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スザニの町”ウルグット”

 

●文・写真 田中真紀子(東京本社)

ウルグットのスザニ。ティーポットのモチーフが特徴
ウルグットのスザニ。ティーポットのモチーフが特徴

サマルカンドからシャフリサブス方面へ約40km南下した田園風景の中にウルグットの町があります。実はこのウルグットが伝統刺繍「スザニ」の町として今脚光を浴びています。


スザニの刺繍をする少女(ウズベキスタン)
スザニの刺繍をする少女

ウルグットをご紹介する前に、スザニって何ぞ?という方の為に少しだけ。スザニは、色鮮やかな刺繍布のことで、その語源はペルシャ語の「針」に由来します。スザニの歴史は比較的新しく、17~18世紀頃からウズベキスタンなど中央アジアの国々で、婚礼道具などの用途で盛んに作られるようになりました。ソ連統治時代は民族文化を表現することを理由にスザニ制作も禁止され、一時廃れました。1991年の独立後、まず欧米人の愛好家を中心にその価値が再認識され、今では伝統工芸として、また観光客へのお土産として制作・販売されています。
*現在は50年以上前のアンティーク・スザニは国外持ち出し禁止なのでご注意ください。

スザニは、作られた地方によって模様や色遣いが異なります。
例えば、ブハラ、シャフリサブス周辺は植物をモチーフとした淡い色合いのスザニが多く、タジク族は黒地に赤の刺繍のスザニが多いようです。ウルグットのスザニの特徴的なモチーフはティーポットで、これは客人を歓待する心を表すそうです。

日本なら、すぐに各地域に資料館や販売専門店ができそうですが、ウルグットにはそういった場所はなく、バザールでしかウルグットのスザニは手に入らないとのこと。噂のスザニを見に、バザールの開催日*に早速行ってきました。
*1年を通して、火、水、土、日のみ開催。(2015年4月現在)

ウルグットのバザールの正面門
ウルグットのバザールの正面門。中央にURGUT(ウルグット)の文字が見える

バザールの道向こうは草原と山
バザールの道向こうは草原と山

バザールの建物は数年前に改築され、まずは立派な門が目に入ります。門の手前には食堂や食べ物の屋台、植木屋などが並びます。門をくぐると、服飾関係の店舗が奥までずらり。生地、ボタン&リボンなどの素材、ドレスやコートなどの既製品、靴、婚礼衣装、など問屋街のように取り扱い商品毎にエリアが分かれています。

生地屋では中央アジアならではの絣模様の生地も売っています
生地屋では中央アジアならではの絣模様の生地も売っています

婚礼衣装を売るおねえさん
婚礼衣装を売るおねえさん

奥へ歩くこと約10分。バザールの一番奥、青空テントに設置されたスザニ・コーナーが表れました。ちゃんとウルグットの伝統的モチーフ「ティーポット」のスザニも飾られていました。
売られているスザニは、デザインも色使いも割と大雑把。博物館で展示されているスザニや、ヒヴァやキジュドゥバンの工房などで売られている商品とは違い、ちょっと雑な刺繍に無数のほころびみたいものも見え、その分手作り感が漂っています。おそらく、家事の合間にお母さん達が内職で作ったであろう、ウルグッドのスザニは、多少の荒っぽさもまた味と思える粋な仕上がりでした。

スザニ売りのお母さん。交渉決裂したのかふくれっ面
スザニ売りのお母さん。交渉決裂したのかふくれっ面

さて、このスザニを買うとなったら、ウズベキスタンの忘れられない思い出ができることでしょう(笑)。強面で勢いもあるおばちゃん、おじちゃんの「これを買えー!これはどうだ、これがいいぞ!」攻撃を受けながら、自分の気に入ったものを選びぬき、そこから値段交渉、です。あまりの勢いにゆっくり見ることもできないと思うかもしれませんが、おばちゃん達もプロ。こちらの好みをちゃんと伝えれば、いい物、好みのものをちゃんと奥から出してきます。言葉が通じなくても、身振り手振りで、おばちゃん達と「私が作ったのよ!この色合い気に入ったの?ありがとう!いいでしょ~~~」となんて会話を笑顔できっとできると思います。
パワーあふれるウルグットのバザール、時間があれば是非立ち寄ってみてください。