添乗報告記

添乗報告記●中国貴州省 ヤオ族、スイ族、ミャオ族の暮らしと世界遺産のカルスト地形をたずねる7日間(2011年12月)

 

ミャオ族が歌と晴れ着でお出迎え(季刀村)

ミャオ族が歌と晴れ着でお出迎え

スケジュール

 1日目:東京・大阪⇒(乗継)⇒貴陽

 2日目:貴陽⇒茘波⇒瑶麓⇒茘波

 3日目:茘波⇒小七孔⇒大七孔⇒茘波

 4日目:茘波⇒三都⇒石橋⇒青曼

 5日目:青曼⇒西江

 6日目:西江⇒季刀⇒貴陽

 7日目:貴陽⇒(乗継)⇒東京・大阪

2011年12月29日〜2012年1月4日

文●山田基広(東京本社)

貴州省はいわずと知れた少数民族地帯。

中国国内の55の少数民族のうち17の少数民族が貴州におり、省の総面積の60%近くが少数民族自治区。さらには人口の4割近くが少数民族という、中国では広西、雲南についで少数民族が多く住む地域です。

なので、漢民族が集中する貴陽や凱里(ガイリ)の都市中心部以外の、ちょっとした農村部に足を伸ばせば、いたるところに各民族ごとの独自の文化がこんな時代でもちゃんと残っています。

今回の旅で訪れたのは、ヤオ族、スイ族、ミャオ族の3つの民族の村々。

世界遺産「中国南方カルスト」を訪問でき、民族の暮らしにふれることができる貴州は今なお、魅力的な場所でした。



世界遺産「中国南方カルスト」の観光地のひとつ「大七孔・小七孔」

中国には13億人という途方も無い数の人々が暮らしています。

中国は今国内旅行が空前の大ブームですから、各観光地のベストシーズンといわれる時期は、すさまじい混雑振りとなります。ほんの10%の人間が旅行に出るだけで1.3億人が観光地に向かうのですから、当然です。

今回はどうかというとベストシーズンをはずした時期。それだけで人っ子一人いません。

石灰岩を風雨が浸食して作り上げた壮大な自然の芸術作品を貸切!なんという贅沢でしょう!

大七孔

大七孔

小七孔

小七孔


がやがやと騒がしい観光客が写りこまない記念撮影が好きなだけできました。

ただ、強いて言うと、水量が少ないこの時期は若干迫力には欠けます。


不思議すぎる埋葬方法に興味津々

ヤオ族の村で

中国の死者の弔い方は都市部では火葬、農村部では土葬が多いのですが、ヤオ族の中でも「青ヤオ(チンヤオ)」族のみが洞葬という独特の埋葬方法をのこしています。

弔われた棺

弔われた棺

(クリックすると拡大)

聞くところによると、大昔ヤオ族が貴州にやって来た時は現在のような木造の家ではなく洞窟に住んでいたとか。そのため、人間の死後も生前と同じ場所に安置するべきとして、洞窟に埋葬するようになったそうです。

さて、洞葬の場所は森の奥なので、村の若者に同行してもらい向かいます。

この民族の埋葬方法は遺体をそのまま収めた「井」形の棺を断崖絶壁の洞窟に放置する「懸棺洞葬」という奇習で、訪れた我々はおっかなびっくりしながら鼻をひくひく。特に、ほんの数日前に弔ったばかりという真新しい棺もあり、「臭い」を恐れていたのですが、なぜか周囲は無臭。ハエの一匹もいません。「ここは聖域で腐らない」という説明に、強烈なミステリーを感じたのはいうまでもありません。

また、村の掟として不慮の事故や不自然な死を遂げたものは洞葬されることはなく、手前のジャングルに放置されてしまいます。さらに、その後その家に不運が続くと「死者の無念が悪さをしている」として、棺をさかさまにして黙らすのだとか。。。民族ごとの風習に興味が尽きません。



スイ族の文字が刻まれた石畳

スイ族の文字が刻まれた石畳

豪快かつ明るいおばちゃんに囲まれ大喜び

スイ族の村で

スイ族は水族。その名の通り、水辺の近くに居を構え、さらにはその住居やつくりを風水によって確定するとか(だから水族はお金持ちの人が多い、とガイド)。今でも多くの方が民族衣装のまま生活をしているので、茘波(レイシ)の町でもすぐにわかります。独特の文字を持ち、男性女性共にお酒が大好きという民族です。

水族の村を訪れると、まず入り口で歓迎式のため村人が人垣を作って待ち構えています。

美しい歌声と銅鑼が響き、手にはお酒。お猪口にお酒を入れた娘さんがたが何度も何度も何度もお酒を口元に運んできます(昔の風習では飲まないと村に入れなかったとか)。今は形式的なので口をつけるだけでも問題なし。

村の入口で歓迎式

村の入口で歓迎式

スイ族村入り口での振る舞い酒

スイ族村入り口での振る舞い酒


人懐こくて、よく笑うおばちゃんたち

人懐こくて、よく笑うおばちゃんたち

さぁ私の帽子も被って!ほら!

さぁ私の帽子も被って!ほら!


こちらの反応をおばちゃんや娘さんたちがけらけらと笑いながら見ているのを見て、(あれ?)と思いました。なんて人懐こいのだろう? 

