崎尾均先生の植物学講座 植物と森林の不思議を探る・第一部
人間は昔から植物や森林を利用しその恩恵を受けてきた。植物があってこそ、私たちがこの世界で存在できる。植物にはそれぞれの顔があり、同じ種でも環境によっては違う顔を見せてくれる。私は、大学の卒業研究では富士山、埼玉県に勤めてからは秩父の水辺林や外来樹種、佐渡島に移ってからは佐渡の天然杉や植物、また福島の只見町のヤナギ林、屋久島の渓流などで植物や森林遍歴を続けている。本講座では、そのような植物や森林の不思議について実際の研究のエビデンスに基づいて紹介する。
第一部
私が研究で訪れた日本の自然について研究結果を踏まえて、その素晴らしさを紹介。
※全8回の講座です。第二部の日程は後日、お知らせいたします。
《配信形式》ZOOM 見逃し配信も予定しています。
《参加費》3,300円/回 全4回一括申込の場合:12,000円
《見逃し配信公開期間》全回共通:2024年12月27日(金)迄
《各講座の内容》
第1回 3月5日(水) 花の島-佐渡島の自然
花の島と言われる佐渡島の自然を気候、地質、歴史的に紹介する。海岸から高山までの多様な森林が分布し、カタクリやオオミスミソウなどの美しい春植物が咲き乱れる佐渡島。トレッキングや登山の見どころも紹介する(風の旅行社ツアー)
*テキスト:佐渡島の自然環境について―森林と草地―.フォレストコンサル 165:27-36 (2021)
第2回 3月19日(水) 只見ユネスコエコパークの自然-雪が創り出す植生
福島県只見町は豪雪地帯で街の中でも2mを超える積雪が見られる。天然ブナ林が広く分布する地域であるが、山の急斜面には、雪崩が作り出した雪食地形という独特の景観を生み出している。また、只見町は昔から人々は山菜や川魚を食べ、マタタビなどの蔓で作った籠など自然の恵みを利用して生活してきた。それが評価されてユネスコエコパークに登録された。このような只見の自然と生活について紹介する。(風の旅行社ツアー)
第3回 4月9日(水) 二刀流で生きるスギ-屋久島V S佐渡島+α
縄文杉で知られる屋久島と異形のスギが分布する佐渡島の天然杉を、地質、気候、歴史的に比較解説、種子繁殖と栄養繁殖の二刀流で生きるスギの生き様を比較する。驚くべきスギの生活史を解説する。(風の旅行社ツアー)
*テキスト:屋久島のスギ,佐渡島のスギ.日本の科学者56(6):48-51. (2021)
第4回 4月23日(水) 富士山の森林は登り続ける!-温暖化と樹木
温暖化が植物や森林にどのような影響を与えているかを目に見える形で解説。毎年早まる桜の花見や、富士山を登りつつある森林の姿を考える。40年前の卒業研究で調査した富士山五合目の森林限界が目を見張るような変化を遂げている。
*テキスト:富士山森林限界一過去・現在・未来一.富士学研究18:89-99(2023)
佐渡島,只見の森に精通する植物専門家
崎尾 均 (さきお ひとし)
Botanical Academy 代表、新潟大学名誉教授(新潟大学佐渡自然共生科学センターフェロー)
大阪府出身、埼玉県の林業職を経て、2008年から新潟大学佐渡演習林教授に,2021年退職後、Botanical Academyを設立。博士(理学)、専門は森林生態学、特に水辺の樹木の生活史や保全について研究。現在も佐渡島、屋久島、秩父、只見、富士山をフィールドとして研究。森林や植物に関してセミナーや講義、自然ガイドやサイエンス・カフェなど情報発信を行なう。 NHKドキュメンタリー「伝説の超巨大杉を追う」、「ダーウィンが来た!」、「石丸謙二郎の山カフェ」などに出演。環境水俣賞、尾瀬賞、生態学会大島賞、日本森林学会賞など受賞。著書に「水辺の樹木誌」(東大出版会)、「樹に咲く花−山渓ハンディ図鑑」(山と渓谷社/共著)、「ここがすごい!水辺の樹木 生態・防災・保全と再生」(築地書館)
ホームページhttps://riparian-forest.jimdofree.com
*担当講座一覧
予告 崎尾均先生の植物学講座・第2部(全4回)は、2025年6月上旬ころに開催予定です。
*第2部:花・種子・芽生え・成長など樹木の生き様について詳細に解説する。
第1回 ここがすごい!-水辺林の世界
第2回 外来樹種ハリエンジュ
第3回 樹木の多様な繁殖戦略
第4回 草地の生態の変化-牛馬は減りシカが増えた