高山病にならないためには 風の高所トレッキング

風の高山病対策  執筆●寺山 元(大阪支店)


ゴーキョピークより
ヒマラヤの山々を望む

夏来たりなば秋遠からじ・・・秋と言えば、ネパールのベストシーズン。スカーンと晴れた青空をバックに、白い、厳然としたヒマラヤの巨峰がりんとしてそびえる風景は、何度見てもいつも新鮮な感動を覚えます。加えて、ネパールの人々の暖かいもてなし。生来穏やかな人々であるというだけでなく、我々が触れるガイドなどのスタッフは、サービス業のプロとして、一生懸命努力しているということが最近よく見えてきました。この秋、ネパールはいかがでしょうか?荘厳なヒマラヤ、ネパールの懐かしい暖かさが待っています。

だから大丈夫!風の高所トレック


エベレスト街道にある
マニ石

ヒマラヤを眺める旅といえば、トレッキング。何かとてもハードな山登りをイメージしてしまう方もいますが、歩く際は荷物はポーターが持つ上に、道はよく踏まれた村の道。2・3時間おきにロッジでお茶なども飲めます。日本の山登りよりむしろ楽な「村めぐり」がトレッキングの実際です。
日帰りで歩行1,2時間のお気軽なミニハイキングから、2週間以上をテントで暮らし標高5,000m、巨峰の懐まで至る本格的なものまでさまざまです。 8,000m級の山々を抱くヒマラヤ、その荘厳な風景を求めるなら、はやり本格的なトレッキングが最高。時には標高5,000mを超え、空気の濃度は日本の半分にもなります。そう、高山病の対策が必要になってきます。 ここでは、風の各ツアーコースの中で、どのような対策がとられているかをご紹介します。

高山病じゃなくて「鳥肌」


荷物はポーターにお任せ

高山病の第一段階は、標高が上がることにより、空気の酸素濃度が下がり、その環境の変化に体が「驚く」ことから起こります。例えば、寒いところに突然行った場合、鳥肌が立ちますよね。あれと同じように空気が薄いという環境の変化に生理的に反応している状態で、高山病というより「高所反応」と呼ぶ状態。高所に入ったときの頭痛をよく高山病といいますが、実際にはこの「高所反応」であることが多いです。
鳥肌は別に病気ではないわけで、止めることはできないものです。しかし、季節の変わり目に風邪をひくように、その後の対応次第では病気になります。高山病も同様で、最初の高所反応は自覚症状の有無は個人差がありますが、必ず起こっています。高所反応の段階で適切に対処をとることにより、病気のレベルにならない、させない、という考え方から、いろいろな高山病対策をとるわけです。

高所順応は3,000m台が一番難しい!?


「村巡り」トレッキング

それでは何処から「高所反応」が起こるのか。これも個人差はありますが、だいたい3,000mくらいから反応が起こるケースが多いと思います。ですから、標高3,000m台の順応は、人間の体が高所というストレスを感知し、それに対して適応活動を始める極めて微妙で繊細な状況なわけです。
高所トレックでは、3,000m台での最初の宿泊がこれにあたり通常連泊をします。たぶんこの辺りでは、まだまだ元気な方も多いかと思います。しかし高所反応は自覚症状がなくても必ず起こっており、そのままいつものつもりで動いていると、知らず知らずに大きな付加を加えることになるので要注意。ここの連泊はどんなに調子がよくても、決してスキップできませんので、先を急ぐ気持ちはひとまず置いて、のんびりと滞在をお楽しみ下さい。

生活に疲れた?高山病


自分のペースで
ゆっくりと

初期の高所反応から、調整を失敗してなる高山病を「季節の変わり目型高山病」とすると、10日、2週間という長期の高所トレックの場合は、もうひとつのパターンがあります。低い高度ではぜんぜん元気だったが、結局上には行けなかった・・・というケースでは、3,000m台では元気(のようなきがしている)でも、体にはかなり負荷がかかっており、長いトレッキングになればなるほど、この負荷をどんどん溜め込むことになります。「生命力(体力ではありません)」の貯金があるうちはいいのですが、それを使い果たしてくると、いろいろな不調が出てきます。不調の出方はいろいろですが高所でなった病気はすべて高山病とも言えます。
このような「生活に疲れた型高山病」にならないために、たとえ好調でもとにかくペースは控えめにするのが鉄則。5,000mクラスを目指すトレッキングなら、3,000m台で連泊のあと、4,000m台でも連泊をとります。この連泊の中1日は、あまり張り切りすぎないように!少なくとも半日は、休養日としてごろごろ過ごす(?)のがお勧めです。


高所ほど無理は禁物です!

この他にも、パルスオキシメーター、体調管理表、ダイアモックス、セルティックなど、順応の補助あるいは危機管理にいろいろな小道具を用いています。高所のリスクとつきあいつつ、より安全に、より快適なトレッキングを目指し、研究を進めております。
高山病はお医者さんに聞いても、よく知っている方は極めて稀です。当社には各店舗にヒマラヤ登山の経験者もおりますので、豊富な体験も含め、いろいろなご相談に乗れるかと思います。皆さまのお問い合わせをお待ちしております!

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