若き指導者バレンドラ・シャハ首相に期待する

ネパールの話をするのは辛い。2015年のネパール大地震から、まだ11年しか経っていない。あの凄まじい土石流を繰り返し見せられると、暗澹たる気分になる。助かった人たちも、その後、日々どうしているのだろうか。食べ物や水は手に入るのだろうか。日本のように行政による救援の手が即座に届くとは思えない。それでも、ネパール人社会は助け合って生きていくのが常だから、なんとか互助の力で命を繋いでくれていると信じたい。

2015年のネパール大地震の際は、カトマンズでも大きな被害が出た。大混乱の中、弊社の現地支店・NEPAL KAZE TRAVEL(NKT)のスタッフは、自ら直接支援に動いた。私もネパールに駆け付けたが、どうやって支援するかを議論していた際に、「原さんはネパール人の本当の貧しさを知らないでしょう」とNKTのスタッフに言われたことがある。私には、被災した人たちは皆困っているように見えるが、その困難さには大きな差がある。普段から貧しさのどん底にいるのに、被災したら、すぐにでも救いの手を差し伸べないと死に直結する。そんな人たちが存在していることをNKTのスタッフは肌身で知っている。その濃淡が私には見えなかった。

結局、お金でNKTを応援することしかできなかったが、あまりにも被災者が多くて、到底私たちの力では、ほんの一部の人たちにしかお米も水も行き渡らない。それでも、現に困っている人たちを助けることができるならそれでいい。そう思ってやっていたが、限界も感じた。

今回は、少々様子が違う。先般、首相に就いたバレンドラ・シャハ氏がいち早く動き、「ネパール政府首相災害救援基金」に支援金を集中するよう、ネパール国内の団体、さらには海外のネパール人個人・組織、海外の支援団体にも通達し、多くのネパール人もこれを支持し、従うというのである。

彼は、カトマンズ市長として実績を上げ、SNSを使い透明性を重視するZ世代である。まさにその世代から絶大な支持を得ており、従来のネパール政治家とは全く違う。確かに、2015年の震災支援ではNKTは自ら動いて支援物資を直接被災者に届けた。しかし、本来は、国が動いて被災者の隅々にまで支援を行き渡らせるべきだ。

問題はスピードだ。今回、弊社も支援金を「ネパール政府首相災害救援基金」に集中させることにしたが、果たして、どのくらいの速さで被災者に手が届くのか。平等の理念で救済が行われても、間に合わないのでは意味がない。本当に緊急に助けるべき人に、すぐ支援が行かなければ死に直結する。

たった11年で、ネパールという国は大きく変わった。一部の特権階級の利権構造を暴き、若い人たちを中心にして不正を許さなくなった。それを担保したのがSNSである。それでも、根っこの部分まで変わったか否か、不安は残る。しかし、NKTのスタッフをはじめ、ネパール人の多くがバレンドラ・シャハ首相を支持するという。私たちも、新しいネパールの若き指導者に期待することにした。

PS
災害が起きると必ず風評被害が起きる。既にネパールツアーのキャンセルも出始めている。痛ましさは衝撃的であり大変な災害だが、あの地域に限定された話でありネパール全体では観光やトレッキングをするうえでは、影響は極めて軽微である。どうか冷静になって判断していただきたい。これで観光客が減ったら、ネパールで困窮する人たちが激増する。被災地への支援は、ネパールでも日本でも変わらない。迷惑のかからない範囲で、その場を訪れることこそが最大の支援である。だから、シルバーウィークに富山、福井に出かけることにした。

シェアする

コメントを残す

※メールアドレスが公開されることはありません。