新しい風を求めて

風通信発行から5年を経て

年 4回発行の風通信もNO.20を迎え丸5年が経過したことになります。NO.1は1999年10月発行で、特集1がネパール、特集2がブータンでした。この年の11月にBKT(BHUTAN KAZE TOUR)が、年明けの2000年3月にはMKT(MONGOL KAZE TRAVEL)が発足しています。これから本格的に風のブータン、風のモンゴルを充実させていこうという時期でした。今年のブータンは、皆さまからのお申込が際立って増え当時の2倍になっています。これもBKTの社長シンゲ・ナムゲルを中心に一人一人のお客様を大切にして努力を重ねてきた結果だと思います。一方モンゴルは、昨年、モンゴルでは殆ど流行しなかったにも拘わらず、中国内モンゴルでのSARS大流行の影響をもろに受け大きな打撃を被りました。過去に無い落ち込みでしたが、今年は心機一転再起の年です。また、この5年間で、雲南、モロッコ、中央アジア、ペルーなどに力を入れてきました。近い将来風の雲南、風のモロッコ、風の中央アジア、風のペルーがさらに充実するよう現在歩を進めています。ネパールは情勢が不安定ですが、まだまだ新しい可能性を秘めています。やるべきことは山ほどあります。

この5年で一番変わったことと新たな課題

当時は、1998年の7月に格安航空券の広告を中止し、本格的なツアー会社ヘの道を歩みはじめてまだ一年しか経っておらず、格安航空券も収益面では重要な商品でした。その後、ネパール、モンゴル等の風のツアー販売地域以外の格安航空券予約は徐々にお断りし、ツアー販売に集中するように転換を図ってきました。何故かと言えば、得意な分野に集中し質の向上を図りたかったからです。どんな仕事も一端お引き受けした以上は、利益の多寡に関係なくきちんとやらなければならない。これは当然のことです。しかし、格安航空券を販売する以上は、習得すべき知識も多義に亘るし、調べものも多くなります。しかも、即時的な対応を要求されますので、ツアー企画などじっくり時間を掛ける仕事はどうしても後回しになってしまいます。忙しさの余り、どれもこれも不十分な仕事になってしまい結果として質が低下する。スタッフの仕事への充実感も削がれ疲労が溜まっていく。この悪循環を断ち、より高い質を求めて仕事をしていける環境を作る。これが重要な課題でした。現在は、ほぼ環境が整いつつあります。しかし、個々のスタッフの専門性の向上を計れば、逆にある意味保守的になり新しいことに挑戦できなくなるという欠点も生まれてきます。誰しもやりなれた仕事に安住しがちです。常に新しい風を入れていかなければと思っています。

2002 年から風カルチャークラブを発足させ、「風の大空」の販売をはじめました。「自然を五感で学ぶ」というテーマ型の商品ですから、海外国内を問わず、どんな場所でも企画次第で商品化できます。旅行というスタイルから一歩出て生涯学習という形で運営しています。まだまだ力不足ですが「今、人々はこういう形のものを求めているに違いない」という半分勝手な思い込みかもしれませんが、質の高いものを作ろうと頑張っています。これも新しい風です。

素朴な体験型観光と地域密着の重要性

少し話しは変りますが、最近、私は物事の歴史や背景、摂理などを無性に知りたくなります。特に、自分の身近なものを見直してみたくなったりします。私の故郷は、信州の飯田市というところです。信州の中でも愛知、静岡と接する南に当たります。観光地としては、中信、北信が有名で、南信州など殆ど観光客は来ませんでした。ところが、最近は、「ほんもの体験フォーラムin南信州」といった全国大会が開かれたりして有名になってきました。嘗ては修学旅行に来る学校など皆無だったのに近年は200校を越える中学校がやってきます。田植え体験や農家民泊、染め物、蕎麦打ち等々体験プログラムは優に200を越えます。私は、この半年程で3回田舎に帰り、これらのプログラムに参加してきました。まるで浦島太郎のような感覚で驚きの連続でした。中でも売木村での「摘み草料理体験」には何とも言い難い懐かしさと嬉しさを感じました。ツクシやスイバ、カンゾウ、ミツバ、ヨモギ等々、野の草を摘みそれを料理して食べる、実に単純だが大地に一歩近づいたような嬉しさが込み上げてきます。教えてくれるおばちゃん達がこれまた素晴らしい。なんだ、七草がゆみたいな物かなどと思ってはダメです。専門の先生についてよく勉強されているのです。自然は美味しい! と素直に思いました。

飯田市は、観光の柱に「エコツーリズム」をはっきり掲げ、2004年の4月から市の商業観光課をエコツーリズム推進室に改め10人のスタッフを要しています。最近は、この南信州に限らず、多くの自治体が地域おこしと絡めて観光を取り上げています。一方、国も観光立国を宣言し、海外からの観光客誘致に大きな予算がつくようになりました。政治的な意味合いはともかくとして、「地域の人々がその地域を見直しその良さに気付き誇りをもって紹介していく」こんな面白い仕事はそうはありません。彼らに会うと本当に活き活きと仕事をしています。将来、日本の観光産業は、こうした人達が担っていくような予感がします。何故なら、既成の旅行会社は大手も含めて、地域から他の地へ行きましょうという旅行ばかりを販売してきたのが実態です。「行きましょう」ではなく「どうぞ来てください」という旅を旅行会社は作ってこなかったのです。これを称して「狩猟民族のようだ」と言われた方がいらっしゃいますが、旅行会社が地域の中で或いはこの国の中で社会的な役割を果 たしていくとすれば、地域と密着してそれを売っていくそんな仕事をしないといけません。

新しい風を求めて

もう一つ、この5年間で大きく変ったことと言えばインターネットが大幅に普及し必要不可欠のものになったということです。この7月に、風HPの改訂を行いました。でも、HP担当者は、あまりにコンテンツが多いので整理してもっと見やすくしようと現在頑張っています。9月末ごろには、新しい風のHPがお目見えするものと思います。それにしても5年後はいったいどんな状態になっているのでしょうか。テレビ電話に簡単操作のインターネットと携帯電話。生活上の手続きの多くがインターネット無しでは動かない。そんな状態になるんじゃないかと勝手に想像しています。パンフレットも既にデジタル化が始まっています。果たして、紙刷りの風通信やパンフレットは残るんだろうか?自分たちでやっていながら分からなくなったりします。しかし、自己を表現できる手段を自前で持てることには大きな意味があります。不特定多数に向けて発するマスメディアではなくONE TO ONEで結びついていく個人ネットワーク型のメディアになるんじゃないかと思います。最近はやりのブログという形態がそれかもしれません。何れにしても、どんなに技術的に進歩してもアナログの世界は残るような気がします。アナログの良さを残しながら、「新しい風」をどんどん取り入れて行こうと考えています。

※風・通信No20(2004年秋号)より転載

シェアする