添乗報告記

添乗報告記●中国雲南省 梅里雪山内院トレッキング 9日間(2012年4月)

 

太子廟と主峰カワカブ

2012年4月28日〜5月6日

文●山田基広(東京本社)

チベット四大神山のひとつとして巡礼者を集める梅里雪山。6,000m峰が13も連なる壮大なこの聖山の麓、最後の桃源郷といわれる雲南省最奥の村を目指すトレッキングツアーに同行してきました。

このツアーは神々しい梅里雪山の姿をパノラマにみるだけでなく、聖山の懐奥深くまで入り込み、氷河を眼前に捉えつつ山容を仰ぎ見ることができるのが最大の魅力。なのですが、我々が旅したGWのこの時期は幸運にも気候と花のタイミングがピタリと合ったためトレッキングルート上に点在する山桜やシャクナゲに可憐な高山植物も楽しめたという、楽しさ倍倍増のトレッキングだったのでした。


梅里雪山 トレッキング・ルート

梅里雪山内院 トレッキング・ルート


香格里拉(シャングリラ)〜徳欽

日本を出発した翌日、雲南省の省都・昆明から香格里拉(3,276m)へ。まずは高度順応をかねて、ゆっくりと観光をします。

旧市街・独克宗古城はいまではすっかり開発され、昔の面影を残した観光地となっていますが、チベット式の建築様式の並ぶ町並みに所狭しと雲南名物から珍品までを取り扱うお土産物店が並び、旅人を飽きさせません。この旧市街の中心地にある中心鎮公堂はチベット寺院。巨大なマニ車をまわして、来るトレッキングの無事を祈ります。


無邪気なチベタンの子ども

無邪気なチベタンの子ども

旧市街の夜の風景

旧市街の夜の風景


香格里拉に1泊した翌日、雲南省最北端、チベット自治区と接する徳欽(約3,500m)へ。かつて雲南のお茶とチベットの馬を交易する茶馬古道の中継地として発展したこの町の周辺は高低差の激しい地形となっており、長江やメコン川、サルウェン川の3つの源流がわずかな距離で平行して流れ「三江併流群」として世界遺産に登録されています。谷間を縫うように走る峡谷ドライブの先に、ようやくたどり着いた徳欽は梅里雪山のパノラマ展望の広がる絶景の町。高度順応に万全の注意を払いながら就寝.。翌日からはいよいよトレッキングのスタートです。

東竹林寺の僧は暖かく迎えてくれた

東竹林寺の僧は暖かく迎えてくれた

金沙江大峡谷

金沙江大峡谷




西当の馬場には巡礼者が集う

西当の馬場には巡礼者が集う

桃源郷・雨崩村へ

徳欽の街を出て瀾滄江(メコン源流)に沿って進むこと約2時間、雨崩村への玄関口となる西当村(2,560m)に到着。ここから梅里雪山の麓に入り込みます。西当村から雨崩村へは約3,700mの峠を越える、標高差1,200mのトレッキングになりますが、まずは馬の背に揺られながら、眼下に落ち込む瀾滄江の流れと冠雪の美しい白茫雪山の峰々というダイナミックな景色を眺めながら、石楠花の咲く樹林帯をのんびり進みます。


とんでもない量のタルチョがはためく山道を抜けるとそこが峠。晴れていれば眼前に雪と氷河に覆われたメツモをはじめとする梅里雪山の山群が姿を見せ、否応なしに気持ちが盛り上がってきます。そして、眼下を見下ろせば谷底に田畑の広がる素朴な集落が見えます。ここが聖地巡礼の拠点となる雨崩村(3,050m)です。峠から雨崩村までは高低差700mほどのほぼ下りのみのトレッキング。山道は雨崩村への唯一の輸送手段となる馬が行き来するため、それほど凸凹してはいません。時期によってはぬかるみが気になることもありますのでスパッツは用意した方がよいでしょう。木々の隙間から見え隠れするメツモにジャワリンガの大氷河。雨崩村が氷河谷の谷底にあるのだと実によくわかる景色がすばらしいです。

