今年4月~7月の全6回実施された「川﨑一洋先生の仏教美術入門2023」が好評につき続編が決定いたしました。
前回ご参加の皆様にはもちろん、第2部から参加いただく方にも、わかりやすく説明されますのでご安心ください。
チベットやインド仏教遺跡などの旅をお考えの皆様には、とても参考になる講座です。
《配信形式》ZOOM 見逃し配信も予定しています
《参加費》3,300円/回 全6回一括申込の場合:18,000円
《各講座の内容》
第1回 10月06日(金) インド仏教の歴史と密教経典
およそ2500年前に釈尊(釈迦)によって開かれた仏教は、紀元前後に、修行者のための個人的な宗教から、大乗と呼ばれる大衆のための宗教へと変化します。そして6世紀ころから、ヒンドゥー教の要素を取り入れた密教(真言乗)の時代を迎えます。第1回の講義では、インド仏教の歴史の全体像を概観しながら、マンダラを生み出した密教がどのように成立したのかを、各時代の経典を紹介しながら解説します。
第2回 10月21日(土) マンダラの誕生
如来、菩薩、明王、天などの、たくさんの仏たちを一定の規定に基づいて配置し、密教の世界観を表現したマンダラ。一般の大乗仏教と密教の違いを明らかにしながら、マンダラがどのように成立したのか、また、マンダラがどのように用いられたのかを、代表的な密教経典を読みながら解説します。さまざまな密教儀礼や、即身成仏を可能にするとされる密教の修行法についても紹介します。
第3回 12月09日(土) 胎蔵マンダラを読み解く
インドではたくさんの密教経典が成立し、それぞれの経典に異なるマンダラが説かれていますが、日本では、唐(中国)に留学した弘法大師空海によってはじめてもたらされた、胎蔵マンダラと金剛界マンダラが重視されました。第3回の講義ではそのうち、『大日経』に説かれる胎蔵マンダラについて学びます。胎蔵マンダラには、真理そのものを身体とする大日如来という仏が登場し、仏陀の目から見た宇宙のありさまが示されています。
第4回 12月16日(土) 金剛界マンダラを読み解く
日本の密教において胎蔵マンダラと対にされる金剛界マンダラは、『大日経』より半世紀遅れて、7世紀後半に成立した『金剛頂経』という経典に説かれています。金剛界マンダラでは、さまざまな方法で人々を幸福へ導こうとする仏陀の智慧(心)のはたらきの一つ一つが、37尊の仏たちによって表現されます。仏たちを五つのグループ(五部族)に分類する金剛界マンダラのシステムは、その後の密教の発展に大きな影響を与えました。
第5回 1月13日(土) 後期密教のマンダラ
8世紀以降、インドの密教はますますヒンドゥー教の影響を受け、性や死に関連する生理学を取り入れた特殊な修行法を説く後期密教の時代に入ります。なお、そのような後期密教の伝統は、中国や日本へは伝えられませんでした。妃を抱擁する父母仏や、おどろおどろしい忿怒尊などによって構成される後期密教のマンダラの中から、代表的なマンダラをいくつか選び、その図像と理論を学びます。
第6回 1月20日(土) チベット仏教とマンダラ
チベットには、インドの各時代の密教がダイレクトに伝えられ、100種類を超えるマンダラが伝承されています。チベット仏教の寺院を訪れると、たくさんのマンダラを描いた壁画を見ることができます。また、図鑑のようなマンダラ集も作られました。中央チベットをはじめ、インド領のラダックや、ネパール領のムスタンなど、チベット文化圏の古刹に遺る実際の作例を見ながら、チベット仏教美術の鑑賞知識を学びます。
講師
川﨑 一洋 (かわさき かずひろ)
昭和49年、岡山県生まれ。
高野山大学博士課程修了。博士(密教学)。現在、高野山大学特任教授、四国八十八ヶ所霊場第二十八番・大日寺住職。密教の曼荼羅を中心に、アジア各地の仏教美術、仏教儀礼を研究。ネパールやチベットの各地でフィールドワークを重ねる。
著書:『四国「弘法大師の霊跡」巡り』(セルバ出版)、『弘法大師空海に出会う』(岩波新書)
共著:インド後期密教(上)(春秋社) 第1章担当
インド後期密教(下)(春秋社) 第6章担当