TOP

風 to 旅人

「モノノアハレ」はインド発

 2008 年 12 月 22 日 月曜日     中村ヒゲ文  カテゴリー » 01-民俗・宗教・文化, 05-本・映画, 風to旅人,

スリランカの牛

最近読んだ本を紹介します。
大野晋氏の『日本語の源流を求めて』(岩波新書)。

簡単に言うと内容は「タミル語=日本語起源説」です。
1919年生まれの大野氏は、幼いころから「日本語はどこから来たのか?」に興味を持ち、国語学者として古代日本語(古事記、日本書紀、万葉集など)を研究し、この分野の第一人者となりました。しかし、その興味の根源は常に「日本語の起源」。1957年に『日本語の起源』を書かれたときには、「道半ば」でその答えはまだ分からないままでした。

そんな大野さんが出会ったのが南インドやスリランカで話されているタミル語。古代タミル語と古代日本語の中におびただしい数の共通語彙を発見したのです。例えば「アゼ」「ウネ」「コメ」と言った農業分野や「カネ(金属)」「ハタ(機)」などの産業分野、「カミ」「アハレ」「ドント焼き」と言った祭礼分野の共通語彙、さらに俳句や短歌と同じ七五調の韻文、日本語にそっくりの「係り結びの法則」までもが古代タミル語にもあったというのです。
これらの語彙や技術は南インドから海の道を通り日本へと伝わり、文化的な優位さを背景に、現在の日本語にカタカナ語が浸透してきているのと同じように浸透していったというのです。

この本を読んで驚いたのは、大野さんがタミル語に出会ったのがなんと60歳になってからということ。それまで国語学者として功を成した人が、全く畑違いに見える比較言語学の世界に飛び込み「俺が本当にやりたかったことはコレなんだー!」といわんばかりにエネルギッシュに研究を進めていきます。大野さんの熱意と、丁寧な作業には有無を言わさぬ迫力があり、思わず感服してしまいます。信じるか信じないかはあなた次第。しかし一読の価値ありです。

旅のテーマとして「日本人、日本文化、日本語の起源」というものはとても興味深いもの。私の新たな旅のテーマの一つとしてこれから旅を味付けしてくれることでしょう。


コメントをどうぞ  

Spam Protection by WP-SpamFree