新人がネパール・トレッキングに初挑戦! 高所トレック研修体験記

新人加藤がトレッキングに初挑戦!
ゴサインクンド高所研修 2008年1月12日~1月23日  文●加藤亜里沙(東京本社)


ゴサインクンドへの道

2008年1月、風の旅行社発祥の地であるネパールで5泊6日の「高所トレック研修」に参加してきました。「高所トレック研修」とは、ネパール支店のトレッキングガイドを対象に、風の旅行社のお客様をご案内するプロとしてのガイディング技術を指導するものです。高山病の予防方法、急病人の搬送の仕方、歩き方やコースの説明の仕方、風の旅行社ならではのサービスの仕方等を、東京本社から出張した山のプロが徹底的に伝授します。

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ネパールでトレッキングガイドになるには、一般的に、ポーター→キッチン(神聖な場所である台所で料理の手伝いや指導等をする)→サブガイド→ガイドという段階を踏みます。今回の研修参加者は皆このような段階をきっちりと踏み、ガイドとして何年も経験を積んでいますが、定期的に研修をすることで、自身のガイディングを反省する機会を持つとともに不足点を補い、何かあった時も共通認識の下に迅速に対応することができます。今回の研修では、総勢19人のスタッフで3,000m以上の高所に行き、ガイド自身も高所反応を体感しながらよりよいガイディング技術を学びました。コースは、カトマンズから車で8時間北上したシャブルからスタートし聖なる湖「ゴサインクンド」(4,380m)目指す登山経験者向きのコースです。
私は何度かネパールに訪れた事がありますが、山登りに関しては全くの初心者です。でも、今回は13人のベテランガイドと東京本社からの研修講師の古谷さんも一緒なので、安心して参加しました。

トレッキングに行く前の準備

いくらベテランガイドがついていると言っても、3,000m以上の宿泊を伴う高所トレックには不安もあるし、準備も必要です。出発前は東京本社の山人スタッフを捕まえては質問攻めにして必要なものをそろえていきました。なかでも高所トレックの準備をするにあたって私が特に役に立ったと思うものをご紹介します。(弊社では、高所トレックに参加されるお客様には装備リストを郵送していますので、詳しくはそれを参考にしてください。)

  • 新しい靴の履き慣らし(私は出発の3週間前から毎日履いて通勤しました。)
  • ヘッドライト(ほとんどのロッジはソーラー発電なので、夜は電気が使えないことが多いです。ヘッドライトは両手が使えるので、とっても便利。山以外の場所でも、ネパールでは停電が多い為、大活躍します。)
  • 首に巻く新素材のタオル(フリース製のネックウォーマー等も売られていますが、タオルを首に巻くと温かい上に汗が拭けますし、新素材だとすぐに乾きます。東京本社のスタッフ・山田が教えてくれた、とっておき情報です。)

服装について


トレッキングに持って行ったもの

服装は重ね着をして、脱ぎ着しやすいものを持っていきました。参考までにご紹介します。

<標高3,000m以下>
(上) 帽子、サングラス、タオル、新素材シャツ、ウィンドブレーカー(風を通さないもの)
(下) ズボン、靴下、休憩時はそれらに加えてフリースの上着。

<標高3,000m以上>
(上) 毛糸の帽子、サングラス、タオル、新素材シャツ、ダウンジャケット、ウィンドブレーカー、手袋、手袋の中にホッカイロ
(下) 新素材スパッツ、ズボン、靴下

持っていったものの使わなかったのは、セーターです。かさばってしまうし、フリースとダウンジャケットで充分でした。5泊6日の今回のコースで、私は新素材シャツ3枚、靴下3足を着まわしました。私が行った1月は雪が降るほどで天気が悪く、洗濯もできませんでしたが、高所に行くとあまり汗もかかないのでそれで充分でした。

トレッキングの朝


朝のストレッチングで
しっかり筋をのばす

トレッキングの1日は、チャー(香辛料入りミルクティー)を飲み、脈拍と血中酸素濃度を測定することから始まります。研修中は毎朝、パルスオキシメーター(血中酸素濃度測定器)を使って測定の仕方を実践しました。皆で異常がないか確認し合うと、軽く朝食を取ります。朝食には、チャパティという全粒粉と水を捏ねて焼いたものや、食パンにはちみつをかけたものを食べます。トレック中は下痢を起こし易いので脂の多いものは避けます。食後は、忘れずにダイアモックス(高山病予防に効果があるとされ、弊社でも服用をお勧めしています)を飲みます。お腹がふくれてくつろいでいると、その日の行程の説明があるので、現地でプレゼントされる特製地図でコースや高度を確認します。その後、準備体操。古谷さん指導のストレッチングは、特にトレッキングで使う筋肉をよく伸ばすように考案されていますが、ネパール育ちのガイドには慣れない動きも多く、皆で笑いながら励ましあいながら体操をしました。その後、ストックの使い方や、疲れない登り方・下り方のアドバイスがあります。

疲れない歩き方

  • 登りは足裏全体を地面にのせるような足運びをします。平地で歩いている時のように足先で地面を蹴って歩くのではなく、腰を前に移動させる感覚。歩数を多くし、小刻みに登った方があまり筋肉を使わなくてすむので疲れません。また、ストックを使って両手で体を押し上げて登ると、更に楽に登れます。
  • 下りはひざをよく使い、太ももの筋肉を使って降ります。ストックを前方に突き、スキーをする時のような重心バランスで前方に重心を保ちます。そうすれば、転んでもずり落ちる心配がありません。かかとから下ると膝に負担がかかるので、つま先から降りるようにします。
  • ストックは2本使います。登りは短めに調節をします。ベルトラインにグリップの端が当たるくらいの長さです。下りは肘が90度になるようにして長めに調整します。平地では、体の後ろの方でストックをひきずるようにして歩くと疲れません。

落ち葉の多いところや氷道の下りは滑り易いですが、ネパールでは転んでしまったら、「魚が釣れたよ!」と言うそうです。「今日は沢山魚を釣っちゃった。」そんな粋な言い方をする貴方は転んでもネパールトレック上級者です。

いよいよトレッキングスタート!

