添乗報告記

添乗員報告記●冬の新疆へ。文化の交差点 新疆から始めるシルクロード
シルクロード入門 トルファンとカシュガル6日間

 

2008年12月30日〜2009年1月4日 文●平山未来(東京本社)


冬でも子どもたちは外で元気いっぱい!

シルクロードの旅行シーズンといえば、春〜秋の間でベストシーズンは秋、とイメージされている方が多いのではないでしょうか。「え、冬も旅行できるの?!」もしかしたら、そんな風にも思われているかもしれません。

今回のツアーは、そんな「ベストシーズン以外にもシルクロードの四季を感じてほしい」という企画者の想いがつまった入門編の新コース。そして、この度実際に行って見て来ました。冬のシルクロード!!

冬のシルクロードとは?・・・そこはまさに極寒と呼べるほどの地。最高気温も氷点下となっており、ウルムチなどの1月の最低気温はマイナス20度前後の日が続きます。空気はたいへん乾燥しているために、思ったよりは寒く感じませんが、それなりの防寒着は不可決です。

実際、シルクロードといえば、灼熱!のイメージが強いと思います。正直なところ、シルクロードの冬から春は、オフシーズン中のオフシーズン。観光客(中国国内旅行者も含む)の人ごみもなければ、観光客相手のおみやげ物屋の客引きすらも無いのです。ある意味、本来の素朴で自然な景色がどこまでも広がっています。そして、灼熱であろうと極寒であろうと、そこには人々の暮らしが変わらず営まれています。そう、寒いところにはあったか〜いおうちがあります。冬に旅すれば、一層人々のぬくもりも感じることができるでしょう。


静かなトユク村

とてもフレンドリーなロバ車の運転手さん

冬だからこそ!民家でいろいろウイグル体験!


トユク村の民家で
出迎えてくれたこども

風の旅行社のツアーでは、できる限り現地の生活に触れてもらいたいという想いから、多くのコースで民家訪問を取り入れています。今回も、三つの異なる場所(トユク村・トルファン・カシュガル)でいずれもウイグル族のご家庭にお邪魔させていただきました。

まず、ご家庭を訪問する前に、ガイドさんからウイグル語の挨拶を学びます。「こんにちは=Yakhshimusiz!(ヤクシムスィズ!)」と「ありがとう=rähmät(ラフメット!)」は基本中の基本ですから忘れずに。次にウイグル族の習慣を教えていただき、食前の手洗い作法を学びます。ウイグル族は水をとても大切にする民族で、手を洗うために専用の水具があります。ウイグル流は水気を手でぬぐった後、ハンカチやタオルなどで拭き取ります。

手もきれいになったところで、目を移すとテーブルには、殻つきのアーモンドやくるみ、干しブドウや色とりどりのフルーツ、ナンやお菓子がたくさん並んでいました。お菓子や木の実、パンや季節の果物をテーブルに並べて客人を迎え、そしてお茶をふるまい、おしゃべりを楽しみながらお菓子やナッツなどをつまんでその後に食事に突入となる、これがウイグル流のおもてなし法。


ヤクシムスィズ!

サンザとナンとフルーツ

テーブルに置いてあったものは各家庭でそれぞれ違いがありましたが、共通してまず目についたのは、「サンザ」とよばれるウイグルの伝統的なお菓子。見た目が豪華で味わいもあることから、ウイグル人の大きなお祭りなどでは必ず登場するものです。また、ドライフルーツはウイグルの特産品で、口に含むと、どれもふっくらしっとりしていて味が濃く、なんともいえない甘みとおいしさ。さらに冬でも果物が出てきて、みなさんも口々に「おいしい!おいしい!」と喜んで召し上がっていました。

通常の民家訪問は、その後食事を頂いてお別れとなりますが、今回はオフシーズンということもあって、特別にリクエストを受け入れていただくことができました。

民家でラグメン料理教室!

