
ペルーといえばマチュピチュ遺跡やナスカの地上絵を訪れるコースが人気ですが、ペルーの魅力はそれだけではありません。まだ意外に知られていない見所としてご紹介したいのが、北ペルーの海岸・砂漠地帯にある「トルヒーヨ」の街です。巨大な砂漠の古代遺跡や、パステルカラーの色鮮やかな街並み、海水浴客で賑わうワンチャコ海岸など、トルヒーヨの街には見所がいっぱい。その魅力についてご紹介いたします。
写真/左・中央:チャンチャン遺跡 右上:ユニークなモチェ文化の陶器 右下:ワンチャコ海岸のトトラ舟

北ペルー海岸・砂漠地帯に位置する トルヒーヨ
ペルーの地形といえば、アンデスの雄大な山々を想像される方が多いのではないでしょうか?もちろんアンデス山々はペルーの代表的な景観の一つなのですが、赤道直下~南緯18度あたりの低緯度地帯に約6,000mの高度差が存在するペルーの自然は、とても多様でダイナミック!
太平洋側に位置する海岸・砂漠地帯を「COSTA コスタ」、南米大陸を南北に連なるアンデス山岳地帯を「SIERRA シエラ」、国土の半分以上を占めるジャングル地帯を「SELVA セルバ」と呼び、その多様な自然は3つの地形に区分されます。
今回ご紹介する、トルヒーヨは、北ペルーの「コスタ」に位置し、アンデスの山々とは全く異なる自然と文化が魅力的な場所です。
パステルカラーの優雅な町並み

パステルカラーの街並み
リマから飛行機で北に約1時間、海辺の街トルヒーヨがあります。スペインの征服者フランシスコ・ピサロが自分の生まれ故郷と同じ名前をつけ、アルマス広場を中心に、カテドラルや修道院、官邸などスペイン風の街並みを造りました。
青・黄・赤など綺麗なパステルカラーで彩られ、ついつい写真に撮りたくなるような色鮮やかなコロニアル様式の美しい家並みが続きます。建物にはレース模様の鉄格子窓がついており優雅でかわいい雰囲気を醸し出しています。
砂漠の都市遺跡チャンチャン

日干し煉瓦の遺跡としては世界最大規模のチャンチャン
ペルーの古代遺跡といえば、インカ文明の遺跡『マチュピチュ』を代表とする石造建築を連想される方が多いことでしょう。海岸・砂漠地帯である北ペルーには日干し煉瓦(アドベ)で造られた都市遺跡がたくさん残っています。その中でも1986年ユネスコ世界文化遺産にも登録されている『チャンチャン遺跡』は世界随一の大きさの泥(日干し煉瓦)の遺跡として有名です。
13~15世紀にかけて北部に栄えたチムー王国。その首都であったチャンチャンは20平方キロメートルにも及ぶ巨大都市で、全盛期には25,000人を越える人々が住んでいたと言われています。主神殿、儀式の広場、食料倉庫、貯水湖などを見学できます。遺跡の壁には鳥や魚のユニークなモチーフのレリーフが見られます。インカ帝国のルーツの一つであるチャンチャン遺跡に立ち寄ってマチュピチュ遺跡を訪れることで、ペルーの歴史の流れをより深く感じることができます。
そういった意味でも北ペルーは歴史好きの方には一押しの場所です。
対峙する2つのピラミッド月のワカ・太陽のワカ
紀元前後~7世紀頃まで栄えたモチェ文化。モチェ時代の代表的な遺跡が月のワカと太陽のワカです。「ワカ」とは神殿を意味し、この2つのワカは500mくらい離れて対峙しています。かつては2つの間に町があり政治的な建物などが並びエリートたちが暮らしていたと考えられています。1億個以上の日干し煉瓦で造られた太陽のワカは外からしか見ることができませんが、保存状態が良く壁画の色が鮮明に残っている月のワカは中を見学することができます。中には5層から成る神殿があり、囚人や蜘蛛などユニークなレリーフが今に残り、宗教的な儀式が行われる場所だったと言われています。

モチェの神様が描かれた壁画

ユニークなレリーフが残る神殿
美味しいシーフードを求めワンチャコ海岸へ

美味しいシーフード料理は海岸地方の名物
※夏(12月~3月)が例年海水浴シーズンとなります。

トトラ舟がならぶワンチャコ海岸

おしゃれな海岸沿いのレストラン

トルヒーヨの人懐っこい子どもたち
北ペルーの海岸・砂漠地帯からマチュピチュやクスコがある山岳地帯を旅することで、ペルーの地形の多様性を楽しんでいただけることでしょう。またプレインカ(チムー王国や、モチェ文化のようにインカ帝国以前に栄えた文化のこと)からインカの遺跡を見ることで、より深くアンデス文明の歴史に触れることができます。王道コースもいいですが、一味違ったペルーを見ることで面白さも倍増すること間違いなしです。