やまもりモンゴル

モンゴルの大草原で競馬を見る(ナーダムのお話)

 

7月に入ったモンゴルの空は青く広かった。
ほしのいえで、「あの丘を越えたところにストゥーパがあるんだが、その向こうでやっている」というとってもアバウトな指示を受けて走り出した。あの丘への道も見えないし、ストゥーパってほんとにあるのかないのか。その向こうってのも、東なの西なの?ドライバーを信じて走ること30分。皆無に等しい情報から行き先にたどり着くのだから、モンゴル人の視力と洞察力は、段違い。

モンゴルの競馬は柵もレーンもない大草原
モンゴルの競馬は柵もレーンもない大草原

その場所は、いくら道を間違えても決して彷徨い込まないような草原の奥深く。モンゴルにはこんな「秘密の草原」の呼べるようなところがいたるところにある。

そこで、目にしたものはウランバートル郊外の村アルタンボラグで行われる、小さなナーダム祭に向けての競馬の最終調整の現場だったのです。ゆったりとした時間の中で行われている、男の威信をかけた大勝負の前哨戦でした。

風の旅行社のホームステイでもお世話になっているギーナさん一家は、有名な調教師一家。その息子さんたちもこぞって競走馬を育てては、ナーダムに出場しています。その出場予定馬の仕上がり具合を拝見しに来たのでした。 

モンゴル人の男は寡黙で、無駄に笑顔は振りまかない。ましてや、勝負の真最中となれば顔も厳しくなるもの。半年以上かけて調教してきた馬の出来栄えが試されるときだ。勝負は大人たちだけではない、その馬を操縦する騎手たちも同様。小学校低学年くらいの子ども達が、わらわらと、その馬の周辺に遊んでいるかと思えば、いつのまにか馬に乗り、自分の馬を鼓舞する唄を口々に口ずさみながら、会場を周回している。モンゴル競馬のウォーミングアップ。

子ども達は馬を鼓舞する唄を口ずさみながらウォーミングアップ
子ども達は馬を鼓舞する唄を口ずさみながらウォーミングアップ

モンゴル式の競馬は、馬と子どもの騎手だけが、ここからだらだら(と私たちには見えるくらいのんびり)と、スタート地点をめざして歩き出す。スタート地点はここからは見えない。はるか15~24km向こうにある。そして、スタート地点に全部の馬が到着したころを見計らって、同行していた審査員車からスタートの号令が下され、各馬一斉に、というより、どちらかというと不意をつかれたようにスタートする。正確に一列に整列せずにスタートするところがモンゴルらしい。

前半では、時速約80kmという。そもそも、年端も行かない少年を騎手に仕立てるのは、できるだけ馬への負担を軽くするためで、中には馬具もつけず裸馬で走る少年もいるそうだ。後半でも時速50~60km出ているという(時に)危険な競技。子ども達も真剣勝負だ。

時速80キロの疾走
時速80キロの疾走

調教師たちは、双眼鏡片手に自分の馬の仕上がりと子ども達の騎乗ぶりを見て、チェックする。10km先の豆粒ほどの騎手に向かって「どうしてそこで手綱を緩めるんだ!」と一喝。戻ってきてからも的確なアドバイスを言葉少なに出す。さすがプロフェッショナル。

今回、種馬部門で見事一位となったギーナさんの馬。手早く鞍をはずし、冷えないように背中に毛布を掛けてやる。この調子で本番も活躍しますように。

馬へのいたわりは忘れない
馬へのいたわりは忘れない

国のナーダムはもう終わりましたが、8月後半、小さなナーダムを見に行くツアーがございます。今から間に合うナーダムツアー観戦。こぢんまりとしたナーダムにはとても間近にモンゴルを感じることが出来ます。

【ツアー】ナーダム優勝馬には最高の栄誉が与えられます。[終了] 8/22(金)小さな村のナーダム祭観戦と草原乗馬5日間


※モンゴルでは7月11日・12日の2日間国のナーダム祭が行われ、全国から優秀なモンゴル相撲力士、競馬、弓射の選手が集まり、その技を競います。