添乗報告記

添乗報告記●草原でピクニックしながら楽しむイェルパ・ツェチュ祭(2013年8月)

 

コース名:青蔵鉄道で行く夏のラサとイェルパ・ツェチュ祭8日間
2013年8月11日~18日 文●前田 優希

巡礼者が多数訪れる修行場ダク・イェルパ


イェルパ・ツェチュ祭の全景
イェルパ・ツェチュ祭の全景

ラサから車で約1時間。東に30キロほど行った渓谷にダク・イェルパという場所があります。ここはチベット有数の修行場として知られており、チベットを統一したソンツェン・ガンポ(7世紀)、チベットに仏教を広めたグル・リンポチェ(8世紀)、仏教弾圧により衰退していた仏教を復興させたアティーシャ(11世紀)など、チベットの歴史上の重要人物が瞑想したと言われる洞窟がそれぞれ今でも残っています。そんなダク・イェルパはチベットの人々にとってとても大切な場所で、草原が美しい夏の時期はたくさんの巡礼者が訪れます。
このダク・イェルパで毎年チベット暦の7月10日に「イェルパ・ツェチュ」というお祭りが開かれます。ツェチュとは「(月の)10日」という意味で、グル・リンポチェの生涯で起こった12の重要な出来事はいずれも各月の10日に起きたと云われており、それらの出来事を法要するお祭りです。

ラサからダク・イェルパへ


まだ辺りが暗い朝6:00過ぎにラサのホテルを出発。途中2箇所検問所があり時間をとられましたが、7:30頃無事駐車場に到着。もう少し遅ければ大渋滞にはまっているところでした。車をでるととても息苦しく、ラサよりさらに標高が高い4,400mにいることを実感できます。到着した頃にちょうど東の空から太陽が昇りきり、草原の中いたる所でサン(香草)が炊かれている幻想的な風景が待っていました。

山の中腹にあるお堂と祭り会場の丁度中間地点に、チベット・カゼ・トラベルのスタッフが前日からテントを設営してくれ、そこが私達の拠点となりました。テントに着くと温かくて甘いミルクティーが。朝日が登る中、大草原の風景を見下ろしながらミルクティーを飲むとほっとした気持ちになります。
一休みした後は、巡礼者がずらりと並んでいる列に私たちも並び、お堂を巡礼しました。それぞれのお堂はとても狭い洞窟になっていますが、中に入って「ここであのソンツェン・ガンポが…、グル・リンポチェが…」と想像してお参りすると何だかその場所の重みを感じます。

まだ薄暗い祭会場
まだ薄暗い祭会場
調理テント内でミルクティーの準備中
調理テント内でミルクティーの準備中

祭見学の拠点となったテント
祭見学の拠点となったテント
巡礼の列
巡礼の列

お堂前の売店の男性
お堂前の売店の男性
お堂から見た巡礼の列
お堂から見た巡礼の列




タンカの開帳と「雪獅子の舞」・「アチェラモ」の上演


タンカ開帳
タンカ開帳

巡礼から戻った後、お祭り会場へ向かいます。まずはお祭りの目玉でもある巨大タンカ(仏画)の開帳です。イェルパ・ツェチュで掲げられるタンカは仏教復興の師アティーシャとその2人の弟子が描かれています。このお祭りではタンカの真ん前(手に届く距離!)でお祈りすることができます。私達も巡礼者と同じようにタンカに祈りを捧げました。まず、カタ(歓迎の時などに相手の幸せを願って首にかける白いスカーフ状の布。お供えものにも。)の中にお布施を入れて、タンカ目がけて投げます。その後、タンカの下をくぐるとご利益があるというので私達も地元の人々に混じって体験しました。

お昼前になると、大きなテントが張られた舞台では様々なお祭りの演目が始まりました。まず僧侶たちが「雪獅子の舞」を披露。チベットの国旗にも描かれている獅子(チベット語でセンゲ)は、チベットの雪山に住む神獣で、大地の守護神とされることもあるそうです。ブォーンというホルンや太鼓の音に合わせて、豪快な獅子の舞を見ることができました。
次にチベット・オペラとも呼ばれる「アチェラモ」の上演です。アチェラモは昔の貴族の生活や仏教説話などを歌や踊りで表現したものです。上演が始まると舞台の周りには演目を見ようとぎっしりと人々が集まりました。私達も地元の人に混ざって舞台を楽しみました。人ごみで舞台が見えなく困っていると、微笑みながら「こっちの方が見えやすいよ」とみんなが場所を譲ってくれます。チベタンの優しい心遣いに嬉しくなりました。舞台の周り以外にも、草原では地元の人々が家族や友人と一緒にパラソルを張ってピクニックしながらのんびり過ごしています。

舞台で上演される雪獅子の舞
舞台で上演される雪獅子の舞
舞台を見る人々の様子
舞台を見る人々の様子


巡礼者と一緒にコルラ体験


その後、近くの山まで巡礼者達に混ざってコルラしました。標高4,000m以上ある場所なので、少しの登り坂でもとても息苦しく感じます。山間には、経文が書かれている5色の旗「タルチョ」が風に吹かれてなびいています。晴天の中、草原とタルチョとサンの組み合わせが何とも言えない素晴らしい風景を作り出しています。

近くの山までコルラ
近くの山までコルラ
昔鳥葬をしていた場所
昔鳥葬をしていた場所


草原でのんびりピクニック


お祭りを一通り見た後は、テントに戻ってランチタイム。このランチがすごかったのです。驚いたのがその品数!おかずが15種類くらい並び、ごはん、パン、スープなど欲張って全種類食べようと思うと1枚のお皿には到底のせきれません。もちろん見た目以上に味もいずれも美味!ツアー中食べた中で、圧倒的に一番おいしかった食事でした。ガスボンベやガスコンロ、食材、食器類など山の中腹まで運んでくるのは大変だったと思います。料理がおいしかったのは現地スタッフ達の想いもこめられていたおかげでしょう。

その場で調理されたランチ
その場で調理されたランチ
チベットカゼトラベルのスタッフ
チベットカゼトラベルのスタッフ

草原でのんびり過ごす人々
草原でのんびり過ごす人々
ピクニックしている男性たち
ピクニックしている男性たち

午後からは、お祭り会場に再び遊びに行ったり、午前中まわれなかったお寺を訪れたり、巡礼者たちとの交流を楽しんだり、それぞれ思い思いにのんびり過ごしました。舞台では恐らく地元で有名であろうPOPミュージシャンが出てきたり、一般の人がダンスを披露したり…。みんなワー、キャー言いながらとても盛り上がっていました。

このお祭りの魅力は中国人や外国人含めて観光客がほとんどおらず、チベット人の巡礼者たちがのんびりお祭りを楽しんでいる姿が見られるという点です。青空の下、大草原でゆったりした時間の中ピクニックしながら贅沢な時間を過ごしていただけるイチオシのお祭りです。