南極ブナの木の下で

 

フィッツロイ山
フィッツロイ山



先日、南米アルゼンチン側のパタゴニアに行ってきました。今回の旅は、フィッツロイ山を見るためのキャンプトレックです。

南極ブナの森を往く
南極ブナの森を往く

パタゴニアは今が夏の時期にあたり、旅行のベストシーズンです。トレッキングルートの難易度は低く、道も標識等よく整備されています。普通の観光客は日帰りで行くルートですが、私はルート上にある2箇所のキャンプ場で合計3泊もして、パタゴニアの自然にどっぷり浸かってきました。

山の中でスローな時間を過ごしていた私ですが、フィッツロイ山の眺望以外で特に印象的だったのが南極ブナの森です。

パタゴニアといえば、偏西風の影響や特異な気象条件から、「世界で一番風の強い場所」とも称されているところ。気象の変化が激しく、夏でも雪やあられに降られることも珍しくはありません。年間平均気温も10度を切っており、そのような厳しい自然環境に適応できた数少ない樹木が南極ブナなのだそうです。

ゴツゴツした樹肌
ゴツゴツした樹肌
曲がりくねった巨木の木陰でお茶休憩
曲がりくねった巨木の木陰でお茶休憩


日本でよく知られるブナとは近縁で、生育環境も似ているようです。パタゴニアの南極ブナは、傾いていたり、ぐにゃぐにゃと曲がっていたりします。これも強風の影響でしょう。幹もゴツゴツしていて、木々それぞれに趣があるように感じられます。これらの木は、人間よりもずっとゆっくりとしたペースで生長し、木によっては数百年という月日をここでずっと過ごしているんだなぁと考えると、尊敬の念すら感じてきます。

フィッツロイ山の麓には、南極ブナの森が広がり、キャンプ地はいずれもブナの森になっています。森が在るか無いかでは、その差は歴然でした。強風下でよろめきながらのトレッキング中、なんともいえない安心感に包まれ体がフッと軽くなったように感じられたのも、激しい風の中ぐっすり眠れたのも、南極ブナの森が守ってくれたおかげでした。

森の中のキャンプ地
森の中のキャンプ地
森に咲く可憐な花
森に咲く可憐な花



パタゴニアの短い夏は、人間と同じく森に守られるように、大地に可憐に咲く花々も楽しめます。あらためて、氷河や山の眺望以外のパタゴニアの魅力を十分に感じることができた旅でした。