一晩お世話になったロッジでミネラルウォーターを買うと、いよいよトレッキングに出発です。たくさん深呼吸をすること、水分をたっぷり取ること等に気をつけながら、吊り橋を渡り、雪を抱いた峰峰に見とれながらトレッキングを楽しみます。途中、休憩するロッジでは温かいレモンジュースをよく飲みました。これを飲むと不思議と心が安らぎ、疲れが吹き飛びます。昼食はロッジでダルバート等を頂きます。ダル(豆のスープ)の塩味が汗をかいた体に染みていきます。


朝起きたら一面銀世界。
最終日は25cm程の雪が積もりました。

あたたかいレモンジュースを注ぐ。
おかわり自由。



ネパールの定食「ダルバート」

午後のトレッキングを終え、その日宿泊するロッジに到着すると、すぐにでも中に入って休みたい気持ちをぐっとこらえて、ロッジの前で呼吸を整え、ストレッチングをしてその日使った筋肉をよくほぐします。すぐに中に入ってしまうと、高度差や温度差に気分が悪くなってしまう事があるそうです。夕食はメニューの中から好きなものを選べますが、やっぱりダルバートをいただきました。

ロッジについて

ロッジは大抵1階に暖をとるストーブと食堂があり、1階の奥か2階以上が部屋になっています。トイレや水道は共同です。各部屋に暖房施設はありませんが、 1階のストーブを囲んで参加者の皆でいろんな話に花を咲かせるのもトレッキングの魅力の一つです。歌を歌ったり、本を読んだり、カードゲームをしたり…いろんな過ごし方があります。3,000mを越える高所では、窓の隙間から夜風が入ってくると寒い思いをしますので、部屋に入ったらカーテンの上に荷物を置いて、窓の隙間をできるだけふさぐように工夫します。就寝時は、ガイドが寝袋をセッティングしてくれます。研修ではお客様が温かく寝やすいように寝袋のセッティング方法を試行錯誤している風景が見られました。寝る前に渡される湯たんぽは、朝起きてもまだ少しぽかぽかしています。寒い夜に頼りになる存在です。


ラウルビナヤクのロッジ

ロッジの部屋は木のぬくもりが
感じられる


聖なる湖ゴサインクンド

今回のトレッキングの目的地は、聖なる湖ゴサインクンドです。森林限界を超えた人っ子一人いない山の世界に凍った湖が現れた時は、思わず息を呑みました。ガイドの皆に安全な場所を教えてもらい、ほんの少しだけ氷の上を歩いてみました。湖の上を歩くなんて、初めての体験です。ゴサインクンドまで来ると、時には大変な思いもするトレッキングに夢中になる人がたくさんいることが理解できた気がしました。高所での冷たく澄んだ景色には確かに人を夢中にさせ、また来たいと思わせるものがあります。


凍った湖の上に立つ!

聖なる湖・ゴサインクンド湖


高所研修

ずっとトレッキングを満喫していた訳ではありません。ネパール支店の全トレッキングガイドが、講師の古谷さんによって山のプロとしての仕事をみっちりしこまれました。講義だけではなく、実際の山での実践をともなった研修だったため、研修後はどのガイドも口を揃えて「お客さんに自信を持って案内できるようになった」と言っていました。


セルティックの使い方を学ぶ

パルスオキシメーター
(血中酸素濃度測定器)を
定期的に使って高山病予防



捻挫した人、膝が弱い人への
テーピングの仕方を学ぶ

疲れない登り方・下り方、
ストックの使い方を学ぶ



雪の上・氷の上の歩き方を学ぶ

道が壊れていたときの
ロープの使い方を学ぶ



急病人の搬送方法を学ぶ

寝袋のセッティングに
試行錯誤

寝る前の湯たんぽは笑顔とともにご提供



今回の研修には、ネパール支店スタッフだけでなく、モンゴル、新疆、ダージリン、ブータンの4カ国からの支店スタッフも参加しました。それぞれ個性的で、研修に色を添えていました。詳しくは本人達が書いたネパール研修日記を見て下さいね。

研修を終えて


研修の合間も真剣勝負!

今回の研修で私自身、高所トレックについて様々なことを学びましたが、それとともにガイドの皆さんのプロ意識を見せつけられました。殆どのガイドは日本語を流暢に話し、研修中にノートを覗くと、なんと日本語で懸命にメモをとっています。トレック中は、ネパールの民族や文化等いろいろな話をしてくれました。また、不安定な足場を教えてくれたり、枝などの障害物を取り除いてくれたり、声をかけ続けてくれたりと、安全にトレッキングを楽しんでほしいという気持ちが伝わり、安心してトレッキングを楽しむことができました。ロッジでの夜は、皆で歌を歌ったり冗談を言ったり。お客様をただ行程通りお連れするだけではなく、自分達自身山を愛し、トレッキングを楽しみ、楽しんでもらう。そんな姿勢を強く感じました。そんな彼等にたくさんの人が出会い、もてなしの心とともにトレッキングを楽しんでいただきたいと思います。私も、また彼等と一緒にトレッキングに行くのが心から楽しみです。


高所研修参加者一同、目的地に到着!


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