添乗報告記●ゴレパニ山村トレック8日間(2007年4月)

2007年4月29日~5月6日(帰国は7日)  文●田中真紀子(東京本社)

GWの連休を生かし、存分にネパールトレッキングを楽しめる「ゴレパニ山村トレック」ツアーに添乗員として同行させていただきました。往復ともに飛行機の大幅な遅延トラブルに巻き込まれながらも、天気、スタッフ、お客様、全てに恵まれ非常に思い出深い旅となりました。毎日笑いのたえなかったツアーの様子をほんの一部ですがご紹介させて頂きます。

波乱の幕開け?!


待ち人来る
(photo by A. HIROTSU)

4月29日。一路目指すは首都・カトマンズ。翌日からのゴレパニ・トレッキングに備え、夜はふかふかのベッドで安眠、の筈が・・・夜10時を過ぎても関西空港で足止めを食っていた私たち。なんといきなり飛行機が10時間の遅延となり、夕暮れのカトマンズに到着予定が関西空港で星を眺めることに!出発前から一波乱ありそうな予感はあったのです。出発前日に「2時間遅延が確定しています」とネパールへご一緒するお客様全員にご連絡した時から・・・。そんな状況下だったので、搭乗開始のアナウンス、離陸、経由地での機内待機など普段はなんということない旅の日常風景が全てドラマチックな重みのあるものに感じられる程でした。
大気が不安定だった為、更に到着が遅れるのではと心配しましたが、離陸後のフライトは順調で予定飛行時間通 りに翌朝カトマンズ空港に到着することができました。空港出口でネパールカゼのガイド達、そして我らがリーダー、ホムの笑顔をみつけた時は本当に嬉しく、安堵しました。


沢渡り

結局私たちゴレパニ・グループはホテルへ行く時間的余裕はなく、国際線ターミナルからそのまま国内線ターミナルへ。疲れた体をチキンスープで癒した後は、空路ヒマラヤ・トレッキングの玄関口、ポカラへ向かいます。
その後まもなくトレッキングのスタート地点ナヤプルへ。一晩中空港と飛行機で過ごした後のトレッキング開始は全員にとって決して楽なものではなかった筈ですが、誰一人不満も口にせず、その日の宿泊地ティルケドゥンガへゆっくりと歩きだしました。途中、沢渡りをしたり、村を通過する際には機織の様子を見学させて貰ったり、初日のトレッキングにふさわしく穏やかに時間が流れていきました。

いざゴレパニへ


雲間から覗くアンナプルナサウスの頂

山に強い弊社スタッフさえも急できつい坂と称するウレリまでの階段坂道を登り、さらに谷越え、山越え、ツアータイトルにもなっているゴレパニを目指します。途中、緑の山の隙間からアンナプルナ・サウスの山肌がチラリと見えたものの、すぐに雲に隠れてしまいました。次のビューポイントではその姿を拝めるように期待しながら進むこと7時間。ゴレパニ村のてっぺんまで登ると正面にはアンナプルナ・サウスの頂が雲間からのぞいていました。その圧倒的な存在感に歓声をあげ、今までの疲れも一瞬にして消し飛びます。思わず「よかったぁ!見えたぁぁ!!!」の言葉とともに両手を天に突き上げていました。ミルクティー片手にロッジの食堂からアンナプルナ・サウス山群、ダウラギリ山群をメンバー全員で見た時、正直この旅で初めてホッと一息つけたような気がします。皆さんの「あぁ、素晴らしいな。来てよかった・・」の声を聞き、こちらまで嬉しくなりました。

そして、さらにこの日の部屋は全員マウンテンビュー。カーテンを開けると目の前にアンナプルナ・サウスが正面に見えます。スタッフが頑張って私たちの到着前にいい部屋を確保しておいてくれたのです。数字の部屋番号の他に、私達の泊まった棟の各部屋にはマリア・シャラポワ、ジネディーヌ・ジダン、カール・ルイスなど有名なスポーツ選手の名前がついていました。こんな遊びも心弾む私達の旅気分を盛り上げてくれます。

夕食は途中から停電となり、ろうそくの中でこの旅初めてのダルバードを食べました。私はもちろん手で(笑)。待望の山が見えた安堵感からか心なしかメンバー全員の表情もトレッキング開始時よりぐっと明るく、会話も食事も弾みます。


夜のサウス(photo by A. KATO)

明日はいよいよこの旅のハイライトともいえるプーンヒルへの早朝ハイク。早起きに備え全員で早目に部屋に切り上げました。部屋に戻った直後、「外見て!」の声が廊下に響き、急いでカーテンを開けると、なんとそこにはアンナプルナ・サウスがその雄姿を覗かせていました。雲一つない空にそびえるサウスの美しさたるや言葉にできません。まして、じらされ待たされ続けた私たちには一雲まとわぬ神々しい姿にみとれてしまいました。ひとしきり興奮し感嘆の声をあげた後、熱を冷ますが如く外へ。外気に触れながら自分も眼で山を眺めたかったのです。昼間の暑さは露ほどもなく、ひんやりとした風が吹き抜けます。

月明かりが山頂付近を照らし山肌が銀色に輝き、万年雪は白く光沢を放ち、山の周りを星が弧を描きながら昇る様は息を飲むような美しさでした。
月は満月。優しくも強い光で下界を照らし出します。月光を一身に浴びながら月に向って「どうか明日も晴れますように」と祈りを捧げられずにはいられませんでした。

プーンヒル!


