ネパール大地震 現地からの臨時報告(最終回)

*風のメルマガ「つむじかぜ」528号より転載

5/12、再びネパールで大きな地震が発生。4/25の余震だが、人々は再び戸外で寝ることになったようだ。幸い、弊社の関係では被害にあった者はいないが、またもや数十人の命が奪われた。折角、すこし落ち着いてきたのに天は惨いことをするものだ。

今回、現地に入ってみて分ったことは、テレビ報道は競い合うように現地の惨状を取り上げるが、実は、ネパール中で考えれば、ほんの一部の箇所が被害を受けただけで、ほとんどは、まったく被害を受けていないということだ。カトマンズだって、確かに世界遺産は大きな被害を受けたが、街の様子は殆ど以前と変わらない。

報道とは、かくも事実と違ったイメージを振りまき危機感を煽る。もちろん、大きな被害が出たことは確かだ。しかし、多くの人々は、これからも生きていかなくてはならない。そのために、報道がどういう役割を果たすのか。そんな視点で内容を精査して欲しいものだ。

観光業に携わる私たちにとって、世界の人々が、報道をみてどう感じるかが大変危惧される。カトマンズのホテルだってほとんどは問題がないのに、もう、ホテルに泊まることもできない、そんなイメージだけが広がってしまうならたまったものではない。

ネパールにとって観光は、国全体においても、人々の暮らしを具体的に支える意味でも最も重要な産業である。弊社は、ネパールが、この震災を乗り越えていくためには、多くの方にネパールを訪れてもらうことが最も必要だと考えている。こういうときだからこそ、弊社が役にたてると思う。

皆さんから、ネパールを直接支援したいとの声を頂き、4/28にネパール支援金口座を開いた。今日現在で340万円ほどになった。私は、今回、現地の視察と共にこの支援金をどう使うかをNKT(NEPAL KAZE TRAVEL CO.,LTD)のスタッフたちと相談してきた。

その結果、以下の3点に使うこととしたい。詳細は、今後、現地と相談し、皆さんに逐次ご報告する。

1)緊急支援

米、塩、その他の食料、軍手、マスクなど被災した人々に緊急支援を行う。但し、NKTのスタッフたちと何らかの関わりがあり、直接手渡せる範囲に限定。

※5/21追記: ネパール支店だより「ネパール緊急支援 サクーにマスクを届けました」

2)震源地近くのパトレ村の復興支援

弊社が、以前から農村ステイのツアーを組んできたパトレ村は、村人は全員存命だが全家屋が倒壊した。村の委員会は、すでに新しい村を再建するために動き出している。
“新しい道を作り、家をその周りに計画的に配して、ホームステイを受け入れられるようにして、ネパールの農村のモデルになるものを目指す。そのために、村人の家は、当分はトタン屋根で雨露を凌げる簡易なもので我慢し、学校の再建を優先させる。”
そんな計画を、委員長のシェルが語ってくれた。彼なら、決して、私利私欲で援助金をごまかすようなことはしないだろう。何故なら、彼の今までの実績がそれを示してくれている。


全家屋が倒壊してしまったパトレ村の様子
(クリックで拡大)

テントやトタン屋根で凌ぐ村の人たち
(クリックで拡大)



3)被災した子供たちの就学支援

支援金の一部を基金として『風ネパール就学基金』(仮称)を創設。被災した子供たちが高校まで卒業できるように金銭的な支援を行う。

パトレ村のシェルは、年齢は40歳を少し越えたところだが、国際NGOで働いた経験を持ち、その後は、自分の故郷パトレ村で若い村人たちのまとめ役になってきた。以前、この村で農村ステイを始めるときに、私も村まで会いに行って彼と話したことがある。[参考よみもの:ネパール −ビレッジツーリズムの展開−

ネパールの支援とは、結局は、誰と一緒にやるかに尽きる。その人間が信用できるのか否かが最も重要である。彼の言うことは、理想に満ちている。少々無理があるのではと心配にすらなる。しかし、NKTのスタッフも、彼ならやれると言う。「ネパールでは、自分のためにではなく他人のために行動するひとが尊敬されます。彼は、まさにそうで、みんなから信頼されています」NKTの社長プリスビーの誇った口ぶりに、私は感心しながら、人を動かすのは、誇りと生きがいと感動だというが、正にそうだととても嬉しく感じた。

▼現地からの臨時報告・第1号はこちら
▼現地からの臨時報告・第2号はこちら
▼現地からの臨時報告・第3号はこちら

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。


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