半藤一利氏の「昭和史」

つむじかぜ245号より


この時期になると、マスコミでは戦争の話が多くなる。日経の朝刊でも、「BC級戦犯裁判 証言を読む」という連載が組まれている。

昨日、8/12は「シンガポール華僑粛清」と題して、1941年マレー半島に上陸した日本の第25軍が破竹の勢いで進軍し、42年にシンガポールを陥れた後、抗日華僑の摘発を行い、裁判無しで即決処刑したことについて掲載されていた。犠牲者は、日本側が認めているだけで5千人、地元では4〜5万人といわれている。

私は、恥ずかしながら、「シンガポール華僑粛清」のことをほとんど知らなかったが、その処刑場が、現在のシンガポールチャンギ空港のある場所だったと聞いて益々驚いた。仕事柄チャンギ空港は2度ほど使ったことがある。

本当に、知らないことだらけだ。特に、現代史になればなるほど知らない。しかし、世に出回っている歴史書は、この年になると読んでも頭に入ってこない。司馬遼太郎のような物語風で読みやすい本はないものかと常々思っていたら、最近、平凡社から半藤一利氏の「昭和史」が文庫本で出され本屋の店頭に山済みになっているのが目に留まった。

これなら、読めそうだと即買ってみた。果たして、ぐんぐん読める。そうか故柳家こさん師匠は、2.26事件の「反乱軍」の中にいたのか。永井荷風は、なかなか厳しい目をもっていたんだな。毎日も朝日もこんなに戦争を煽ったのか。などなど、具体的な事件の詳細や、小説家や有名人の歌、新聞、雑誌の記事などが紹介され飽きることがない。天皇の独白録からの引用も多く、教科書の内側を覗いているかのようだ。

さあ、今日も、帰りの電車で読み横になって寝床で読む。しばらくは楽しめそうである。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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