スイ族は見た目地味なので訪問する観光客が少ないのだとか。理由はそれだけでは無いでしょうが、驚くほどに明るく、積極的に話しかけてきます。

 「ほら、私の帽子をかぶって!」

 「一緒に写真を撮りましょ!ほら、はやくはやく!」

 「この子は私の孫なのよ!かわいいでしょ!ほら!写真撮らないの?」

と何を言っているかわからないながらも伝わる豪快なおばちゃんたちの接し方に、古きよき村の雰囲気を感じることができる小さな村でした。


アットホームなもてなしに不便さを忘れる

ミャオ族の民宿で

茘波を出発し、ミャオ族が多く住む地域へ。途中、紙すきを村の伝統工芸として行っている小花ミャオ族の石橋村(シーチャオ)に立ち寄ります。この村の手漉き紙は一説によると1,500年前から続く伝統紙漉きの製法。その技術は中国の無形文化財に指定されており、村内のいたるところで手作業の紙作りが行われている職人の村です。

手作業中の民家にて(中央に楮の束)

手作業中の民家にて(中央に楮の束)

石橋村の洞窟工房

石橋村の洞窟工房


小花ミャオの女将さん

小花ミャオの女将さん

夕食はあったか鍋を囲む

夕食はあったか鍋を囲む

そして、向かうは今回の貴州ツアーの肝のひとつ、青曼村(チンマン)の民宿。

宿泊先は伝統的な建築で杉を材とし、日本の古民家のような木造建築で雰囲気は良いものの、寒い年末年始の貴州省にあって、トイレは外、シャワーなく、暖房もなし。

今回はこんな過酷な状況でも、お客様が現地事情を前向きに理解してくださったのと、すべてをにっこりと受け止めてくれる女将さんの人柄が幸いし、寒いながらもあまり苦には感じずに過ごすことができました。

女将さんは小花ミャオ(シャオファンミャオ)族の民族衣装を身につけたまま、せわしなく働き続けます。そして、よく笑い、合間にはお土産の商売も熱心(苦笑)。なるべく不便に感じないようにと、温かいお湯を常に用意して、寝るときには湯たんぽも。こちらの注文によく耳を傾けてくれました。

夕食は寒さをいっとき忘れさせてくれるミャオ族名物のあたたかい鍋を皆で囲み、これまた女将さんが美声を響かせながらお酒を注ぎに回ります。そして自らもぐいぐい飲みます。

静かな村の静かな夜に笑い声が響きました。



きらびやかで美しい銀細工に見惚れてしまう

ミャオ族の村で

貴州でもっとも人口比率の多い少数民族がミャオ族。南下するとモン族といわれる少数民族と同族です。

貴州のミャオ族はそのきらびやかな衣装を一目見ようと国内外から観光客が訪れ、大変な人気。観光客の多くは西江(シージャン)というミャオ族の中心地に足を運びますが、ここは一大観光地。周囲の素朴な村々に比べるとテーマパークのような雰囲気なので、拍子抜けしてしまうこともありますが、

少数民族の村が開発されるとどうなるかを目の当たりにしたことは衝撃でした。

整備されている分、西江には貴州の魅力的な雑貨などのおみやげ物店はたくさんありますし、ミャオ族の衣装と銀細工を身につけることが出来る貸衣装屋さんがたくさんありますから、美しいミャオ娘になってみることもできます。

整備の進んだ西江村

整備の進んだ西江村

西江村でミャオ娘に変身

西江村でミャオ娘に変身


さて、西江から車で1時間ほど移動した川沿いに季刀(ジーダオ)というミャオ族の素朴で小さな村があります。村の入り口までは車は入れないため街道から村まで数十分歩きます。そして、、、村の入り口が見えたとたんに目に飛び込んできたきらびやかなミャオたち!

ここでも歓迎式を開いてもらい、それはそれはきらびやかなミャオ族の晴れ着を間近で見ることができました。入り口では当然のように、きれいな歌声と共にお酒が振舞われます。ミャオ族は蝶から生まれたという民話が残っていることからミャオ族の晴れ着には花や蝶の衣装が多く見られます。一着一着、自らの手で作りこまれた衣装は一枚一枚異なる飾りと意匠がしつらえられており、見ほれてしまいます。この銀細工、見た目はものすごい重量があるのでは?と思われがちですが、(たしかにかるくはありませんが、)薄く延ばして細かに細工を加えていることもあって見た目ほどには重くは無いのです。

季刀村の歓迎式

季刀村の歓迎式

ミャオ族の銀装飾の頭飾り

ミャオ族の銀装飾の頭飾り

きらびやかなミャオ族の装束

きらびやかなミャオ族の装束



年末に貴州省を旅する方へ

山間部の貴州省は年末年始のこの時期は寒い時期に当たりますが、実は緯度は日本の西表島とほぼ同じ。氷点下になるほど寒くはなく、日中の観光は日本の同時期の服装とほとんど同じで大丈夫です。

ただ、朝晩の冷え込みはやはり厳しく、しかも、ちょっと郊外に出ると設備の整ったホテルは少ないため、今回のツアーのように民宿に宿泊をするとなると暖房器具がありませんから、室内でも吐く息が真っ白という室温になってしまいます。民宿に宿泊するツアーの場合はもう1枚か2枚多めに持っていくことをおすすめします。

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西江村にて

寒いとはいえ、世界遺産「中国南方カルスト」の観光地のひとつ大七孔・小七孔には観光客が一人もおらず、貸切。訪れる村々でも観光客とはすれ違わないという、独占気分を味わえるのはこの時だけ。また、がやがやと騒がしい観光客が他にいないというのは、村々に住む少数民族にとっても心にゆとりができるのでしょう、とてもフレンドリーに、あたたかくもてなしてくれるます。

時期選びに迷ったときは参考にしてみてください。

年末の貴州は十分、おすすめできる時期ですよ。