ジェノサイド

つむじかぜ503号より


途中で読むのを止めようかと何度か思った『ジェノサイド』(高野和明著、角川文庫)。登場人物が、思わず嘔吐するような場面が何回も出てくる。こちらも、本をおいて目をつむってしばらくじっとしていて、また、読み始める。止められない。最後まで読み終わって、ほっとして本を置く。まるで、一級のハリウッド映画を見て映画館を出てきたような高揚感が続く。面白い!

100万部を突破したベストセラーだから読まれた方も多いだろう。ジェノサイドとは大量虐殺、もっと言えば特定の集団等の抹消行為をさす。KADOKAWAの『ジェノサイド』のHPには、以下のように内容が紹介されている。

[ 以下KADOKAWAのHPより抜 ] ———————-

イラクで戦うアメリカ人傭兵と日本で薬学を専攻する大学院生。二人の運命が交錯する時、全世界を舞台にした大冒険の幕が開く。アメリカの情報機関が察知した人類絶滅の危機とは何か。一気読み必至の超弩級エンタメ!

急死したはずの父親から送られてきた一通のメール。それがすべての発端だった。創薬化学を専攻する大学院生・古賀研人は、その不可解な遺書を手掛かりに、隠されていた私設実験室に辿り着く。ウイルス学者だった父は、そこで何を研究しようとしていたのか。

同じ頃、特殊部隊出身の傭兵、ジョナサン・イエーガーは、難病に冒された息子の治療費を稼ぐため、ある極秘の依頼を引き受けた。暗殺任務と思しき詳細不明の作戦。事前に明かされたのは、「人類全体に奉仕する仕事」ということだけだった。イエーガーは暗殺チームの一員となり、戦争状態にあるコンゴのジャングル地帯に潜入するが……。

父の遺志を継ぐ大学院生と、一人息子のために戦い続ける傭兵。交わるはずのない二人の人生が交錯する時、驚愕の事実が明らかになる。それは、アメリカの情報機関が察知した、人類絶滅の危機――
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高野和明氏は、1964年生まれ。同HPの著者インタビューを覗いてみた。20歳のころから構想し、完成したのは25年後。物語のキーポイントになる『ハイズマン・レポート』も『肺胞上皮細胞硬化症』という難病も著者の創作だそうだ。そうは思えないくらいこの物語全体がリアリティーさに満ちている。凄い構想力である。こんな作家が日本にもいたのか。

ネアンデルタール人の脳は、ホモサピエンスより大きかったにも関わらず、新人類ホモサピエンスに滅ぼされたのではないのか。今、新しい人類が現れたら現人類はどうなるのか。こんな夢想にしばらくのめりこんでみるのも面白い。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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