添乗員報告記●マチュピチュとナスカをじっくり満喫
インカ古道ハイクとマチュピチュ・ナスカ9日間

2007年10月12日(金)〜10月20日(土) 文●平山未来


サン・クリストバル教会にて

インカ帝国時代に築き上げられ、現代に残されたインカ古道(インカトレイル)を一部歩いて、空中都市とも謳われるマチュピチュ遺跡へと辿るハイキング。 500年前の人と同じ道を同じ方法で歩み、思いをはせながら一歩一歩近づき、眼下にマチュピチュ遺跡が広がる様は感動的!の一言につきます。
インカ古道ハイク以外にも、インカ帝国の首都クスコの古都歩き、はたまた風の谷のヤナワラでアンデスの恵みも堪能、陸路と遊覧で楽しむナスカの地上絵etc。非常に高度順応もしやすく風の人気のコースの一つです。今回はそんな内容充実なツアーの前半部分をご紹介します。

聖なる谷・ウルバンバへ

国際線でまずはリマに到着。 2日目の早朝には、国内線でクスコへと移動。薄い空気と肌寒い気温に体をなんとか慣らし、車を走らせること2時間。着いた場所はクスコ郊外にあるウルバンバ。クスコ北西には、ウルバンバ川が開いた谷が広がっています。インカ皇帝直轄の領地だったこの谷は、聖なる川ウルバンバが流れ、水が豊富であること、土地が肥沃であること、交通の要所だったことなどから、「聖なる谷」と呼ばれています。ウルバンバ川は大河アマゾンの源流の一つにもなっています。旅行中に食べることが出来た鱒は、聖なる谷の川の産物。とってもおいしい!

ウルバンバから更に少し走ると、オリャンタイタンボ遺跡が見えてきました。インカの時代、「タンボ」ケチュア語で旅籠)と呼ばれる施設が街道沿いにいくつも作られ、宿泊所や食糧の貯蔵庫として利用されていたそうです。このオリャンタイタンボもその一つで、スペイン軍との要塞跡ともいわれている場所です。標高約2800mにある遺跡の階段を300段(!)、深呼吸をしながら上りきると広場があり、オリャンタイタンボの村が一望できます。ふもとの村では、インカ時代の灌漑用水路や下水が今も使われており、広場では国花のカンツータが美しく咲いていました。


遺跡から村を一望

おいしいマスの塩焼き

ペルーの国花カンツータ


風の谷・ヤナワラでアンデスの恵みを食す

お昼になり、次に向かったところは「ペルー支店直営施設ヤナワラ」。少人数の場合にはウルバンバ の農家で昼食になるのですが、今回はグループだったために、ヤナワラで昼食をとることになりました。 風のグループツアーで訪れるのは実は今回が初!ワクワクしながら農道を下り、まず歓迎してくれたのは一頭の羊。まるで犬のような人懐っこさに、早くも癒されます。

ヤナワラの敷地内にあるものはすべて、アンデスの気候と風土に合わせ、土や石、藁などの植物を混ぜた天然素材で作られています。アンデスの人たちと同じように昔ながらの造りをした家。そんな自然にも人にもやさしい空間で、この地で作られたおいしい野菜料理をいただきます。

庭でクイ(アンデスで家畜として飼われている食用モルモット)やニワトリなどを観察していた矢先、ペルー支店代表の直子さんに「もうすぐ出来上がるわよ!」と声を掛けられました。覗いてみると、庭の土が小山のように盛り上がっていて、中には焼いた石と野菜が入っているとのこと。アンデス流の焼き芋?ジャガイモはアンデス原産と言われているものの一つですが、種類だけでも数百種類あるそうです。ヤナワラでも、大小様々な数種類のジャガイモが、おいしく焼きあがりました♪


ヤナワラの番羊?

アンデス流の焼き芋

ヤナワラの食事一例



雑穀キヌアを混ぜたご飯

季節のフルーツデザート

チチャ・モラーダ



早速、ダイニングルームに移動をして、焼きあがったばかりのジャガイモやお豆、新鮮なサラダ、優しい味の野菜スープなどをいただきます。石焼き芋には、インカの塩がよく合います。調味料だけでも、何種類か用意されてあるのですが、お塩だけでも充分においしい。そして食後には、チチャ・モラーダと季節のフルーツが出てきました。チチャ・モラーダは紫トウモロコシに果 実や砂糖などを加えて水煮し、それをこして冷やした清涼飲料です。鮮やかで澄んだ紫色が目を引きます。

めずらしい食材や楽しい話で、気づけば全員お腹いっぱいに。でも、体に優しい食材ばかりなので安心です。アンデスの自然の恵みをたっぷり頂き、満腹満足。最後は直さんの美しいポエムに心を打たれつつ、風の谷・ヤナワラをあとにしました。

いざ、インカ古道ハイクに出発!

