特別記事

ペルー・アンデス 人々との出会い

 

執筆●小林勝久(東京本社)


南米ペルーといえば、空中都市マチュピチュをはじめとしたインカの遺跡が数多く残り、聖なる湖チチカカやアンデスの山々そして母なる大地アマゾンまで多くの歴史的遺産と豊かな自然に恵まれた国です。もちろん、ペルーの旅の主役はそれらの遺跡や自然なのですが、やはりその旅の中での人との触れ合いが一番楽しい思い出になるものです。そこで今回はペルーの人々にスポットを当てて皆さんにご紹介したいと思います。


インカの民

クスコで出会った親子

まずはじめに皆さんが思い描くペルーの人々と出会えるのはクスコになると思います。その昔インカの首都だったクスコはその当時の面影が残り、行きかう人々も民族衣装に身を包んだインディヘナ、そしてその血を色濃く受け継いだメスティソ(白人とインディヘナの混血)が殆どです。クスコの街を歩くと「ああ〜ペルーにやって来たな〜」という実感が湧いてきます。クスコの人々は現地の言葉で“クスケーニャ”と呼ばれ、首都のリマに比べると人懐っこい人が多い印象です。街を歩いているとお店やレストランなどで現地の人と接する機会がありますが、たいてい親切で気さくな感じです。片言のスペイン語や英語で身振り手振りしながらの会話や値段交渉も中々面白いものです。


ピサックのインディヘナの市場

さらにクスコ近郊に聖なる谷と呼ばれる場所があります。この谷間にはいくつかの村があり、ここはインディヘナのバザールで有名なピサックや見事な石段が残るインカの要塞オリャンタイタンボなどが有名です。この谷には純粋なインカの末裔たちが住んでいると言われ、古から伝わる伝統を受け継いでいます。主に農業に従事していて、じゃがいもやとうもろこしといったアンデスの名産からキヌアと呼ばれるインカ時代から続く穀物などを栽培しています。この谷ではまずピサックという村を訪れます。ここでは色とりどりの民族衣装に身を包んだインディヘナが市場を開いています。民芸品から日用品まで売られていて、交渉しながらの買い物や見物はとても楽しいです。その次に訪れるのはインカの要塞だったオリャンタイタンボです。ここで注目したいのが遺跡ではなく町並みです。実際は町というよりは村というほうが正しいかもしれません。インカ時代の面影がそのまま残っていて、まるでその当時にタイムスリップしたような錯覚に陥ります。村を散策し、ちょっと奥まった路地に入ると素朴な人々の生活が垣間見れます。インカ時代に思いを馳せ、村散策をしてみるのも楽しい体験です。


現代に受け継がれる
インカ料理

また、ここでお勧めしたいのが民家での食事です。聖なる谷のウルバンバ村にある民家で伝統的な家庭料理を味わうのですが、その季節に収穫される野菜やキヌアを使ったスープやゆで物など、とてもシンプルですが本物の家庭料理が味わえます。その料理を食べながらインカの末裔達との触れ合いは素晴らしい思い出となることでしょう。


アンデスの民

クスコは標高約3,400mに位置しアンデス山中にあるため、ここに住む人たちはもちろんアンデスの民です。ただ、その殆どが街生活ですので、皆さんがイメージするような素朴なアンデスの民とはちょっと違う印象を受けると思います。では、実際イメージするようなアンデスの人々はどこにいるのかといいますと、クスコから車で約4時間走ったところにあるティンキ村です。ここはクスコのような街の生活とはかけ離れていて、素朴なアンデスの村といった感じです。とても恥ずかしがりやで引っ込み思案な人たちなので、初めは中々心を開いてくれませんが、ガイドを通じ時間をかけて話をすると次第に打ち解けてきます。村での生活は主に農業で、質素につつましく生活をしています。


アンデスの農作業風景アンデスの農作業風景

このティンキ村はアウサンガテトレッキングのスタート地点でもあります。アウサンガテは標高約6,300m、雪を抱いた美しい山で、インディヘナの人々からは“神々が宿る山”と呼ばれています。実はこのトレッキングの途中にも人々の生活があるのです。ティンキ村から小高い山を登るとそこはもう一面の草原世界。点在する民家はティンキ村よりさらに素朴になり、私たちがイメージするアンデスの姿があります。農業で生計を立てていて、全て手作業です。主にアンデスの名産のじゃがいもを収穫していますが、日本では見た事もないような種類があります。聞くところによるとアンデスだけで数百種類ものじゃがいもがあるとのこと。それにしても、こんな高所で農作業をする彼らは本当にタフです。慣れていない私たちが同じ作業をしたら、数分でバテてしまうでしょう。この地で鍬を振り下ろす人々の姿には感動を覚えました。クスコなどでは見ることが出来ない“本当のアンデス”の姿がここにはあります。


チチカカの民

アンデス山中標高3,890mに位置し、青々と輝く湖面がとても美しい湖です。実はこのチチカカ湖はインカ伝説発祥の地と言われ、水面の美しさが神秘的な雰囲気を漂わせています。ペルーとボリビアを2分しており、ペルー側には葦で出来た浮き島ウロス島、純粋なケチュア族の島タキーレ島、昔ながらの生活が残るアマンタニ島などがあり、各島独自の生活風景が展開しています。特にタキーレ島やアマンタニ島には純粋なケチュア族の血をひく人々が住んでいます。日帰りのツアーでも十分楽しめるのですが、やはり一番お勧めしたいのがホームステイ体験です。どちらの島でも体験は出来ますが、ここではアマンタニ島のホームステイをご紹介します。


アマンタニ島

プーノから一番遠い場所にあるのがアマンタニ島で船で約4時間の場所にあります。ここまで来ると水の青さも増し、より神秘に満ちたイメージにふさわしくなります。プーノから1泊2日のツアーですとここで宿泊することになりますが、島にはホテルがありません。つい最近になって民宿などが出来てきましたが、まだホームステイが主流です。そのため、島に住む人々の部屋に宿泊することになります。島に船が到着すると島民が港に集まってきて、観光客を受け入れるのですが、ホテルなどの予約と違い、その場で島民とガイドが話し合いで宿泊先を決めていきます。家が決まると、島民について家に行きます。部屋はいたってシンプル。簡素ベッドとテーブルがあるだけで暖房も電気もありません。プーノのホテルに比べれば格段不便なりますが、ペルーの一般家庭しかもチチカカ湖の島の家庭に宿泊するということの面白さの中ではそんな気分も自然と消えていきます。食事もとても質素ですが、島民の心のこもった料理の味は忘れられません。


アマンタニの島民達アマンタニの島民達

クスコと違って島の人たちはすこし恥ずかしがり屋でおとなしい印象です。でも、こちらが積極的に片言のスペイン語でコミュニケーションをすると心を開いてくれます。島での生活のこと、出してくれる食事のことなど、どんなことでもいいと思います。是非コミュニケーションを楽しんで頂き、何ものにも代えがたい体験を楽しんで下さい。


このようにペルーアンデスには場所によりそれぞれの生活が営まれています。ぜひ、そんな生活に触れながらペルーの旅を楽しんでみてください。