白亜の都と燃え続ける大地 トルクメニスタンの見どころ8選

「中央アジアの北朝鮮」とも称される、世界屈指の閉ざされた国トルクメニスタン。世界一の白い大理石建築で埋め尽くされた首都アシガバット、40年以上燃え続けるガスクレーター「地獄の門」、そして風化した砂漠にひっそりと眠る隊商都市の遺跡群。
その神秘性ゆえに訪れる旅人はまだ少なく、シルクロード随一の「秘境」と呼ぶにふさわしい国です。知られざるトルクメニスタンの見どころ8選をご紹介します。

1. アシガバット

アシガバットの白い大理石建築
白亜の大理石建築が立ち並ぶアシガバット
写真:Bayram A(CC BY-SA 4.0) / 出典

トルクメニスタンの首都アシガバットは、白い大理石で覆われた建物の数が世界一多い都市として、ギネス世界記録に認定されています。その数、実に543棟。旧ソ連時代の面影を一掃し、天然ガス資源による潤沢な国家予算を注ぎ込んで築かれた、まさに「白亜の都」です。

世界最大級の観覧車やモニュメント、金色に輝く彫像など、随所にギネス記録・世界記録づくしのユニークな建造物が並びます。夜になるとライトアップされた街並みが浮かび上がり、「中央アジアのラスベガス」とも呼ばれる幻想的な光景に変わります。

整然とした無人に近い大通り、磨き上げられた白い建物群——現実離れした独特の空気感こそ、この街最大の見どころといえるかもしれません。

2. ダルヴァザ「地獄の門」

ダルヴァザの地獄の門
40年以上燃え続けるガスクレーター「地獄の門」
写真:Benjamin Goetzinger(CC BY-SA 4.0) / 出典

カラクム砂漠のただ中に、直径約70m、深さ約30mの巨大な穴が口を開け、炎を吹き上げ続けています。「地獄の門」の通称で知られる、ダルヴァザのガスクレーターです。

1971年、天然ガスの採掘調査中に地盤が陥没し、有毒ガスの噴出を防ぐために火を放ったのが始まりと伝わります。「数日で消えるはず」だった炎は、半世紀以上経った今も燃え続けています。

周辺には遮るものが何もない砂漠が広がり、日が暮れるとクレーターは闇の中でオレンジ色に輝く異世界の光景に。近くでキャンプをしながら夜通し眺める、トルクメニスタン旅行のハイライトです。

3. メルヴ遺跡

メルヴ遺跡のスルタン・サンジャル廟
かつて世界最大級の都市だったメルヴ、スルタン・サンジャル廟
写真:Alexey Yakovlev(CC BY-SA 2.0) / 出典

カラクム砂漠の南に広がる荒野に、かつて「世界最大の都市」と称されたオアシス都市の遺跡が眠っています。アケメネス朝ペルシア時代から2000年にわたって栄えたメルヴです。仏教遺跡としても最西端に位置し、東西文化が交差した証を今に伝えます。

遺跡の中心にそびえるのが、12世紀セルジューク朝の君主を祀るスルタン・サンジャル廟。トルコブルーのドームは、砂色の荒野に唯一浮かび上がる鮮やかな色彩です。

1221年、モンゴル軍の侵攻によりメルヴは徹底的に破壊され、100万人ともいわれる住民が犠牲になったと伝わります。廃墟となった城壁や城塞跡が、その繁栄と悲劇の記憶を静かに物語っています。

4. ニサ要塞遺跡

ニサ要塞遺跡
パルティア帝国最初の都ニサ要塞遺跡
写真:Bjørn Christian Tørrissen(CC BY-SA 4.0) / 出典

アシガバット近郊、コペトダグ山脈の麓に土色の丘のような遺跡が広がります。紀元前3世紀から紀元後2世紀にかけて栄えたパルティア帝国、最初の都ニサです。トルクメニスタンが誇る3つの世界遺産のひとつに数えられています。

