風の旅行社と金華山のつながり



文●竹嶋 友(東京本社)

風の旅行社は、2012年の夏より「VCを支援する会山形」と「地球の歩き方」との協力により、金華山黄金山神社の復興支援ツアーの企画・運営を行ってきました。そして、この夏で丸2年が経ち、今まで約200名もの方々が支援活動に参加してくれました。

2012年夏に復興支援ツアーを始めた頃は、金華山をはじめ、周辺の石巻や女川の被災状況は生々しいものがありましたが、震災後3年半の月日が流れ、状況もだいぶ変わってきたように思います。

弊社の目から見た、石巻、女川、金華山の現在の様子をお伝えいたします。

石巻


石巻駅前は震災後早い段階でほぼ完全に修復完了。川沿いには家の基礎のみを残した更地が目立ちますが、瓦礫もほとんど片付けられています。石巻→女川を結ぶ幹線道路沿いの更地には真新しい家が点在するようになりました。
地元住民やNPOにより様々な復興イベントが催され、夏には例年地元の方たちが楽しみにしている北上川の川開き祭りが開催されていて、お祭りを盛り上げようと県外からもボランティアが集まり、松島基地からはブルーインパルスも飛行してくれたようです。

日和山より太平洋を臨む
日和山より太平洋を臨む
仮設商店街で地元の方と交流
仮設商店街で地元の方と交流


女川


沿岸の市内中心部は瓦礫こそ撤去が完了しているものの、まだ更地が大部分。しかし、女川港の護岸工事や商店街復活など少しづつ復旧の兆しが見え始めています。
震災以降、JR石巻線浦宿駅⇔女川間駅が運休となっており、その区間の運送はJRの代行バスが担っています。2015年4月にその区間が復旧する予定を見据え、新しい女川駅も急ピッチで建設されていて、完成する女川駅から女川港まで通じる約1kmの予定の道路には、仲見世通りのような店が立ち並ぶ予定。金華山参拝客にとっても魅力的な街づくりを目指し、参拝者が「金華山に渡るなら女川からだね」と印象付けられるよう、新しい女川の町を目指しています。女川は町全体で復興に取り組んでいこうという意識が、地域の方々との話からひしひしと伝わってきます。

女川から金華山まで船で35分ほど
女川から金華山まで船で35分ほど
まだ津波の爪あとが残る女川の中心地
まだ津波の爪あとが残る女川の中心地


金華山


東日本大震災の震源地から最も近い場所であり、奥州三大霊場の一つと知られる黄金山神社があります。震災時、地震による揺れで鳥居や燈籠が倒れ、一部建物の天井も崩れ落ち、平らな参道もゆがみ、地盤沈下も起きて桟橋に船が着岸できなくなるなどの甚大な被害を受けました。その半年後、地震で緩んだ地盤は大型台風による被害を受け、土砂災害が発生。境内や参道や山道に多くの土砂が流れ込み、島の多くのインフラ機能を奪いました。金華山は島全体が神社(宗教法人)の私有地扱いになることから、公的な支援が十分に受けられず、島内の復旧作業は神社職員やボランティアの手によってなされてきました。

震災直後の波うつ参道
震災直後の波うつ参道
最も被害が大きい崩落箇所
最も被害が大きい崩落箇所
津波でひしゃげた鉄骨
津波でひしゃげた鉄骨



境内や参道、山道の修復は神職やボランティアの尽力によりほぼ終わりが見えてきました。地盤沈下により船がつけられなかった桟橋のかさ上げ工事も、2013年5月の桟橋修復後の中型船運航再開を1つの目処に見通しが立ちました。最大の懸案事項だったがけ崩れによる道路崩落箇所も、一部が市道扱いになったことにより石巻市が費用を負担し大規模な修復が可能になりました。潔斎場(お風呂)も2014年12月末までに完成し、参拝に来られた方が快適に宿泊できるように設備が整う予定です。

参道の修復は幾度となく行ってきた
参道の修復は幾度となく行ってきた
中型船が震災後久しぶりに入港。地盤沈下の影響で手前の桟橋が沈んでいるのがわかる
中型船が震災後久しぶりに入港。地盤沈下の影響で手前の桟橋が沈んでいるのがわかる


そして、これから


石巻、女川、金華山ともに3年半という時間が経過し、多くの人々の手によって、土地の整地やインフラ機能の復旧をほぼ終えました。そしてようやく次の段階に入ってきたように感じています。

復興支援ツアーを運営していると、石巻や女川の地域の方々とお話しする機会を多く得ることができました。そのようなお話の折々に、最近感じることは、「ボランティアの方々のお力添えには本当に感謝しています。おかげで何とかここまで来ることができました。まだまだボランティアの力を借りたい場面も多く残っているのは確かですが、最近はボランティアの方々が減っているのも事実です。これからは、ボランティア以外のたくさんの方々にも、復興を遂げようとしているこの場所に観光に来ていただきたい」ということです。

金華山黄金山神社も、震災後に比べ訪れる参拝客も徐々に戻ってきているようです。
これは、金華山の桟橋や参道や境内が多くの人々の努力の結果本来の姿に戻りつつあり、参拝がしやすくなってきたことや、参拝に来られる被災された方々自身の生活がもどってきたのだと思います。さらにいうと、震災前より長きに亘り土地の方々の暮らしに密着してきた金華山の信仰が、震災という大きな災害を受け、かの昭和三陸沖地震、東日本大震災と大きな震災を乗り越えてきたこの土地の人々に改めて見直され、畏敬の念とともに心の拠り所として大きな存在になっているという事もあるのかもしれません。

震災後、「金華山信仰を軸にした東北の復興」という共通の思いでボランティアをはじめ全国から多くの人々がこの場所に集い、作業し、そして語らってきました。そんな形のない1人1人の思いが地道な作業を後押しし、それを多くの人々が担い、次の方へとバトンを渡し、境内や参道の修復をはじめ金華山の復興という目に見えるものにつながってきました。金華山の参拝客が増えれば、神社へ向かう道中の通過地点である石巻や女川、広く言えば牡鹿半島や宮城県全体に人の流れができるのも事実です。

私どもとしても、金華山の復興支援ツアーを継続しつつ、これらの地域を含む「東北の旅」を、今後より多く企画していこうと考えています。

もちろん、風の旅行社らしい旅で。


金華山を訪れるツアーはこちら


自然物の循環が活動テーマの「鹿角プロジェクト」スタッフ同行

2024/4/27(土)発 宮城県・金華山 鹿の角を拾ってものづくり 復興支援ボランティア3日間

出発日設定2024/04/27(土)
ご旅行代金53,700円
出発地女川発着
jp-nk-st-06 jp-nk-st-06

ツアー


【地球の歩き方・コラボレーションツアー】

【終了】 宮城県・金華山 巫女の仕事体験と復興の“今”を考える3日間

出発日設定2019/07/26(金)
ご旅行代金45,000円
出発地女川集合
jp-nk-st-07 jp-nk-st-07

ツアー





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