●素朴でたくましいジョージア
コーカサスの山中に静かにたたずむ2つの地方を訪ねます。ひとつは、世界でも2番目にキリスト教を国教にした歴史を持つ国にあって、イスラム教徒が多く暮らすパンキシ渓谷を訪れます。「アダミアニ 祈りの谷」というドキュメンタリー映画の舞台になった里で、その登場人物とも交流します。もうひとつは、過酷な道を乗り越えた峠の先にあるコーカサス山中のトゥシェティの集落です。ジョージア最後の秘境とも呼ばれています。こちらも山を挟んで異教徒の国と接しているため独特の文化が育まれてきました。コーカサスの山々に暮らす人々、絵になる建築群、雄大な風景に出会う旅です。
《パンキシ渓谷》 映画「アダミアニ 祈りの谷」の地
ヨーロッパとアジアの境界にあり、多様な民族が暮らすジョージア。パンキシ渓谷では、他の地域では見ることができない、チェチェン文化やイスラム教徒の暮らしを見ることができます。19世紀、ロシア帝国による拡大政策でジョージアが併合されたのち、ジョージアの北に位置するチェチェンから多くの人々がパンキシ渓谷に移住しました。その後、イスラム教徒のチェチェン人とキリスト教徒のジョージア人は共に尊重しあい、長年共存してきました。しかし20世紀末、ロシアからの独立をめぐり勃発したチェチェン紛争で、多くの避難民がチェチェン共和国からパンキシに押し寄せ、谷は混乱に陥ります。さらに、ロシアからパンキシにはゲリラや傭兵が潜伏していると非難され、「テロリストの巣窟」という汚名を付けられてしまいます。しかし現在、紛争は終結し、渓谷には静かな時が流れています。訪れた人は「素朴なジョージアがある」と言います。そのパンキシを舞台に、観光の力で「テロリスト」という負のレッテルを克服すべく、動き出した人々を描いた映画が上映されました。それが「アダミアニ 祈りの谷」です。現在オンラインレンタルで見ることができます。映画の中心的人物でもあったレイラさんにもお話を伺う時間を作りたいと思っています。
《トゥシェティ》 ジョージア最後の秘境
もうひとつ、ジョージアにあって異彩を放つ場所があります。コーカサス山脈の3,000m近い峠を越えて行く未舗装の道が続く秘境です。車はもちろん4WD。高い峠のため冬(10月~5月)は村人は下山し、村はほぼ無人となります。こちらも山の北にはチェチェン共和国と接しており、昔から往来があったのでしょう、言葉もチェチェン系の言語が話されているところがあったり、イスラム教の影響が土着の宗教に紛れ込んでいたりするとのこと。異民族の侵入は、石造りの高い塔がそれを証明しています。村によっては、村ごと避難する場所を設けているところも。そんなジョージアにある異郷がここトゥシェティです。今回は、コーカサス山脈を縦断するワインディング・ロードの絶景を楽しんだ後、その中の穏やかな生活風景や厳しい自然の風景を眺めながらのハイキングも楽しみます。
画家《ピロスマニ》
1862年カヘティ地方のミルザアニ生まれ、ピカソもその才能を評価していたという、ジョージアで愛される国民的画家。幼くして両親を亡くし、トビリシで絵を描きながら生計を立てるも貧窮。そんな中フランス人女優に恋をしてホテルの前の広場をバラの花で埋め尽くした逸話は「百万本のバラ」の歌にもなって知られる。
《クヴェヴリ》
ジョージア・ワインの伝統的醸造に使われる素焼きの大きな壺。紀元前からの歴史を持つ。保存にも使われており、温度を一定に保つよう土中に埋めています。クヴェヴリを使ったワイン製法は2013年ユネスコ無形文化遺産に登録されました。ソ連時代にほぼ壊滅した製法だそうで、今行われている数も限られているとのこと。中でも、大きなクヴェヴリは、その製法が一度途絶えたため、その再現ができていないと聞きました。
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