世界の頂を仰ぎ歩く クーンブ(エベレスト)山群の見どころ8選

世界最高峰エベレスト(8,848m)を筆頭に、ローツェ、チョー・オユーなど8,000m峰がひしめくクーンブ山群。
その懐へと続くトレッキングルートは「エベレスト街道」と呼ばれ、シェルパ族の村々と僧院を結びながら、一歩ごとに白銀の頂へと近づいていきます。
初めてのヒマラヤでも歩けるコースから、エベレストを間近に仰ぐ展望地まで、クーンブの見どころ8選をご紹介します。

1. ルクラ(テンジン・ヒラリー空港)

ルクラのテンジン・ヒラリー空港
ルクラの滑走路

エベレスト街道の旅は、カトマンズから小型機で約30分、標高2,840mの山あいに造られたルクラの空港から始まります。空港の名は、1953年にエベレスト初登頂を果たしたテンジン・ノルゲイとエドモンド・ヒラリーにちなむものです。

山の斜面を利用した滑走路はわずか527m。着陸の瞬間はスリル満点ですが、これもエベレスト街道の洗礼として旅人たちの語り草になっています。

ルクラの村には登山用品店やベーカリーカフェも揃い、世界中のトレッカーたちの熱気に包まれています。ここから憧れの山々へ、いよいよ歩き始めましょう。

2. ナムチェバザール

ナムチェバザールの村
すり鉢状の斜面に広がるナムチェバザール

標高3,440m、すり鉢状の斜面にカラフルな屋根の家々が並ぶナムチェバザールは、エベレスト街道最大の村であり、シェルパ族の「首都」とも呼ばれる交易の要衝です。

古くからチベットとの塩の交易で栄え、いまも週末には市が立ち、街道中の人々が日用品や食料を求めて集まってきます。ロッジやカフェ、土産物店が軒を連ね、山中とは思えない賑わいです。

多くのトレッカーはここで高所順応のために連泊します。村を見下ろす丘には博物館があり、シェルパの暮らしや登山史の展示をとおして、この土地の歩みに触れることができます。

3. シャンボチェの丘とエベレスト展望

シャンボチェ付近から望むエベレスト
シャンボチェ付近からのエベレスト展望

ナムチェバザールの裏山を1時間ほど登った標高3,800m前後のシャンボチェの丘は、エベレスト街道でも指折りの展望地です。エベレスト、ローツェ、アマダブラムまで、名峰の連なりが一望のもとに広がります。

丘の上には「世界一眺めの良いホテル」と評されることもあるエベレスト・ビュー・ホテルが建ち、テラスからヒマラヤを眺めながらお茶を楽しむひとときは、何ものにも代えがたい贅沢です。

本格的な登山をしなくても、ここまで来ればエベレストの雄姿に出会えます。「憧れの頂をこの目で見たい」という夢を、最短で叶えてくれる場所です。

4. タンボチェ僧院

タンボチェ僧院
タンボチェ僧院

標高3,867mの尾根上に建つタンボチェ僧院は、クーンブ地方最大のチベット仏教僧院です。背後にアマダブラムを従えて建つ姿は、エベレスト街道を代表する風景のひとつに数えられます。

エベレストに挑む登山隊が安全を祈願する場所としても知られ、堂内では僧侶たちの読経が朝夕響きます。旅人も本堂に上がってお参りすることができます(堂内は撮影禁止)。

毎年秋の満月のころには、仮面舞踊が奉納される「マニ・リムドゥ」の祭りが催され、街道中のシェルパと世界中のトレッカーで賑わいます。

5. アマダブラム

アマダブラム
「母の首飾り」の名を持つアマダブラム(6,812m)

エベレスト街道を歩くトレッカーたちが「世界で最も美しい山」と口を揃えるのが、標高6,812mのアマダブラムです。その名は「母の首飾り」を意味し、左右に広げた稜線が子を抱く母の腕に、山腹に懸かる氷河が首飾りにたとえられています。

タンボチェからディンボチェにかけての区間では、この秀峰が正面に迫り、一歩ごとに姿を変えていきます。朝日や夕日に染まる山容は、まさに息を呑む美しさ。

8,000m峰のような高さこそないものの、その気品ある姿は街道の女王と呼ぶにふさわしく、何枚シャッターを切っても足りないほどです。

6. カラパタール(エベレスト大展望)

カラパタールから望むエベレスト
カラパタールから望むエベレスト

エベレスト街道のハイライトが、標高5,545m(諸説あり)の展望峰カラパタールです。「黒い岩」を意味するこの丘の頂からは、世界最高峰エベレストの頂上部を遮るものなく仰ぐことができます。

実は、エベレストのベースキャンプからは山頂がほとんど見えません。エベレストの全容を最も間近に望めるトレッキング到達点こそが、このカラパタールなのです。

薄い空気の中、一歩一歩積み重ねてたどり着いた頂から見る朝焼けのエベレストは、生涯忘れられない光景になるはず。ヒマラヤ最高の展望台と呼ばれる所以です。

7. ゴーキョ湖とゴーキョ・リ

ゴーキョ湖
ゴーキョ・リから見下ろすゴーキョ湖

エベレスト街道の本道から西に分け入った谷の奥に、ターコイズブルーの湖水をたたえるゴーキョの湖沼群があります。標高4,700m を超える高所に連なる神秘の湖は、ヒンドゥー教と仏教双方の聖地でもあります。

湖畔の村ゴーキョから約2時間で登れる展望峰ゴーキョ・リ(5,357m)からは、エベレスト、ローツェ、マカルー、チョー・オユーと、8,000m峰4座を一度に見渡す大パノラマが広がります。

眼下にはネパール最大のゴジュンバ氷河が横たわり、乳白色の湖と白銀の峰々が織りなす風景は、カラパタールとはひと味違った静謐な美しさです。

8. ヤクの隊列とシェルパの暮らし

ナムチェバザールのヤク
街道を行くヤク

エベレスト街道を歩いていると、荷物を背に鈴を鳴らしながら進むヤクの隊列と何度もすれ違います。車の入れないこの山域では、ヤクとゾッキョ(ヤクと牛の交配種)が今も物流の主役です。

石垣に囲まれた段々畑、マニ石を積んだ祈りの塚、風にはためくタルチョ。街道沿いには、高地に生きるシェルパ族の暮らしと信仰が息づいています。すれ違うときの挨拶「ナマステ」や、マニ石の左側を歩くという習わしも、旅のうちに自然と身につくでしょう。

山々の絶景だけでなく、そこに暮らす人々の営みに触れられることこそ、エベレスト街道が世界中のトレッカーを惹きつけてやまない理由なのです。

ネパール「旅のよみもの」一覧

ネパールツアー一覧