スタッフ集合!プーンヒルにて

早朝4時起床。4時半出発。まだ暗い中サーチライトを照らしながらダウラギリ山群の展望台・プーンヒルへと向います。5時を過ぎた頃から東の空が白みはじめ、徐々にヒマラヤの山々の稜線が空に浮かび上がります。歩を止める度に刻々と変化する山の朝にみとれ、夜明けをちゃんと頂上で迎えられるよう先を急ぎます。
頂上に着くと、既に夜明けを待つ人々が大勢その瞬間を今か今かと待ちわびていました。この日は予想していたより暖かく、セーターやフリースを着込んでいた私は若干防寒過剰気味。とはいえ、ここは標高3,193mの山の上。日が出るまではやはり寒く、ガイド達が用意してくれたコーヒーの甘さ、温かさが冷えた体に染み渡ります。


そして、マチャプチャレの脇の方から太陽が顔を出し、スーッと光がダウラギリの頂上を照らし出しました。晴れて良かった、来て良かった、とそこにいる誰もが満足そうに満面の笑みを浮かべ、思う存分山々を眺めます。ガイドのホムからは「次はダウラギリを見ながらおにぎりを食べよう!」とオヤジギャグとも絶妙の提案ともいえる発言が飛び出し、その後しばらく皆で「ダウラギーリでおにぎーり」を連呼していました。


朝焼けのダウラギリ

マチャプチャレ


山以外のトレッキングの楽しみ


ターザン?!

ゴレパニトレックのルートは1,000m前後から3,192mまでの高低差があり、おのずと高度によって植生も変わります。ゴレパニからタダパニへと続くルートは樹林帯になっており、今年はシャクナゲ林にまだ花が残っていました。落ちている綺麗な花を皆で拾い、女性陣はそれぞれバッグや帽子につけ、即席コサージュの出来上がり!
また森の中では木からつるが伸びており、ガイドの許可を得てから皆でぶら下がってターザンごっこも。女性陣はほぼ全員チャレンジするも、男性陣は全員パス。さて私は・・・見事に空中ダイブに後転を決めました!(要するに失敗して落ちました。)その後、本家ターザン・ホムはゆうゆうと宙を泳いでおりました。
トレッキングの楽しさはこんな道中の自然や人との出会いや触れ合いにより一層面白いものになる気がします。

夜な夜な宴会。VIVA! 旅仲間

今回のゴレパニ・グループで特筆すべきはメンバー全員の仲の良さ。日を追うごとにメンバー全員がどんどん打ちとけ、タダパニの夜から日本へ向うまでの5日間、毎晩歌えや踊れやの大宴会!旅のはじめにお配りした「レッサン・フィリリ」の歌詞を皆さん早々に覚えられ、トレッキング中、夜の宴会中も大合唱になることも度々。ネパール・スタッフより先に日本チームが歌いだすことも。その他「ジャパン トーキョー」という日本に出稼ぎに行ったネパール人が恋人を思って謡う、失恋ソングながら明るい曲調も大人気で、「ジャッパン ヨコハマー」など自分の地元に替え歌しながら、大いに盛り上がりました。


みんなで踊ろう!(photo by A. KATO)

キャンプファイヤー@つきのいえ


「つきのいえ」ではマチャプチャレを前にヨガをしたり、全員でお金を出し合い鶏を買ってきて直火焼き鳥を楽しみました。この鶏が抜群においしく、ホムさんお手製の「チキンつまみ」とともに、まるで蟹食う人々のように一心に食べました。


マチャプチャレを背にヨガ修行
(photo by A. KATO)

直火焼き鳥を調理中



ビシタリ ヒヌホス!

またトレッキング中も即席ネパール語講座が開催されていました。「ビシタリ ビシタリ ヒヌホス!(ゆっくりゆっくり歩こう)」最後尾を歩くお客様とサブ・ガイド達の絶妙のかけ声が山にこだまします。その疲れ知らずのパワーに感心し、時に背中を押され、ガンドルン~ランドルンのきつい上り下りも、ともすれば単調になってしまったかもしれない行程も明るく楽しく歩き通せた気がします。

有終の美?

さて、ここで終われば「行きは運が悪かったけど、いい旅だったね」となり、往路の遅延もきっと笑い話で済んだ筈なのですが、なんと復路便も遅延となったのです。その時間にして24時間!(最終的には30時間)。絶句とは良く言ったものでホムからこの知らせを受けた時は、言葉のごとく瞬間石化しました。
カトマンズに戻り、遅延が決定的となった段階で皆さんに事情をご説明したのですが、顔に浮かんでいた笑みが消えていく様子は今思い出しても心苦しくなります。と同時に、皆さんの沈んだ表情を見て、せっかく楽しかったネパール旅行をこんな遅延で台無しにしてはならないと、「ひどい目にはあったけどネパール楽しかった」と思ってお帰り頂けるよう全力を尽くそうと思いを強めました。

結果としてカトマンズ市内観光を楽しまれるなど、この遅延を逆にプラスに変えてしまう前向きなお客様が多く、非常に助けられました。関西空港に到着した頃にはツアー参加者全員に苦難を一緒に乗り越えた者同士の連帯感が生まれていた気がします。

遅延トラブルを除けば、素晴らしい旅となった今回のゴレパニ・トレッキング。お客様の優しさ、ネパール支店スタッフの頑張り、いろいろな人や出来事によって乗り切れたツアーとなり、今もこの旅に関わった皆さんに感謝の気持ちで一杯です。

Dhanyabad Nepal !(ありがとうネパール)
Trekking dherai ramailo bhayo(トレッキングとても楽しかったです)
Feri Bhetaunla!(また会いに行きます)