~崎尾均先生に学ぶ、奥会津・只見の自然~
雪と自然のハーモニー,ブナの森とその恵み,只見町
日本有数の豪雪が作り出した雪崩地形の山々に囲まれた只見町、雪崩が削った岩盤の風景は圧巻です。イヌワシが飛翔しカモシカが駆け巡る、その中を、絶滅危惧種ユビソヤナギ林のある河川が流れます。山麓にはブナの天然林が広がり、秋には紅葉した木々が湖に映えます。人々は昔から大自然から得られた恵みである山菜や蔓で作られた籠製品などを利用してきました。このような多様な自然環境と昔からの人々の暮らしが只見ユネスコエコパークの象徴です。ツアーでは田子倉湖のクルージングで初秋の山々を見たり、静かなブナ林の中を散策したり、巨木巨樹を訪れ、山の幸に舌鼓を打ってみませんか。山・森・渓流・湖と素晴らしい景観を見せてくれる只見の自然の素晴らしさ・不思議さを、講師と共に体験しましょう。
崎尾 均 先生より
〜只見の昔話です〜
今から56年前の11月の連休に、奥会津只見町の名峰、会津朝日岳を登りにいきました。紅葉真っ盛りの時期で、イワナが川岸で産卵する姿を見つけ、林の中のブナの切り株にびっしりと生えているナメコも採ることができ、今でも鮮やかに映像として想いだせる原体験でした。2泊3日の山行(ルート開拓)でしたが、3日目の夕方には持参したレーション(食料)が尽き、登山口の白沢にやっとの思いで辿り着いた時、小さな雑貨さんを見つけ、なにか食べ物を買おうとしてお店に入ると、母親くらいの年ごろのおばさんが「どこから来たの?」と薄汚い登山着すがたの僕たちに聞いてくれました。会津朝日から下山したことを告げると「今、キノコご飯を炊いたから、食べていきなさい」と誘っていただきました。たっぷりと頂いた後「泊まっていきなさい」と、僕たちのことを見透かすように云ってくれました。仏間で泊めていただいたのですが、仏壇には軍帽を被った若い男性の写真が飾られていました。そういえば、おばさん一人きりの家でした。
その後、なんのお礼もできずに十数年ほど前、白沢を訪ねたのですが、そのお店はどこにも見つけることができませんでした。それだけが只見での唯一の気がかりです。
奥会津の只見は、日本一、いや世界一自然の美しい場所だと、今でも思っています。
風の旅行社 水野 記
※秋の只見・田子倉湖のビデオは紅葉時の映像です。イメージとしてご覧ください。
佐渡島,只見の森に精通する植物専門家
崎尾 均 (さきお ひとし)
Botanical Academy 代表,新潟大学名誉教授(新潟大学佐渡自然共生科学センターフェロー)
大阪府出身.埼玉県の林業職を経て,2008年から新潟大学佐渡演習林教授に,2021年退職後.Botanical Academyを設立.博士(理学).専門は森林生態学,特に水辺の樹木の生活史や保全について研究.現在も佐渡島,屋久島,秩父,只見,富士山をフィールドとして研究.森林や植物に関してセミナーや講義,自然ガイドやサイエンス・カフェなど情報発信を行なう. NHKドキュメンタリー「伝説の超巨大杉を追う」,「ダーウィンが来た!」,「石丸謙二郎の山カフェ」などに出演.環境水俣賞,尾瀬賞,生態学会大島賞,日本森林学会賞など受賞.著書に「水辺の樹木誌」(東大出版会),「樹に咲く花−山渓ハンディ図鑑」(山と渓谷社/共著)
ホームページhttps://riparian-forest.jimdofree.com
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