 カンボジアの豊かさの象徴・トンレサップ湖

コンポントムからシェムリアップへ車で移動し、その後トンレサップ湖に向かいます。この湖は「伸縮する湖」といわれ、雨季には乾季の約3倍の面積に膨れあがります。淡水魚がたくさん獲れ、漁獲量は世界でも有数です。小型ボートに乗り、トンレサップ湖を周遊します。沖に出ると地平線まで湖が広がり、その大きさは湖というより海という感じです。河口付近にはボートの上に家屋を作り、水上生活をしている人の集落があります。この集落には商店や病院、警察署、役所、教会、小学校まで普通の村にあるものならなんでもあり、全部水に浮いています。小学校には体育館もちゃんとあり、もちろん水に浮いています。ある民家にお邪魔し、生活の様子を見させていただきました。中はきっとみなさんが想像されるよりも広く、電気も発電していて、蛍光灯、テレビ、ガスコンロ、扇風機等もあるのです。犬も飼っています。水上生活というとかなり難しいものと思われそうですが、人々は特に不自由なく普通に生活しているのです。家族は最初照れくさそうにしていたのですが、最後は笑顔でバイバイと手を振ってくれました。カンボジアの人はシャイな人が多く、積極的に話しかけてきたりすることはあまりありませんが、こちらから話しかけるといつもやさしい笑顔で返してくれます。今回のツアーでも写真が好きなお客様はカンボジアの人々の笑顔に惹かれてたくさん写真を撮っていらっしゃいました。

家庭に野菜を売って周ります

お邪魔しました!ありがとう!


5日目 遂にアンコール・ワットへ

アンコールワットの塔を

下から見上げる

この日訪れたのが、アンコールの2大遺跡、アンコール・ワットとアンコール・トム。アンコール・ワットはカンボジアの国旗にも描かれている完成された外観が美しく、参道に進むと正面に見えてくるその佇まいにとにかく圧倒されます。壁面を飾る何体もの女神像は1体1体顔つきやポーズが違い、その美しさに思わずため息が出るほどです。アンコール・トムは周囲約12kmもある巨大な都市遺跡です。アンコール・トムとは大きな町という意味。巨大すぎて門を入っても中の建物が全く見えず、門の中に入った後も車に乗って移動します。一番の見所であるバイヨン寺院は仏教を信仰していたジャヤバルマン7世によって建てられたため、ヒンドゥー教の影響の強い他の多くのアンコール遺跡と違って、仏教とヒンズーが混合した珍しい寺院です。そのため、仏教になじみが深い日本人には、どこか心落ち着く感じがします。夕方にはプノン・バケンという丘に登ります。丘の上にある神殿に登るとアンコール遺跡群を見渡せるパノラマが待っているのですが、神殿の階段がとても急で、斜度は約60度。階段は幅が10センチもないところがあり、足を置くのも大変。みなさん緊張しながらなんとか登り、そこから見られる景色と夕日に感動されていました。そしてこの日は大晦日。ホテルにてアプサラダンスのディナーショーを楽しみ、最後にカウントダウンも行われ、半分くらいのお客さんが日付が変わるまで参加されていました。


一体一体表情の違う

アンコールワットの女神

(撮影:宗像良保様)

バイヨン寺院の観世音菩薩


6日目 ラピュタ降臨! 〜自然の驚異を知る〜

ガジュマルの木が寺院を覆う

朝5時に起きて、アンコールワットへ初日の出を見に出発します。さすがに元旦ということで、多くの人が詰め掛けていました。ただ、この日は残念ながら雲が出ていて太陽を見ることができませんでした。カンボジアの太陽はカンボジア人と似てシャイなのでしょうか。一度ホテルに戻って朝食を食べてから、前日に引き継ぎ、4つのアンコール遺跡を観光します。特にオススメはタプロームという寺院遺跡です。寺院にガジュマルの木の根が絡み付いています。ここは自然の力が分かるようにあえて寺院を覆った木を取り除いたり、修復を加えないまま残されています。実は、天空の城ラピュタのモデルにもなった場所で、木が建物を飲み込み覆いかぶさる姿は正にラピュタの世界!自然の驚異を感じます。

2日間という短い時間でも実感するのはアンコール遺跡の規模の大きさです。ひとつひとつの遺跡の美しさもさることながら、これだけの遺跡がほぼ同じ時期に作られたということに、この国がかつてどれほど繁栄し、人々の英知がどれほど深かったのかと思いを馳せずにはいられません。また、アンコール遺跡を観光する前に、大塚さんがヒンズー教やカンボジアの歴史について分かりやすく時間をかけて説明してくれていたので、お客様には事前にしっかりとした予備知識を持って、興味深く見学していただけました。

7日目 カンボジアのお袋の味

午前中はアキラ地雷博物館を見学します。ここは今も地雷撤去作業を行っているカンボジア人のアキラさんにより地雷問題について理解してほしいという思いから作られました。多数の地雷と兵器、地雷の処理方法等が展示されています。内戦が終わって一見平穏な日々が訪れたカンボジアですが、国内にはまだ多くの地雷が埋っていて、それにより苦しんでいる人がまだまだいることを思い知らされます。

最後に、旅の締めくくりとしておいしいカンボジア料理が待っていました。ナマズのフライや干し魚、小魚を塩漬けにして発酵させたプラホック等のカンボジア家庭料理をお出しし、お客様には大変好評でした。これらの料理はレストランのメニューには出ていないもので、大塚めぐみさんがレストランにお願いをして出してもらいました。きっとこんなコッテコテのカンボジア料理を体験できるのは恐らく風だけでしょう。実は、カンボジアはとても料理がおいしい国です。カンボジア料理は中華料理とタイ料理の中間の様な感じですが、中華ほど油っぽくなく、タイ料理ほど辛くなく香草も強くないので、日本人にはとても食べやすいです。野菜やスープが多く、味付けもあっさりしているので食べるとなんだかホッとします。お客様にはいつもお腹いっぱい召し上がっていただきました。

ナマズのフライ

塩辛に似ているプラホック

あっさり味でホッとする


今回のツアーでは単に遺跡を見るだけでなく、カンボジアの暗い過去や現在を一生懸命生きる人々に触れ、いろいろなカンボジアを体感いただけたと思います。カンボジアはまだまだ経済的には貧しい国ですが、国中に広がる豊かな田畑、魚の宝庫であるトンレサップ湖があり、人々は幸せそうに暮らしています。カンボジアは、素朴な笑顔が本当に素敵な国なのです。

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