中国人と日本人

つむじかぜ263号より


今年も、四川省のAさんが部下を連れて12/14に訪ねて来られた。昨年いらっしゃった際には、「(四川省の)地震で、旅行客が激減し商売にならないから、今まで行けなかった所を旅行しましたよ」、とあっけらかんとおっしゃっていた。

あれから一年以上が経ち、観光には地震の影響は全くなくなったが観光客はまだ戻らず、二年続きの不振が続いている。「このままじゃ、みんな暮らしていけませんよ。でも、ガイドたちも他の仕事も出来ないから、今は我慢しています。」とAさんにしては珍しく弱音が出た。

それでも、お酒が入ると、流暢な日本語で、中国はまだまだ一人あたりのGDPも低いし、国民のマナーや意識は、日本のレベルには程遠いが、昔に比べたら中国は本当に変った、と感慨深げにおっしゃっていた。

その変わり方が激しく、中国人の歴史的な文化や習慣が失われていませんか。日本の発展は、実は失ったものも沢山ありますから。と少し否定的なことを私が申し上げると、確かにそんなこともあるが、中国人の生活は、昔に比べると随分良くなりました、とあくまで肯定的だ。

私は、最近中国人と話をすると、皆さん共通してこの「肯定的」感覚をもっていることに驚く。世界では、中国政府の強硬な態度を批判されることも多いし、国内は、貧富の差も激しく矛盾を抱えている。それでも、肯定的に自国の政府を捉えているのは、やはり、方針がはっきりしていることに尽きる。

日本は、ものごとを、敢えてはっきりさせないことが習慣になっている。それがいい場合もあるし、とても優柔不断に見えることがある。Aさんと話していると何時も、そんなことを感じる。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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