高さ9m、全長1,500mにおよぶ城壁と43もの物見塔に囲まれた要塞は、東西交易の要衝として栄えた王都の風格を今に伝えます。発掘調査では、インド象牙で作られた儀式用の角杯(リュトン)や、「ニサのヴィーナス」と呼ばれる女神像など、貴重な出土品が見つかっています。

ヘレニズムとパルティアの様式が融合した独特の建築美は、シルクロード以前から続く、東西文明交流の古さを物語っています。

5. コネウルゲンチ

コネウルゲンチのクトルグ・ティムール・ミナレット
中央アジア最高峰の高さを誇るクトルグ・ティムール・ミナレット
写真:Doron(CC BY-SA 3.0) / 出典

トルクメニスタン北部、ウズベキスタン国境にほど近いコネウルゲンチは、かつてホラズム・シャー朝の都として栄えた古都です。11〜16世紀の建造物群が残り、こちらもユネスコ世界遺産に登録されています。

街のシンボルは、高さ60mを誇るクトルグ・ティムール・ミナレット。中央アジアで最も高いミナレットとされ、はるか砂漠の彼方からもその姿を望むことができます。

周辺には、モンゴル帝国に破壊された城壁や、隊商宿の門、いくつもの霊廟が点在し、モンゴル・ティムール両時代の激動の歴史を色濃く残す町として知られています。

6. ヤンギカラ渓谷

ヤンギカラ渓谷
「炎の要塞」と呼ばれる赤い渓谷ヤンギカラ
写真:John Pavelka(CC BY 2.0) / 出典

トルクメニスタン西部、カスピ海に近いバルカン地方に広がるヤンギカラ渓谷。トルクメン語で「炎の要塞」を意味するその名の通り、赤・オレンジ・白の縞模様の断崖が、まるで燃え上がる城壁のように連なります。

切り立った崖の高さは60〜100m。かつて海底だった地層が長い年月をかけて侵食され、この幻想的な景観をつくり出しました。「トルクメニスタンのグランドキャニオン」とも呼ばれています。

訪れる観光客はまだごくわずか。ジープでしか辿り着けない秘境ならではの、手つかずの絶景が広がっています。

7. コウアタ地底湖

コウアタ地底湖
洞窟の奥に広がる温水の地底湖コウアタ
写真:David Stanley(CC BY 2.0) / 出典

アシガバットから車で約1〜2時間、コペトダグ山脈の麓にある鍾乳洞の奥に、独立国家共同体(CIS)諸国最大級と言われる地底湖コウアタがあります。「洞窟の父」を意味するその名の通り、全長230m、最大幅57mの巨大な地下空間です。

湖水の温度は年間を通じて33〜38℃前後を保ち、硫黄泉のような独特の匂いが漂います。真っ暗な洞窟の中、コウモリの羽音を聞きながら温水プールのように泳げる、世界でも珍しい体験ができるスポットです。

強い硫化水素の匂いはありますが、古くから療養目的でも利用されてきました。灼熱の砂漠の国トルクメニスタンで、ひんやりと薄暗い洞窟の静けさに包まれる、意外性のある見どころです。

8. アワザ(カスピ海リゾート)

アワザのカスピ海リゾート
カスピ海沿いに広がるリゾート地アワザ
写真:Bayram A(CC BY-SA 4.0) / 出典

トルクメニスタン西端、港町トルクメンバシーから西へ約12kmの地に、国家プロジェクトとして開発されたカスピ海のリゾート地アワザがあります。2007年から10年をかけ、砂漠の海岸線に忽然と巨大なホテル群が築かれました。

白い砂浜と青いカスピ海、そこに林立するガラス張りの近代的なホテル。国内随一のリゾートでありながら、訪れる旅行者はまだ少なく、どこか静かで不思議な雰囲気が漂います。

白亜の都アシガバット、燃え続ける地獄の門、砂漠に眠る隊商都市の遺跡群——濃密な旅の最後に立ち寄る、トルクメニスタンのもうひとつの顔です。

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