中野の桜

*風のメルマガ「つむじかぜ」716号より転載

中野は桜が満開だ。JR中野駅から続く中野通りの街路樹・ソメイヨシノは、見事にびっしりと花をつけ、新井薬師寺の方に向かい哲学堂、西武線の新井薬師駅へと約2kmに亘って咲き誇っている。気象庁では、80%花をつければ満開というそうだが、間違いなく今が100%だろう。道路には、ほんの少しだけ花びらが落ちている。

2018年、訪日外国人の月毎の訪問者数で、ついに4月が8月を抜いて一番になった。桜のお陰である。しかも、年々その数は増えている。しかし、調べてみて驚いたのは、訪問者数の最低が9月で215万人、最高が4月の290万人で、殆ど一年中満遍なく毎月200万人以上の外国人が日本を訪れているということだ。

通常、どの国も観光シーズンはONとOFFがある。1、2月は寒いし雪で移動に支障がでる地域も多いから旅行には不向きだと思うのだが、外国人に人気の富士山は、この季節のほうが美しい。台湾の人には雪そのものが観光対象だし、日本のスキー場も外国人には人気が高い。また、東京や大阪などの都市は季節を選ばない。逆に8月は暑すぎるかもしれない。

ところで、「中野通り桜まつり」が区の主催で毎年行われるが、今年は4/5~4/7である。ソメイヨシノだけではなかろうが、そのころにはすっかり散ってしまう。これは単なる私の想像だが、区が予算を立てて行事を実行するのに年度が違っては何かと困るに違いない。近年は、3月に桜が咲くことが多いので4月の設定は解せないのだが、きっとそんな理由があるのだろう。担当者の苦労をつい思ってしまう。

ソメイヨシノの寿命は60年くらいと聞いたことがある。樹齢30年程度までは成長するが、樹齢30~40年で樹勢がピークとなり、以降は衰退傾向となるのだそうだ。どこか人間の一生に似ている。しかし、樹木医がついてこまめに面倒をみれば枯れずに長生きできるそうだ。ますます人間とそっくりである。

中野通りの桜の根は、すっかりコンクリートの下である。あまり環境がいいとは思えない。弊社も中野で28年になるから、この桜はもう衰退期に入っているのかもしれない。「お~い、元気出せよ!」そんな声でもかけて花見を楽しみたいものである。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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