ウルムチを出よ!中央亜細亜〜アルマティへ

 

新疆のお隣さんである中央アジアに今年10月中旬から11月はじめにかけて行ってきました。もちろん基点はウルムチです。

新疆ウイグル自治区は日本の4倍以上の面積を持つ大きな行政区域です。広いだけに新疆は、南はチベット、東は甘粛省とモンゴル、北はロシア、西は中央アジアのカザフスタン、キルギス、タジキスタンなど多くの国とその国境を接しています。陸路でも峠を越えればすぐ隣の国に抜けることができます。飛行機を使えばあっという間。ウルムチは中国ですが、北京や上海より中央アジアのアルマティやタシケントなどの都市の方がずっと近く、新疆の大学には語学でロシア語を選択する学生も多くいます。

ウルムチから中央アジアへのルートはいくつかありますが、今回私が選んだのはウルムチとカザフスタンのアルマティを結ぶ国際列車です。国際列車なんて日本では絶対乗れないし、列車で国境越えなんてロマンですよね。

車体にはキリル文字でシルクロードと書いてありますそんなわけで利用してみたこの列車、期待以上でした。ウルムチ−アルマティの国際列車には月曜発(中国側の車両)と土曜発(カザフスタンの車両)の2本があります。私が乗ったのは月曜のカザフスタン車両。これは何と20年以上前のソ連時代の車両なんだそうです。カザフ車両は中国側の車両に比べてボロいと悪評判ばかり聞いていたんですが、乗ってみると意外に快適。質実剛健なソ連風のインテリアは、昭和のSLのようなノスタルジックな雰囲気です。古いのでトイレや給湯器など設備はいかつい形をしていますが、大事に使われているのか故障などで困ることはありませんでした。

デカ帽子の乗務員さん中国側車両に比べて、カザフ車両にはカザフスタン人やロシア人が多いのも特徴です。プラットホームと車内はまるで別の国です。青い目の乗務員さんは中国語が分かりません。日本人が乗ることはまだまだ珍しいようで、ヤポン(JAPAN)と告げると「ヤクシ・クズ」(素敵なお嬢さん)と言ってにこにこ握手をしてくれました。結婚してるしお嬢さんと呼ばれる歳ではないんですが、まぁいいか。握手!

この国際列車の最大のイベントは国境越えです。出発から8時間ほどで列車は中国とカザフスタンの国境へ到着します。陸路で入る中央アジア。ワイロを要求されないか、荷物に難クセ付けられないか。このルートでときどきトラブルが報告されてきますが、そのほとんどがこのワイロと荷物の問題です。

スムーズに国境を越えるコツは周りの人を頼ること。この国際列車は旅行客よりも地元の人が多く乗る交通機関なので、乗り慣れている人が必ずいます。もちろん事前インフォメーションは持っていくにこしたことはないのですが、諸行無常が中央アジアの常。その場の流れに乗る柔軟性がときに必要とされます。

ちょっとレトロな車内今回は福建省からカザフスタンにタオルを輸出している商人のおばちゃんが同じコンパートメントにいました。中国語もロシア語はペラペラだったのでずいぶん助けてもらいました。もちろん師と仰ぐ相手はカザフスタンの人でもいいし、乗務員さんでもいいのです。旅は道連れ世は情け。こうした交流が国際列車の旅の醍醐味でもありますよね。

おいしそうなピロシキを売りにきます出入国手続きのあと列車はカザフスタン側最初の駅、ドストゥク(ドルジハ)駅へ。中国とカザフスタンの軌道は異なるため、ここで1〜2時間ほど停車し車輪の交換をします。建物も人も中国から一気にロシアっぽくなり、国境を越えたことを肌で感じます。駅に着くと、売り子のおばさんがピロシキや干物を売りに来ます。この列車、食堂車はないのですが、自分の食料以外にも、周りの人がカップラーメンとかパンとかをしきりに勧めて下さるし、売り子さんの持ってくる食べ物はどれもおいしそうだし、いつもおなかいっぱいでした。

列車は翌日の朝6時ごろ、アルマティ�駅に到着しました。まだ夜も明けきっていないというのに早起きのアルマティの人々が早くも市場に集まっていました。夜明け。中央アジアの旅のはじまりです。