せっかく入門のコースだからと、ただ食べるだけではなく、「実際に作り方を見てみたい」「実際にやってみても楽しいのでは?」とこちらで企画したのは『民家でプチラグメン教室』。トルファンのアブリーズさん宅で見学&体験させていただきました。


1. まずはじめに麺にかける具を炒めます

2. 生地はうず巻き状にくるくると重ねておきます



3. 引っ張りながら生地を細く伸ばしていきます

4. 最後にテーブルに叩きつけます

ラグメンは、日本のうどんほどの太さでコシのある手打ち麺に、羊肉などの肉とたっぷり野菜を炒めたものをかけた麺料理です。「麺の生地は、よく練ってから寝かし、うず巻き状にくるくると重ねていき、両手をつかって伸ばしていく。伸ばした生地は、両手首にぐるぐると巻きつけ、両手を開いて生地を伸ばす。そして、最後にテーブルに叩きつけ、沸騰した湯で約2〜3分間茹でる。水にとり、ぬめりをとったら出来あがり。」それがウイグル流の作り方です。

実際に参加された方にも体験していただきましたが、生地をのばす行程は慣れていないと途中で切れてしまうために、かなり難しかったようです。でも、実際に出来上がったラグメンは本当においしく、満腹&大満足でした。日本人の方にはもっとも好まれるウイグル料理かもしれません。


コシがあって美味しいラグメン

おいしくいただいてます♪

ウイグルダンスを学ぼう!


ウイグルダンスの先生

ウイグル族は歌と踊りが得意なことで知られ、ウイグル人は「子どもは歩きはじめると踊り出す。話しはじめると歌いだす。」と言われるほどに、音楽と踊りを好んでいる民族。そして、どうやらそれはウイグル族の楽観的で朗らかな性格を表しているようです。今回は、カシュガルのアニワルさん宅(一般的な中流家庭)に踊りが上手なお嬢さんがいるとの情報を聞きつけ、民家訪問の際に踊りを披露してもらい、希望者の方に簡単な踊り方を教えて頂くことにしました。

まずはじめに、曲に合わせて踊りを披露していただき、なんとなく身振り手振りをマネしてみます。が、ステップがかなり軽くて思いのほか速く、さらに複雑でなかなか難しい様子…。さらにみなさんが「おぉ〜」とおどろいたのは、首を水平に保ちながら左右に動かす振り付け。ウイグルの踊りでは応用編になるようですが、アジア諸国の踊りではよくみられるものなんだとか。


なかなか難しいステップ…

途中でおばぁちゃんも参戦!

なかなか尻込みしてしまう体験者の皆さんの様子を見かねて登場してきたのは、なんとおばぁちゃん!すでに70歳というご高齢ながら、おどろくほど身軽でかわいらしい踊りを披露してくださいました。そんな姿を見ることができて、みなさんも大拍手!このように、踊りを一緒に体験させていただいたことで、話したり見るだけよりも、ずっとウイグルの民家の方々と距離が近づいた気がします。

実際、冬のこの時期は特に訪問客が少なく、かなりさみしい想いをされていたんだとか。昔からそのご家庭をよく知るガイドさんも、おばぁちゃんが躍った姿を見たのは初めて!とのこと。本当に精一杯、心から歓迎してくれたお二人の姿を見て、心底ウイグルの家庭の温かさを感じることができました。そしてこんな楽しみ方も、オフシーズンの時期ならではの特典かもしれません。


北京時間のおかげでおそいおそ〜いご来光!

中国は、経度に拘らず全国的に北京時間が使用されています。そのために、北京からかなり西の新疆地区の日の出や日の入りはかなり遅い時間に感じられます。今回は年末年始の旅行だからと、事前に時間を調べた日の出の時間は、なんと北京時間で10時頃。それほど早起きしなくても、初日の出が見られるチャンスがあったのです。事前にその計画を現地に伝え、あとは晴れることを願うのみ!

元旦1月1日の9時頃、まだ暗いうちにトルファンのホテルを出発します。交河古城の入口から一番高い場所まで向い、どうやら間もなく陽が出そう… でもガスってる???実はこの時期、新疆では暖房に石炭や薪を多く使うために、市内周辺の上空は全体的に霧がかったように曇っているのです。でも、交河古城をまわっている間に、地平線から少し上がったところで、まん丸太陽が!!スーッと出てきてくれました。その後、大仏寺で初詣(?)も行い、さむい新疆での元旦でしたが、2009年の幕開けは大変思い出深いものになりました。


交河古城で2009年の初日の出!

