添乗報告記

添乗報告記●中国雲南省 シャングリラの仮面舞踏 ゴドン祭(格冬節)と虎跳峡 6日間(2010年末)

 
麗江到着前に右手に見える玉龍雪山

麗江到着前に右手に見える玉龍雪山

2010年12月30日〜2011年1月4日 文●得田 充(東京本社)

毎年旧暦の11月29日に行われる雲南省最大のチベット仏教のお祭り、ゴドン祭に向けて、日本→上海→昆明→麗江へと飛行機を乗り継ぎ、麗江からは車にゆられシャングリラを目指しました。

スケジュール

 1日目:東京・大阪⇒(乗継)⇒昆明

 2日目:昆明⇒麗江

 3日目:麗江⇒香格里拉(シャングリラ)

 4日目:香格里拉(シャングリラ)

 5日目:香格里拉(シャングリラ)⇒麗江⇒昆明

 6日目:昆明⇒(乗継)⇒東京・大阪



まずは世界遺産の麗江旧市街へ

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1996年の地震以来、整備された町並みは、昔を知る人には少し派手になって残念との声も聞かれます。確かにそういう面もありますが、石畳と水路が張り巡らされた町はゴミもなく、水の流れが目印となるのでふらふら歩いても迷いません。日本からの長いフライトで疲れた体には、ちょうどいい町並みでした。夜になると表通りはネオンがギラギラしていますが、一歩裏通りに入るとそこはやはり世界遺産に指定されるだけの町並みで興味をそそる路地がひろがっていました。ゆっくりと町歩きをしたい方は午前中がおススメです。今、国内旅行ブームの中国はお昼過ぎには観光客で町はごった返しています。

旧市街を見下ろせる万古楼からはくっきりと玉龍雪山が見え、幸先の良いスタートとなりました。


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水路が張り巡らされた石畳の町

麗江旧市街より玉龍雪山を望む

麗江旧市街から眺める玉龍雪山



天気に恵まれた玉龍雪山(5,596m)

3,400mで順調に高所順応中

3,400mで順調に高所順応中

天候の良さに胸を弾ませながら玉龍雪山の展望台・耗牛坪(もうぎゅうへい 3,700m)へと向かったのですが、途中のチェックポイントで強風のためゴンドラ運行中止との知らせが入りました。麗江の町から見えた山頂にちょこんと乗っかるようにかかる雲。それは上空で強い風が吹いていることを示すレンズ雲だったのです。急遽、目的地を変更し、雲杉坪(うんさんへい 3,400m)へと向かいました。

鋭鋒と彩雲

鋭鋒と彩雲

(クリックで拡大)

日本のスキー場にあるのと同じゴンドラに乗り展望台を目指しました。(ひと昔前はゴンドラではなく剥き出しのリフトでした)ゴンドラを降りてからは整備されたほぼ平坦な林道が展望台エリアまで続くので、無理なく歩くことが出来ました。展望台エリアに着くと視界が開け、目前に広がる玉龍雪山がばっちり見え、皆さん不調を訴えることなくゆったりとした雲杉坪のハイキングコースで高所に体を慣らしていきました。

心配していた強風に煩わされることなくゴンドラで下りてくると、玉龍雪山に遮られ太陽が早くも沈もうとしていました。鋭く尖った稜線に沈む夕日を眺めていると雲が緑や赤に彩られてきたのです。ほんの10分ほどの出来事でしたがなんともラッキーな彩雲天空ショーが見られました。


虎跳峡を突っ切りシャングリラへ

通常の観光では虎跳峡の入り口(上虎跳)を見学し、一旦引き返して別のルートからシャングリラを目指しますが、今回は両岸にそそり立つ玉龍雪山(ぎょくりゅうせつざん 5,596m)と哈巴雪山(はばせつざん 5,396m)に挟まれた道を上・中・下虎跳と最後まで車で進みました。谷底から山頂までは高低差が3,790mもあり、壁が崩れだすのではないかという迫力はとてもカメラには収まりきりません。

