帰国前検査が不要に

やっと政府が重い腰を上げた。来月9月7日の日本入国から3回ワクチン接種をしていれば帰国前72時間以内PCR検査陰性証明書は不要になった。これで万々歳かというとそうでもない。2回までしかワクチンを打っていない方と、3回以上打っている方で、日程が違ってくる。ツアーとしてはかえって混乱を招きそうだ。それでも、海外旅行には行きやすくなる。一歩前進と受け止めたい。

ところで、日本の3回目のワクチン接種率は、12~19歳は37.6%、20歳代49.5%、30歳代53.0%(8/22現在の政府資料から)である。もう4回目も始まっているし、10月からはオミクロン用のワクチン接種も始まると聞いているのに、今更、3回目の接種率を上げたいというのだろうか。第一、ワクチン接種3回をコロナ規制の要件にしている国が日本以外にあるだろうか。

実際のところ、4回接種をしている人もオミクロンに感染する人は多い。弊社のスタッフを見てもそれは分かる。確かに、ワクチンを接種していることで重症化までは至らないというのも事実だろうが、ウィルスを日本に入れないという水際対策と重症化率は関係がない。

感染者の全数把握も止めるようだがHER-SYSに入力しないだけで、完全者の全数人数把握は続く。しかも、その判断を各自治体に任せたから混乱している。しかし、もっと肝心なことは感染症法2類相当から5類への変更にあったはずだが、そのことは今回は触れられず見送られた。

IT化においては、会社の経営者が、単に状況を把握したい、データ資料を得たい、といった理由のために、現場ではこんなことを入力するのは無意味と思っていることも、入力させられるという現象が時々起きる。結果、デジタル化が効率化につながらず、逆に現場への負担が増す。HER-SYS入力はまさにその典型。これを止めることで、本当に医療現場の負担が軽くなるならまずは歓迎だが、2類相当から5類への変更が実現しないと、ALL医療でコロナと闘えない。いったい誰がこれを阻止しているのだろうか。

コロナは、感染すること自体はもはや阻止できない。したがって、問題の焦点は、治療をどうするかに移っている。だから発熱外来だけでなく、ALL医療であたって初めて誰もが医療にアクセスできるようになるのだと思う。どうも、日本がやっていることはちぐはぐである。後、一歩、明確にこの国の未来を志向してほしい。

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