古代仏教遺跡の交河古城大仏寺に初詣

ウイグル語を書いてみよう&寝台列車のたのしみ方!


南彊鉄道の車中にて

現代ウイグル語は、中国国内だけでもおよそ7〜800万人以上に話され、文字はアラビア文字を基本としたウイグル文字を使用しています。トルコ系の言語のひとつとされ、同じ系列の言語ではウズベク語が非常に近い関係にあると言われています。ウイグル文字を見ても、日本人にはなかなか解読は難しく、強い意志や興味がなければ、触れる機会はほとんどありません。でも、今回は入門コースですから、少しウイグル語も習ってみよう!ということで、ウイグル族のガイドスタッフに先生をお願いし、簡単ウイグル語講座をおこなっていただきました。

私自身も、ウイグル語で「新年あけましておめでとうございます=Yèngi yılıngızğa mübarek bolsun!(エンギイルングズガー ムバーラクボルスン!)」と「自分の名前」の書き方を教えていただき、シルクロードから手紙を出しました。(実際のウイグル文字の参考例はこちら)※現地から手紙を出したい方は事前に宛先や住所などを控えていきましょう。


みなさんかなり
くつろいでます

例えば今回の行程の中では、トルファンからカシュガルまで、西へ西へと南彊鉄道(一等寝台)に乗って移動します。その日はトルファンを13時台に出て、翌日の11時半頃カシュガルに到着。およそ22時間ほど寝台列車の車中で過ごします。空いた時間に手紙を書いてみるのも、なかなかおもしろいですよ!

「シルクロードを寝台列車で旅する」そんなフレーズで旅情をかき立てられる方もいらっしゃるのでは?列車の旅もなかなか良いものです。今回の旅ではトルファンから乗車した後、3,000mまで高度を上げていくので、景色の移り変わりが見られます。荒涼とした景色(土漠、赤い岩山)や天山山脈の雪山など。翌朝明るくなる頃には、タクラマカン砂漠(土漠)の中を走行しています。そういえば、車窓から荒野の大地に佇むラクダも見かけました。


南彊鉄道の車窓からの雪景色

のんびり景色を眺めるも良し、同じコンパートメント内の方々としゃべり通すも良し、はたまた硬臥(二等寝台)や硬座(二等座席)に遊びに出かけるのも手です。そして、列車に乗られる方は、ぜひマイカップやお菓子、おつまみなどなど買い込んでから乗車しましょう♪


冬のシルクロードを旅するための十の心得

さて、冬のシルクロードの魅力は報告をお読み頂ければ感じていただけるのではないかと思いますが、今後、冬に旅行される方向けに以下の心得をお教えしておきます。

一、天候次第で昼は冷蔵庫、夜は冷凍庫。防寒に努め、肌の露出面は極力なくすべし。
二、屋外極寒、屋内サウナ、重ね着とこまめな脱ぎ着で対応すべし。
三、風邪が大敵、うがい手洗いを忘れず、乾燥対策もあわせて常に心がけるべし。
四、道路はカッチコチ、靴底は必ずギザギザ(すべりにくいもの)を用意すべし。
五、デジカメ等電化製品の予備バッテリーの準備と行動中の保温に努めるべし。
六、寒いと食欲増進、料理もおいしいウイグル、うっかり食べ過ぎに注意すべし。
七、埃よけや風邪予防、防寒にも役立つマスクは必ず携行すべし。(スカーフは現地購入も◎)
八、トイレは行ける時にまよわず行っておくべし。
九、観光地の土産物屋は無いものと覚悟すべし。(バザールなどでの買い物は可能)
十、時間と旅する心に余裕を持って出かけるべし。 


比較的暖かいカシュガルの人たちは薄着

極寒のウルムチでは屋台の煙がもっくもく

この心得さえお持ちであれば、きっと冬もたのしい旅行になるはずです。冬の季節を見てから再度他のエリアを別の季節に旅すれば、楽しさ倍増間違いなし!今回参加されたみなさんがいつかまた別の季節に別のシルクロードエリアへいかれる際には「冬の新疆も見ておいて良かった」、きっとそう思っていただけることでしょう。冬の季節とオフシーズンならではの、貴重な体験がたくさんできた旅でした。