飲み屋の廃業

最近、飲み屋さんの廃業が増えているという。コロナで家呑みの習慣がついた上に、テレワークを続ける人も一定の割合いて、一見、活気が戻って来たかに傍目には映っていたが、宴会は戻って来ず、思うように売り上げが上がっていないらしい。中野の街でも新しい店が次々とオープンしているところを見ると、辞めてしまった店も多いということだろう。

先週の土曜日、霞が関で会合があり、終了後16時くらいから一杯やろうと何人かで霞が関ビルの地下に繰り出した。10軒ほどある店の内やっていたのはたった1軒のみ。コロナ前は、土曜日でも当たり前のように、どの店もやっていたのに、その激変ぶりに驚いてしまった。何故か。一つには、働き手の不足だろう。唯一やっていた店の店員にも、“今日は私一人のワンオペですから、なかなか料理が出せないかもしれません”。といわれた位だから、この推測は間違いなかろう。二つには、土曜日に霞が関ビル周辺に来る人が大幅に減ってしまったのかもしれない。霞が関ビルの周辺も心なしか以前より閑散としていた。

知り合いの飲食店の経営者から “土曜日は、平日とは違う客が来るから営業上は重要。売り上げもいい”。と聞いたことがある。家族、女子会、その他何らかの集まりが多く、平日とは違う客が集まる。霞が関ビルだから、そういう需要はないだろうが、土曜日の営業をしないからといって家賃が下がるわけではない。平日への皺寄せが大きくなるだけだ。緊急事態宣言や蔓延防止措置などで営業時間短縮に協力した飲食店には1日何万円もの支援金が出た。規模にもよるが、小さな飲食店ほど潤い、営業するより余程よかったなどという話も聞いた。一律にはいえないが、潤ったはずの飲食店が廃業の危機にあるという。

また、コロナで政府系の金融機関が行った実質無利子・無担保の通称「ゼロゼロ融資」の返済がいよいよ今月あたりから始まる。それも廃業の引き金になっているという。お金を借りれば返さなくてはならない。“令和の徳政令を出せ!”などと真面目にいう旅行会社の人も少なからずいたが、流石に空想でしかなかった。併せて保証協会を使ったセーフティーネット4号、5号の融資返済も抱えている。弊社も事情は全く同じである。

これは私の勝手な想像だが、コロナという大波が来なければ、支援金も入らず、日々まじめにコツコツと働いていたはずなのに、休む方が、働くより多い金が手に入るという妙な現象が起きた。最初は辛い労働から一時解放されて喜んでいたが、休んだら運動不足になってかえって体調を崩し、働く意欲も薄れてしまった。支援金は貯めれば税金で持っていかれるからと使ってしまった。いよいよ借金の返済が始まったが、売り上げが伸びない。まさにコロナの波に翻弄されてしまったということだ。こんなことが日本中で山のように起きているに違いない。他人事ではない。褌を締めて掛からなくては。

この原稿を書き終わって飲み屋の勘定をしたら、店員がこっそりと「この店、今月25日で閉店するんです。今日、入れてもらった焼酎のボトル持ち帰られますか?」と耳打ちしてきた。「入れるときにいってくれよ! お客さん戻らないの?」「コロナが終わったから何とかなると思ったんですが、立ち直れないまま終了です。」やれやれ、とんだ落ちがついてしまった。

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