ナーガの御札と聖なる牛の糞 ーナーグパンチャミー

キルティプルで見かけたナーガの御札

キルティプルで見かけたナーガの御札

前回のコラムにも書いたように、2月の末から3月初旬にかけてにネパールに添乗に行ってきました。ネパールのツアーは、ほとんどが山でトレッキングをしたり、チトワン国立公園などで自然観察をしたり、ポカラからノンビリとヒマラヤを眺めたりと、アクティビティ系のものがほとんどです。しかし、今回添乗したツアーは、とある経営者の団体からの要望に沿って、風カルチャークラブでもお世話になっている川﨑一洋先生に同行頂き、カトマンズ盆地を中心にネパールの仏教、特にネワール族の「密教を学ぶ」というテーマの研修旅行でした。そのため、カトマンズに連泊し、カトマンズ盆地内のネワールの古都や聖地を巡るという内容で、個人的にもとても新鮮なものでした。

キルティプルの古き良き街並み(ネパール・カトマンズ)

キルティプルの古き良き街並み

ツアーでは、まずカトマンズ郊外にあるヒンドゥ教の女神カーリーの聖地ダクシンカリで、神に生贄をささげる様子を見ることから始まり、パタン、キルティプルと言ったネワール族が暮らす古都、カトマンズの旧市街でネパールにおける仏教とヒンドゥ教の関係を学び、カトマンズ盆地の創世神話と関わるスワヤンブナート、バジュラヨギニ寺院、チョバール渓谷を訪れ、最後にガンジスの上流でシヴァ神の聖地、そして火葬が行われているパシュパティナートを訪れるという内容でした。本来の旅のテーマは「カトマンズの密教を学ぶ」でしたが、密教にはヒンドゥ教の死生観が色濃く反映されているため、「ネパールの死生観を学ぶ」を裏テーマとして日程を作りました。ダクシンカリではヤギやニワトリが生贄として女神に捧げられる様子や、パシュパティナートの火葬風景にショックを受けながらも、中世の趣を残す街並みを堪能し、神々に現世利益を求めるヒンドゥ教、ネワールの密教と、日本の仏教の違いなどを川﨑先生から解説を受けて大いに学ばれたようでした。

お釈迦さまやビシュヌ神とのコラボも:キルティプル(ネパール・カトマンズ)

お釈迦さまやビシュヌ神とのコラボも

ツアー中に、キルティプルの街でガイドのキランさんがとある民家の玄関口の上に貼られた蛇のお札のような絵を指して「これは魔除けの御札です。ナーガと言って蛇の神様です」と何気なく説明しました。蛇は水の神様であり、豊穣をつかさどる神様、そのお札を家の入口に貼り付けることで、家族の健康や繁栄を祈願するのだそうです。

その後、キルティプルの街を散策しながら気にかけてみると、どの家の玄関口の上にもナーガの御札が貼られています。しかも、カラーのもの、白黒のもの、デザインもいろんな種類の御札が貼られていてバラエティ豊かです。そして御札はテープや釘や鋲ではなく、泥のようなもので、コインや藁などと一緒に貼り付けてあります。聞くとそれは神聖な牝牛の糞だそうです。ヒンドゥ教では牛はシヴァ神の乗り物、神聖な動物なのでその糞も清めの効果があるそうです。ちなみに、この御札は毎年「ナーグパンチャミ」という夏に行われるお祭の際に張り替えられるそうです。カトマンズ盆地では、街をふらふら歩くだけでも常に発見と学びがあります。さらに、それを丁寧に教えてくれる講師やガイドが同行するというのは本当に贅沢な経験だと改めて気づかされます。

これまでに10数回は訪れているカトマンズですが、その奥深さを改めて実感する時間でした。ヒマラヤトレッキングやバードウォッチングなどに行かれる方も、カトマンズを単なるゲートウェイとしてだけ訪れるのは勿体ないので、是非ともトレッキングからカトマンズに戻られた日にはゆっくりとカトマンズの古都巡り、聖地巡りを楽しんでいただきたいと思います。

カラフルなものもありました(ナーガの御札):カトマンズ

ゴージャスなものもありました

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