添乗報告記●西ブータン三都市周遊とパロで民家訪問7日間(2013年12月)

プナカ・ゾンで出会った地方の民族衣装を着た二人

プナカ・ゾンで出会った地方の民族衣装を着た二人

2013年12月29日~1月4日

文・写真●鹿島 菜月(東京本社)

「ブータンの冬は寒いとききますが、どのくらい寒いですか?」

「バンコクは暑いですよね?」

「どんな服装がお勧めですか?」

冬のブータン旅行を検討するお客様からよく頂く質問です。

今回のツアーは、タイのバンコクを経由し、農地が広がるパロ、亜熱帯気候の古都プナカ、ブータンの首都ティンプー、を周遊しました。各都市の気温情報も盛り込んで、今回の旅をレポートします。


【2日目】バンコクパロウォンディフォダン


タイで1泊し、早朝バンコクのスワンナプーム国際空港へ向かいます。12月下旬のタイは1年の中でも気温が低い季節です。今年は例年に比べやや寒いようで、この日の早朝の気温は12℃。長袖を着て、ダウンコートなどの防寒着を手荷物鞄に入れ、いよいよブータンに向け出発です。

国立博物館の入り口

国立博物館の入り口

ブータンのパロに降り立つと、国王夫妻の大きなボードと燦燦と降り注ぐ太陽が私達を迎えてくれました。日中の気温は15℃。太陽の日差しが暖かく、日本の冬より暖かく感じます。フリースやセーターを着ていればコートがなくても快適に過せました。実は、ブータンの緯度は沖縄や奄美大島とほぼ同じ北緯26度です。またパロは標高2,100mと日本より高めなので日差しが強く、さらに冬のブータンは乾燥しているので、晴れていれば体感温度は高めです。

この日はパロにある国立博物館を訪れました。館内にはお祭りで使用するお面や民族衣装、ブータンの自然についての展示品が並び、ベテラン日本語ガイドシンゲ・ナムゲルの説明を聞き、ブータンについてみんなで勉強をしました。その後、標高3,150mのドチュラ峠を越え、今夜の宿泊地ウォンディフォダンへ向かいます。

【3日目】ウォンディフォダン ロベサ村 プナカ ウォンディフォダン


霧に包まれるプナカ・ゾン

霧に包まれるプナカ・ゾン

朝、部屋の外へ出ると、あたり一面に霧が立ち込め、気温は0℃。今にも雨が降り出しそうな空模様に、前日「晴れ女です」と豪語した私は、内心穏やかではありません。

雨を心配しつつ、プナカ・ゾンへ。朝のプナカ・ゾンは霧に包まれ、とても幻想的でした。見学を終える頃には霧が晴れ、青空に映えるプナカ・ゾンを望むことができました。気温も16℃と暖かく、観光日和です。昼食後は、子宝の寺として有名なチミ・ラカンへ片道30分のトレッキングです。畦道をのんびり歩くので、景色を楽しみながらトレッキングが出来ます。景色は日本の里山を思わせる雰囲気で、どこか懐かしく、ブータンを身近に感じることが出来ました。

畦道を歩く

畦道を歩く

日本を思わせる風景

日本を思わせる風景


この日は大晦日という事で、サプライズでホテルに舞踊団を呼び、ブータン各地の伝統的な踊りや歌を観賞しました。曲が変わるたび、衣装も変わり音楽だけでなく、各地の色とりどりの民族衣装を楽しむことが出来ました。

bhutan_tenjo021
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【4日目】ウォンディフォダン ティンプー パロ


ウォンディフォダンを出発し、ティンプーに向かいます。途中、ドチュラ峠で休憩と写真撮影をしました。2日目に訪れた時は夕方だったので分かりませんでしたが、青空に映えるブータンヒマラヤを一望することができ、最高の景色を堪能できました。

ドチュラ峠からの景色

ドチュラ峠からの景色

夕方のドチュラ峠

夕方のドチュラ峠


歴史を感じる床

歴史を感じる床

首都ティンプーはプナカよりは少し寒いですが、日本より暖かく日中の気温は13℃。建設ラッシュ真っ只中で、アパートが立ち並び近代化が感じられました。その後パロへ。日が暮れての到着だったので、気温はぐっと下がり、-1℃。この日は民家訪問を予定していましたが、訪問予定のお宅が12月中旬に突風の被害に遭い、屋根が飛び、見学が出来ませんでした。かわりにホテルオーナーのお宅を訪問しました。

こちらの仏間はなんと築130年!床には長年使い込んだ独特の凹みや傷、光沢光があり歴史を感じます。壁画は職人が直に描き、煤で劣化しないようビニールで保護しているそうです。

【5日目】パロ タクツァン僧院パロ


タクツァン僧院へ向かう服装

タクツァン僧院へ向かう服装

8時にホテルを出発し、片道3時間かけてタクツァン僧院へ初詣に向かいます。早朝は気温0℃と寒いですが、体温は歩くうちに見る見る上がります。歩き始めて約1時間。第一展望台に到着する頃には汗が滴ります。速乾性のインナー(下着)に脱ぎ着の出来るシャツを重ねると温度調節がしやすいでしょう。上り下りは太陽が出ていると汗ばむ陽気ですが、対照的に僧院内は急激に冷えますので、フリースなど、軽くかさばらない防寒着をもって行くことをお勧めします。また、靴を脱いで見学する部屋もあるので、靴下の重ね履きは必須です。また、手袋や帽子は日焼け対策にも役立ちます。

ブータンでは西暦1月1日のお正月は祝いませんが、祝日が重なることもあり、大人の男性はブータンの国技であるダツェ(ブータン弓術)を1日中楽しみます。1月2日は冬至点で祝日だったので、この日は多くの公園でダツェ大会が行われ、その大会の一つを私達も見学しました。

ピクニック気分で見学

ピクニック気分で見学

100m先の的を狙う!

100m先の的を狙う!


ブータンのアーチェリー「ダツェ」は、なんと的が100m以上も離れています。的に矢が当たると、同じチームのメンバーは、ばんざいをしているような踊りを踊るそうです。私達も30分近く観戦しましたが、的に弓は当たらず、残念ながら踊りを見ることは出来ませんでした。女性や子どもは地面にシートを敷き、お茶や自家製のお酒、食事を持参し、ピクニック気分でダツェを観戦し楽しむようです。

【6日目】パロ バンコク


楽しかったブータンの旅はあっという間に過ぎていきました。シンゲさんから、道中の安全を祈る白い布「カタ」をかけてもらい、感動的な別れとなりました。

風にたなびく無数のタルチョ

風にたなびく無数のタルチョ

お経の書かれたタルチョ

お経の書かれたタルチョ


今回のブータンの旅で私が一番気に入ったのは、風にたなびくタルチョです。タルチョとはチベット文化圏に昔から伝わる5色の布で作られた祈祷旗で、布にはお経が書いてあり、風にたなびく度に読経した事になります。また風が祈りや願いを運ぶと信じられています。ブータンの色々な場所で見ることが出来ますが、中でも私の一番のお気に入りは、タクツァン僧院に向かう途中に見る無数のタルチョです。その姿は「世界一幸せな国」から、世界に幸せを運んでいるように見え暖かい気持ちになりました。皆さんも旅先でお気に入りの場所を探してみてください。