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羊とウイグル料理

 
羊を焼く煙に誘われて…ついつい買ってしまうシシカバブ
羊を焼く煙に誘われて…
ついつい買ってしまうシシカバブ

文●池内明穂(東京本社)

羊は旨い。

そう感じたのは、中国新疆ウイグル自治区を旅して口にした、シシカバブ(羊肉の串焼き)に出会ったから。香辛料がたっぷり振りかかったジューシーなシシカバブは、今まで私の中の羊肉のイメージを一転させた。

「羊肉」というと、「匂いが気になる(臭い)」「脂っぽい」「硬い」といったマイナスイメージを持っている方も多いと思う。私もかつてはそんなイメージを持っていた。家の近くのスーパーには売られていなかったし、食べる機会もなかった。
しかし、現地で食べた羊は、解体したばかりで新鮮そのもの。臭さがない。そして柔らかい。むしろ塩や唐辛子、クミンといった香辛料と、炭火で焼かれた香ばしい肉の煙に、食欲が一気に湧いてきた。

料理の「美味しい」と思う基準は、好き嫌い、体質に合うか否か、それこそ人それぞれ。だけど特にシルクロードの地で食べる羊は本当に美味しいと思う。だから食事制限やアレルギーなど体質に影響がなければ、是非試してみてほしい。私の主観だけではなく、現地を旅した方や、スタッフに聞いても、「羊が美味しかった、そしてシルクロードは食事が豊かだね」という感想を聞く。

そうなのだ、「シルクロード」は東洋と西洋を結び、文化・文物の交易路として栄えた、ユーラシア大陸一帯に広がる一帯だが、旅人と共に食材や香辛料、料理法も伝わった。そして現地の料理や食材と融合し、発展し、独自の料理も生まれてきた。
そして食が豊かといえば、「4本足は、机と椅子以外はなんでも食べる」という言葉もあるくらい、奥深い食文化を持つ中国。中国でかつて「西域」と呼ばれた新疆ウイグル自治区などの地域では、現在は中華料理といった中国の食文化や中央アジアの食文化の両方が楽しめる。羊肉だけではなく、旅人をワクワクさせるようなバラエティ豊かな食事が待っているエリアなのだ。


ウイグルってどんなとこ?
どんな人が暮らし、どんなものを食べているの?

中国の西北部に位置する新疆ウイグル自治区。この地域は、中央アジアやロシア、モンゴルなど8カ国と国境を接している。まさに民族の交差点、異文化の交流点として、ウイグル族やカザフ族、モンゴル族、漢民族など様々な民族が暮らしている。

新彊ウイグル自治区MAP


その中でも、イスラム教を信仰しているウイグル族が多く生活をしており、そんな彼らの大切な家畜でもあり、生活との結びつきも強い動物が羊なのだ。ご馳走として食卓に並ぶことも多く、市場や食堂をのぞけば、解体したばかりの羊がぶら下がっている光景もよく目にする。


ツアー中、こんな食堂で食べることも?!
カシュガルの家畜市場
ツアー中、こんな食堂で食べることも?!
ツアー中、こんな食堂で食べることも?!

移動販売車のパンも「清真」
移動販売車のパンも「清真」

中国のシルクロード一帯(新疆ウイグル自治区、甘粛省、陝西省等)で、町を歩いていると「清真料理」と書かれた食堂の看板を見かける。これがいわゆる、ムスリムの料理である証であり、豚肉を食べることは禁じられている彼らは、豚肉以外の他の食材や食品も、加工や調理に関して、一定の手順を踏んだもの(ハラール)を食べる。

香辛料をたっぷり振りかける
香辛料をたっぷり振りかける

またシルクロード一帯と切っても切り離せないものが、東西交易の重要な品目の一つでもある香辛料の存在。長期輸送中の腐敗を防ぐだけではなく、味や香りを楽しむものとして、料理の味を更に引き立てる。シルクロードのオアシスには、必ずといっていいほど香辛料屋さんがあり、様々なものが入り混じった独特の香りが、嗅覚を刺激する。


現地では、イスラム教を信仰している人々の他、漢民族など様々な民族が暮らしている。ウイグル料理、中華料理など、旅人にとっては、様々な民族の食事が楽しめるのだ。

ツアー中の食事一例:中華料理では白米もあってほっとします。
ツアー中の食事一例:
中華料理では白米もあってほっとします。
ツアー中の食事一例:カシュガルのレストラン
ツアー中の食事一例:
カシュガルのレストラン
民家で家庭の味を頂く
民家で家庭の味を頂く



ウイグル料理をご紹介


シシカバブ(羊肉の串焼き)

シシカバブ(羊肉の串焼き)

クミン、塩、唐辛子の粉末などの香辛料が肉のうまみを引き出している。焼きたてが一番!脂肪が少なめで消化もよく鉄分などの栄養素も豊富。脂肪の燃焼を助ける「カルニチン」という物質がダイエットにも良いらしい!

ラグメン(中央アジア一帯で食べられている麺料理)

ラグメン(中央アジア一帯で食べられている麺料理)

コシのある麺と、トマトやピーマンなどの野菜と羊肉が相性ばっちり。中国青海省の4,000年程前の遺跡から麺の化石が発見され、絹の道は麺の道でもあった、と伝えられている。

グシナン(ウイグル式ミートパイ)

グシナン(ウイグル式ミートパイ)

中は羊の肉が詰まっている。熱々の焼きたてをほおばるのが一番。サモサと呼ばれる、小さめのパイもある。釜の中に貼り付けられており、その焼いている光景も見ていても心が躍る。

ポロ(ピラフ)

ポロ(ピラフ)

羊肉と玉葱や人参などが入ったピラフ。ウイグルの代表的な米料理。新疆に隣接するウズベキスタンなどの中央アジアの国では、プロフとも呼ばれている。家庭料理として、また結婚式などのお祝い料理としても食べられる。、お客をもてなす時などは、ポロの上に骨付きの羊肉を載せたものを出している。

チュチュレ(ワンタンのようなものが入ったスープ)

チュチュレ(ワンタンのようなものが入ったスープ)

スープのある温かい料理で、体が温まる。ミンチ状にした羊肉と玉葱を細かく刻んだものを、小麦粉の皮で包む。

ナン(パンの一種)

ナン(パンの一種)

ウイグル族の代表的な日常食。水分が少なく、乾燥した内陸では保存性に優れ、携帯にも適している。その昔、玄奘三蔵もナンを携帯し砂漠を横断したとか。町によって大きさなども異なり、作っている風景を見ていても楽しい。


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訪れた先で、美味しいものを食べれば、旅の満足度も高まるだろう。そしてレストランだけではなく、バザール(市場)や民家などで食べれば、現地の人々との交流もぐっと深くなる。
「美味しい」「ありがとう」という言葉は、旅を心地よくする空間を作り出す。せっかくなら、出来るだけ現地の言葉で思いを伝えたい。言葉を忘れてしまった時は、「美味しい」という笑顔を向けてみよう。相手も笑顔で返してくれるはず。

「食文化」にスポットをあてて、人々との触れ合いを楽しみながら、シルクロードを巡ってみるのも面白い。