馬に乗ってのんびりと

馬に乗ってのんびりと

雨崩村への道中に見える徳欽の

雨崩村への道中に見える徳欽の町

峠へ続くタルチョのトンネル

峠へ続くタルチョのトンネル

氷河谷の底に位置する雨崩村

氷河谷の底に位置する雨崩村




雨崩村~神瀑(聖なる滝)~雨崩村


メツモとジャワリンガ

メツモとジャワリンガ


目覚めると眼前にメツモとジャワリンガ!この大迫力の景色に興奮しない方はいないでしょう。涙が出るような美しい景色です。

そう、雨崩村は実に不思議な村です。眼前に大氷河が広がっているにもかかわらず温暖で、緑が色濃く、あちこちに花が咲き、穀物が豊かに実り、家畜が肥え、住む人々も穏やか。(あぁ、たしかに桃源郷だ。)と思わずつぶやいてしまいます。


高所で嬉しい麺料理

高所で嬉しい麺料理

雨崩のロッジで

雨崩のロッジで


ここよりめざすは梅里雪山内院の聖地、神瀑(聖なる滝)です。神瀑(約3,600m)までは高低差500m、片道3時間~4時間ほどのトレッキングになります。トレッキングの大部分は雪渓を歩くことになりますが、アイゼンが必携というほどではありません。しっかりしたトレッキングシューズで十分です。氷河を間近に聖山を仰ぎ見て歩くこと自体大興奮なのですが、なにより、氷河の脇に森があり、シャクナゲが咲いているような摩訶不思議な景色に出会えるのも世界にあまり例がないでしょう。

雨季直前のこの時期の神瀑は水量が少なく、迫力には欠けますが、ありがたく水を頂戴して、下山しました。

神瀑(聖なる滝)へ続く道

神瀑(聖なる滝)へ続く道

素朴な村の優しい笑顔に癒される

素朴な村の優しい笑顔に癒される



明永村~主峰カワカブの展望台へ


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明永村から望むカワカブ


雨崩村から登山口の西当村まではおおよそ3,000m→3,700m→2,500mのトレッキングです(希望者は馬に乗ることも可)。

このエリアのトレッキングの特徴として、アップダウンを繰り返しながら登るのではなく、上りルートはひたすら登り、下りルートはひたすら下る感じです。ストックを使い慣れている方は持参されると快適でしょう。往路・復路共に天候に恵まれればすばらしい眺望が期待できます。

あやめの花咲くトレッキングルート

あやめの花咲くトレッキングルート

明永氷河と主峰カワカブ

明永氷河と主峰カワカブ

巡礼者とすれ違うこともしばしば

巡礼者とすれ違うこともしばしば

村人はほぼ100%チベタン

村人はほぼ100%チベタン


西当村から明永村(2,350m)へは車で約1時間ほど。この村が梅里雪山の主峰カワカブを眼前に望むことができるトレッキングルートの拠点となります。登山口(2,325m)から展望台(2,940m)までは往復約4~5時間ほど。山道はきちんと整備されているので、非常に歩きやすいです。足元にはあやめが群生し、その後石楠花の樹林帯を抜けるとタルチョが目に飛び込んできます。正面に太子廟そしてその背後にそびえる主峰カワカブ。聖山の名に恥じない堂々たる山容と圧倒的な迫力の大氷河に言葉を失います。



これで見納め。徳欽で夜の梅里雪山と朝焼けを楽しむ。

後ろ髪を引かれるように明永村を後にし、再び徳欽に戻ります。

雨崩村、明永村と眼前でダイナミックにそびえていた梅里雪山を遠景からみると、なんだか不思議な気持ちになります。

あの氷河の麓にいたことが信じられないという感覚になってしまうのですが、徳欽からのパノラマの眺めは実に、旅の締めくくりにふさわしく、月明かりに照らされる姿も朝焼けの姿も神々しく、全てに心から感謝の気持ちで一杯になります。

神々の山を歩き、ゆっくりと眺めることができた至福の時間に心から、トゥディチェ!(チベット語でありがとう!)

朝焼けの主峰カワカブ

朝焼けの主峰カワカブ

月に照らされる梅里雪山

月に照らされる梅里雪山