激流を見下ろしながら進む道(上虎跳)

激流を見下ろしながら

崖上の道を行く

斜面をうまく利用して農業を営む小さな村

斜面をうまく利用して

農業を営む小さな村

虎跳峡を振り返る この谷を通ってきました

虎跳峡を振り返る この谷を通ってきました


シャングリラと名付けられた町

シャングリラに到着したのは夜で、この日はそのまま眠りにつきました。

朝目覚めると町全体が銀世界に包まれていて、雪化粧をした松賛林寺は幻想的な雰囲気を一層強めていました。朝食時にはシンシンと降っていたこの雪は太陽が昇り始め、観光に出かける頃にはピタッとやみ、雪景色が幻であったかのようにすっかり姿を消してしまいました。乾燥した高所の雪は強い日差しで驚くほどあっさりと溶けてしまいます。

夏は避暑地として観光客が多く訪れるこの町も、寒さの厳しい冬に訪れる人はほとんどいません。ガイド曰く、シャングリラの住人には酸素手当てが給付されるとのことです。それだけ高所で暮らすということは想像以上に負担がかかることなのでしょう。

雪化粧の松賛林寺

雪化粧の松賛林寺


チベット族 民家訪問

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雪が降ったことで寒さはそれほど感じなかったのですが朝の気温はマイナスでした。朝日の届かない日陰の路面は凍り、先へ進めなくなったので予定を繰り上げ、民家にお邪魔することになりました。予定よりずいぶん早くなった訪問にもすぐにストーブに火を入れてくれ、バター茶とツァンパで温かくもてなしてくれました。チベット文化圏で民家を訪ねるといつも感じることですが、田舎のおばあちゃんの家に行った時の安心感があります。言葉では表現できない温かいものが伝わってくる。それが民家訪問の魅力ではないだろうかと改めて感じさせてもらえるお宅でした。


ゴドン祭(格冬節)チベット仏教ゲルク派寺院 松賛林寺

ゴドン仮面舞踏1

ゴドン仮面舞踏2

ゴドン仮面舞踏3


チベット仏教によると死後、7日間の間に32の閻魔様の手下に会うといいます。その手下を仮面を纏った僧侶たちが演じるというのがこのゴドン祭です。言葉にするとなんだか厳粛な祭のように聞こえるかも知れませんがそんなことはありませんでした。演目が行われるのは寺院の中庭でそれほど広さはなく、観客席が用意されているわけではないので、見物人はおしくらまんじゅう状態です。少し移動するだけでも大変ですが、そこは譲り合い、助け合いの精神で、会場は笑い声が飛び交う終始和やかな空気に包まれていました。

農業で生計を立て、自然と共に暮らす彼らにとってこの日は、往く年に感謝し、来る年の豊穣を祈願する日でもあります。前日の雪景色とは打って変わって、雲ひとつない青空となり吉報の巡り合わせでした。

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じっと祭を観賞するおばあさんたち

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どの国でも縁日は子供の楽しみ

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青空の下、雪山と鮮やかな装束が映えていました

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中庭を埋め尽くすチベタン


少し高いところに陣取った4人組みのおばあさんたち。人が前を通ると視界が遮られて演目が見えなくなってしまいますが、おばあさんたちは何度も目の前を通り過ぎていく人たちがいても、嫌な顔ひとつせず、ただただじっと座っていました。もしかすると寒さでジッとしていただけなのかもしれませんが、とても大きな心で祭を楽しんでいるように感じられました。

日本人観光客は我々だけ、他に観光客はちらちらと見受けられる程度で会場はチベット族の人たちで埋め尽くされ、民族衣装を纏った女性の鮮やかなピンク色が印象的でした。演目もさることながら、この土地で暮らすチベット族の人たちに思いを巡らせるのもまた、祭の楽しみです。

表情を変える山の景色や、観光化されていないそのままの暮らしぶりを垣間見ることが出来た雲南の旅でした。