3日目の早朝、まだ暗いうちから起き出し、まずは車でオリャンタイタンボ駅へ向かいます。ここからペルーレイルのビスタドームに乗り込み、列車に1時間ほど揺られます。指定席で窓の多い快適な観光列車でしばし寛いだ後、いざ、荷物を背負って列車を降ります。そこは本当にホームも何もない場所。唯一、「104km地点」とわかる看板だけがありました。本当にわずかな停車時間。同じ列車に乗っていた乗客たちが私たちにエールを送ってくれました。


きさくなビスタドームの乗務員さん

104km地点で下車


104km地点の標高は2250m。ここからハイキングのスタートです。まずは少し下ってウルバンバ川に架かる橋を渡り、列車の線路の対岸へ出ます。 5分ほどでチェックポイントの小屋が見えてきました。ここでインカ古道ハイクの許可証とパスポートのチェックが行われ、ついでにトイレと準備体操を済ませます。ここからしばらくは登り続きの行程。服装を調整し、気合をいれます。出発してすぐに、チャチャバンバ(2,170m)という遺跡が目に入ってきました。小さな遺跡で、住居跡のほか祭壇や沐浴場の跡が残っていました。

遺跡を見学しながらガイドの中澤さんの説明を伺い、また登りはじめます。昔のインカの人々が使っていた道だけあって、足元は予想以上に歩きやすい。石段なども多いのですが、やはり人の歩幅に合わせて作ってあるので、無意識にも足が進みます。そんな軽快な足元の脇を彩るランなどの花々も、目を楽しませてくれます。ベゴニアやランの仲間などなど。ピンクや白や赤や黄色の花々が街道に点々と咲いており、植物観察の道中にもなりました。


チャチャバンバ遺跡

古道を彩る鮮やかな花々

ベゴニアの咲く
ハイキングルート


山あり、滝あり、花あり、遺跡あり・・・

歩いている途中、右手にはウルバンバ川と線路があり、マチュピチュ行きの列車が何本も汽笛を鳴らして通って行きます。我々は列車を横目に、ゆっくりゆっくり、遺跡へと近づいていきます。しばらく歩くと、はるか前方の山肌に遺跡が見えてきました。ウィニャイワイナ遺跡です。まずはそこを目標に歩き、休憩をしながら進むこと2時間ほどで、急に緑が濃くなり、少し下ると、滝が現れました。 ここで滝を眺めながら、マイナスイオンがとっても気持ちよい。遺跡まではもう少し!

滝から急な登り道を進み、漸く進むと、頭上にウィニャイワイナが見えてきました。入り口手前で階段を上ると、遂に到着!とりあえずはウィニャイワイナの最下層の段々畑で一休み。 ここからの眺めは格別です。辿って来た道やウルバンバ川を見下ろし気分は爽快!汗をかいた体を冷やしてくれる心地良い風。ウィニャイワイナは土地の名であると共に、この辺りに咲くランの花の一種の名前でもあります。「永遠の若さ」という意味のケチュア語で、このランに限り、雨季に限らず年間、花開いているそうです。丁度、遺跡の近くで美しく咲いていました。

この遺跡にはテラス状の段々畑が残されており、一説には農業試験場として、様々な作物を生産していたそうです。石造りの建物はその生産物の貯蔵庫で、何種類もの芋やユカ、コカ、キヌア、トウモロコシなどが作られ納められていたとのこと。もちろんこの遺跡は歩いてしか来る手段がないので、ほとんど人がおらず、非常に静かな場所でもあります。


緑の濃くなってきた樹林帯

マイナスイオン溢れる滝

ウィニャイワイナの花



眼下にウルバンバ川

ウィニャイワイナの遺跡群

遺跡全景



出発から4時間ほど経過し、気づけばお昼の時間。ウィニャイワイナ遺跡のすぐ先に休憩小屋があります。ここは3泊4日のインカロングトレックで宿泊する場所にもなっています。お楽しみのランチは、特製の日本食のお弁当。嬉しいおにぎりとお新香。これで力をつけて、ここから2時間程度の歩行と最後の登りに備えます。

しばらくは緩やかな登り下りの道が続きます。後ろを振り返るたびに自分たちが辿って来た道が懐かしく見えてきます。でも、まだ前方にはゴールのマチュピチュは見えません。午後の出発から1時間半ほどで、最後のきつい登り階段登場。両手両足を使って、落ちないようにゆっくりと上がっていきます。登りきったところにガイドの中澤さんが「もうすぐ先でマチュピチュが見えますよ」と天からの一声。皆さん、マチュピチュ目指して再び元気に歩き出します。

感動のクライマックス、マチュピチュへ!

少し歩いたところで、すぐに看板が現れました。遺跡の見張り台と言われているインティプンク(2,720m)。 石の階段を登りきったところで、「わ〜、マチュピチュ!」と、皆さんの歓声と共に、待ち焦がれたマチュピチュ遺跡が眼下に現れました。ここまでは全く見えなかったマチュピチュだけに、感動もひとしお。なかなかその姿を見せず、空中からしか存在を確認出来ないことから空中都市ともよばれる遺跡の意味を改めて感じることも出来ました。


最後のきつい登り階段

インティプンク(太陽の門)

インティプンクからの眺望



インティプンクからは下り道になり、遺跡がどんどん近づいてくるので、軽快な足取りに戻ります。遺跡の周囲 は断崖絶壁の山々、すぐ後ろに聳えるワイナピチュやクネクネのハイラム・ビンガムロード(バス道路)、眼下には鉄道駅や、ふもとの町も見ることが出来ます。

夕方の4時、最終目的地マチュピチュに辿り着く事が出来ました。ようやくゴール!ここまで歩いた達成感と遺跡の素晴らしさの感動が入り混じり、疲れはすっかり吹き飛んでしまいました。

遺跡では、リャマがのんびりと歩いています。遺跡の全景を前に写真を撮り、この日はゆっくりとふもとの村で宿泊し、翌日に再び遺跡を訪れ、ワイナピチュにも登って反対側からの眺望も堪能。(その後クスコ・ナスカへ)

インカ時代に作られた小さな遺跡をめぐり、残された遺跡の意味を学びながら歩く道。アンデスらしい景色や歴史を存分に堪能できた旅でした。


感動のゴール!