上岡馬頭観音で乗馬安全祈願

日本で唯一?定期的に馬がお参りをする上岡馬頭観音

埼玉県東松山市にある妙安寺は約800年前の鎌倉時代、瑞慶和尚によって福聚庵として当地に創建されたのが、その起こり。
境内にある上岡馬頭観音は「上岡観音を参拝しない馬持ちはウマカッタと言ってはならない」と言われる程、古くは軍馬や農耕馬の守り観音として信仰を集めている、馬関係者にとっては関東随一の霊場。おそらく、現在も毎月実際に馬を引いて、ご祈祷してもらえるお寺は日本でもここだけでしょう。私も実際に馬(近隣の乗馬クラブ「武蔵逍遥乗馬会」に外乗参加してきました)を引いて、観音堂をコルラ(三巡)して、安全祈願をしてきましたが、馬とともにご祈祷いただく…これはなんとも身が引き締まる思いでした…!!

お馬と一緒に安全祈願

お馬と一緒に安全祈願

上岡馬頭観音とは

上岡観音には、開山瑞慶和尚作の馬頭観音が祀られており、その縁起には源義経の名が出てきます。いや、義経どころか、教科書で必ず見かける歴史上のスーパースターの名前がずらり。

さて、縁起。ご本尊の馬頭観音の中には黄金の尊像が納められていると伝わっています。この尊像、古くは蝦夷討伐の折に坂上田村麻呂、平将門追討の折に平貞盛、その後、源頼家・義家がこの尊像を奉じて出陣、御役目を果たし、その後、藤原秀衡から源義経に渡されたもの。
義経もこの尊像を奉じて見事、木曽義仲を討ち、入洛しましたが、その時に「尊像を手元に置くのは畏れ多い」と修行仲間であった瑞慶和尚に託したものなのだとか。

その後、義経が陸奥へ落ち延びていると聞いた瑞慶和尚は、彼を追っていくのですが、尊像を義経に返せないと悟ったある晩、観音様が夢枕に立ち、「この地に留まり尊像を安置するよう」と告げられ、預かった尊像を自身で作成した馬頭観音の本尊に納め、庵に祀ったと伝わっています。

明治以降は軍馬の守り観音、農家の馬の守り観音として、関東はもとより東北、甲信越に至るまで信仰を集めてきています。

境内の千匹馬の大幕(例大祭でのみ掲げられます)や・馬の絵馬、馬の銅像、観音堂の屋根瓦など、あちこちで「馬」がつよく存在感を出しているため、境内に入ればすぐに、馬頭観音霊場としての雰囲気をつよく感じられると思います。

そして、「上岡観音例大祭」ではお寺に伝わる縁起をもとに、観音様の御神馬が登場し、御祈祷を受ける大きな祭事となっています。かつては1,000頭の馬が御祈祷に訪れ、5㎞離れた場所まで人馬の列が並んでいたこともあったとか。

御神馬とともに御祈祷を受ける

御神馬とともに御祈祷を受ける

【国の選択無形民俗文化財】「絵馬市」

馬を飼う人が少なくなった現在では、馬主や調教師などの競馬関係者、乗馬クラブや牧場関係者、牛や豚などの畜産関係者が多く祈願に訪れており、とくに、毎年2月19日は「上岡観音例大祭」として、現在に至るまで大きな盛り上がりを見せています。この2月19日に開催される「絵馬市」は国の選択無形民俗文化財に指定されており、普段静かなこの観音堂が大賑わいになります。

昨年、お参りに行ったときも例大祭が月曜でしたが、大変な賑わい。絵馬もユニークなものが多く、農耕馬に代わってトラクターが主流となったことを受けてトラクターの絵馬があったり、畜産関係ということで豚の絵馬があったりとお気に入りの絵馬を探すことだけでも楽しいです。
昔から参詣者は自分の馬に似た毛色の絵馬を買い求め、各自の厩に貼って馬の一年間の無病息災を祈ったとか。

ユニークな絵馬がたくさん!好みの図柄を探します

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風の旅行社もこのお寺にご縁をいただけたので、昨年から、乗馬の安全祈願を行ってます。来月の2月19日にも弊社スタッフがお参りする予定です。平日開催なのでなかなかお休みの確保が難しいとは思いますが、現地でお会いできれば幸いです。

今年はシーズン開始前に、馬で観音堂を目指して、到着後にご住職に境内や見事な作りのお堂の中を案内してもらいながら、乗馬安全祈願を行う企画をしようかなと思っています。

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