山形市へ

*風のメルマガ「つむじかぜ」662号より転載

先週、2月1日から1泊で山形市に行ってきた。会議出席の後、半日だけ観光することができた。山形市までは、東京から新幹線で3時間弱。大阪に行くのと変わらない。地図を改めて見てみると山形市は、山形県の中でも内陸部にある。しかし、雪はあまり降らないそうだ。蔵王も近いのに意外である。

県内は村山地方、最上地方、置賜地方、庄内地方の4つの地方に分けられる。バスの中ではガイドさんが、それぞれの地方の食べ物をあれこれ紹介してくれた。山形県は、各地方に特徴のある郷土食が今でも沢山残っているそうだ。ガイドさんは「それぞれがみんな違っていて独特でおいしいよ」。という意味を山形弁で話してくれた。郷の人が郷土の自慢をするのは清々しい。

テレビでも毎年報じられる山形市の「芋煮会」の会場となる馬見ヶ崎川沿いを通った。「日本一の大鍋の芋煮」というのが看板だったが、他県に抜かれたので、今、市民から寄付を募って新しい大鍋を作っているとのこと。なんでも直径が6m半にもなるらしい。やっぱり日本一でないと気勢が上がらないようだ。

昼食は「やたら漬け本舗」で漬物寿司や蕎麦などを食べた。その芋煮も出た。豚汁のようなものだと思っていたら味はすき焼き風で少し甘い。「やたら漬け本舗」のご主人・新関芳則氏が挨拶に出てこられた。なんとこの方が「芋煮会」を発案したのだそうだ。「最初はあれこれ言われたが、もう30年以上続いている」と自慢されていたが、拍手を送りたい気持ちになった。

昼食後は、酒蔵見学と立石寺を参拝した。山形の日本酒は流石である。先月、壱岐でも酒蔵を訪ねたが、今回は、粕漬け付きで利き酒も用意され、飲み比べができた。結局、大吟醸は避けて大辛口の「大虎」という純米酒を買ってきた。「常温・おかんに向いています」という杜氏さんの一言で決めてしまった。

この蔵では、最近は、大吟醸などの高級酒の販売が好調だそうだ。恐らく、日本中でそんな現象が起きているに違いない。私は、大吟醸は、フルーツのような香りがして少し違和感を感じてしまう。かえって、醸造用アルコールを添加した本醸造の方が日本酒らしいと感じることもあるから不思議なものだ。どうもそこらへんはワインとは違って、味の広がりが横のような気がする。縦の序列がつけにくい。

地方の特色が強い。これが山形県の自慢でもある。江戸時代には、藩が10もあったそうだ。一つの県であっても“国”が違うと今でも思っているとか。日本全体が画一化されていく中で、その土地の特色を強烈に保持できているとしたら、もうそれだけで財産である。機会を見つけて山形をゆっくり回ってみたいと思った。


★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。


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