電子決済

*風のメルマガ「つむじかぜ」665号より転載

先日、支付宝(アリペイ)のことを書いたが、同様のサービスが日本にもあることを知って、LINE Payに申し込んでみた。簡単に申し込めたが、いざチャージの段階になって、よくわからなかったのでファミリーマートに行って店員に聞いてみたが、「何のことでしょう?」くらいの顔をされ「ちょっと分かりません」という対応だった。

実は、ファミリーマートの場合は店舗内に設置されているFamiポート端末でチャージできるのだが、この店員の対応から分かる通り、LINE Payは、2014年12月16日から始まっているのに一向に広まっていない。これでは、肝心の割り勘をするのに便利という機能も役には立たない。

週刊エコノミストの3/6号は「さらば現金」という特集を組んでいる。驚いたのは2018年1月22日にシアトルにオープンしたAmazon GOである。レジに人がいない無人コンビニだが、いったいどこがすごいのか。

入り口には、自動改札口のようなゲートに、QRコードをかざす。入店しても買い物カゴやカートはない。品物をとって自分のバッグに入れる。店を出るときは何のチェックもない。そのまま店外へGOというわけだ。この手順は万引きとほとんど変わらない。なんだかとても変な気分になるのでは?

天井を埋め尽くす無数のカメラとセンサーで、買い物客一人一人の動きを把握する。品物を棚から手に取るとバーチャルカートに入り、棚に戻せばバーチャルカートから商品が消える。店を出るときにバーチャルカートに入っているものがクレジットカード決済される仕組みである。全てはAIなどの最新テクノロジーがフル稼働している。

最大70人の来店に対応できるそうだ。しかし、現在は、この店舗には常時20名近いスタッフが働いているので、決して人件費削減にはつながっていない。ではなにが狙いか。Amazonは「快適な買い物」を体験してほしい、と説明しているが様々な野心が透けて見える。スマホさえあればというが、顔認証や指紋認証などを使えばスマホも不要になる。

Amazon GOはクレジットカード決済である。これが、支付宝(アリペイ)や微信支付(WeChatPay)のような電子決済に切り替われば、クレジットカード会社の世界制覇は崩れるかもしれない。銀行も、手数料で稼ぐというビジネスモデルが一挙に崩れてしまうかもしれない。

しかし、結局は、旧勢力が新しい技術でも支配者たる立場を築けるようになるまでは一挙に進むことはないのかもしれない。いや、それでも、世界がグラグラ揺れだしたような感じがする。


★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。


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