鉄道運行

*風のメルマガ「つむじかぜ」729号より転載

NHKの『東京ミラクル』という番組の第2回目、「巨大鉄道網 秒刻みの闘い」を見た。正確に時間通り動き、数分遅れるだけで「ご迷惑をおかけし大変申し訳ございません」とアナウンスが流れる日本の鉄道に、訪日外国人の誰しもが驚く。私も、こんな国は日本だけだと思う。
この番組では、鉄道運行の心臓部、JR東日本の「総合指令室」に初めてカメラを入れることが許され、職員たちの衝撃の仕事ぶりが紹介された。首都圏の鉄道路線の規模は、148の路線、1,700もの駅があり、路線距離は全長数千キロにも及ぶ。これを分刻み、秒刻みで正確に動かす。何故、そこまでこだわるのか。
多くの私鉄と地下鉄やJRに相互乗り入れ可能になった今、路線は複雑に絡み合い、膨大な人間がこれを利用する。事故や設備故障などが起きて遅延が生じたら、それをいち早く解消する手段を講じないと首都東京は麻痺してしまう。すなわち、正確に動かさなければ、人がホームにあふれ、転落死する可能性だってあるのだ。
「総合指令室」の職員たちは、日々、緊張感の中で戦い続けている。自動制御ではない。熟練の経験豊富な司令官の判断一つでことの成否が決まる。久々に、人間が躍動する職場を見た気がした。
今朝、出社する前に武蔵境にある亜細亜大学に寄ろうと考え国分寺に出たら、立川駅で人身事故があったとのことでJRへの乗り換え改札口が長蛇の列になっていた。並ぼうとしても、どこが最後尾かもわからないほどの状態だった。
仕方なく一旦、外に出て違う改札からJRの構内へ入ったが、ホームへの入場制限をしていて二進も三進もいかなくなった。やっとの思いで電車に乗ったものの、ギュウギュウ詰めだ。9時前に大学に着きたかったので、一つ手前の東小金井駅で降りてタクシーを拾おうとしたら、既に10人ほどが並んでいた上に、タクシーが来る気配はない。仕方なく20分ほど歩いて大学に到着。10分ほどで要件を済ませて、武蔵境駅に出たが、まだホームの入場制限が解けていない。また並び、3本電車をやり過ごして、やっと中野に10:40過ぎに着いた。家を8時前に出たのに、2時間40分もかかり朝からぐったりしてしまった。
「総合指令室」の職員の皆さんの苦労を思うと、自分も我慢するしかないのだが、我慢しきれず、八つ当たりが原因としか思えない混乱も起きる。大都市とは、脆いものだ。来年のオリンピックのときは、果たして大丈夫だろうか。1964年当時とは比べ物にならないくらい首都東京は複雑に絡み合っている。心配である。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

シェアする