ショトゥン祭を考える

つむじかぜ396号より

「原さん、実は、一緒に謝りに行って欲しいんですが、、、」1993年の夏が終わってちょうど今頃の話です。弊社の川崎洋一が、そう神妙に言うので、理由を尋ねると、チベットのショトゥン祭へ行くツアーでお客様二人で催行したが、現地に行ってみたら祭りが終わっていた、というのです。

今から考えれば、随分、雑なツアーの作り方でお恥ずかしい話ですが、当時は、まだまだチベットの情報は、現地と直接やり取りしていても、いい加減で不確実でした。お二人も、その難しさは理解してくださいましたが、もっと確かめようはあったはずと、ツアー作りの姿勢を厳しく問われました。

その翌年は、流石にショトゥン祭の日時は事前にしっかり把握してツアーを実施しましたが、実際に現地に入ってみたら、細かなプログラムの詳細までは把握できておらず、ノルブリンカでの仮面舞踏劇が何時行われているのか、現地は把握できていませんでした。添乗した弊社の高嶋の判断で、とにかく会場に行ってみたら丁度やっていて事なきを得たというような状態でした。

こんな状態ですから、当時は、まだ、日本の旅行会社は、この祭りには、殆ど来ていませんでした。何故なら、観光客のことなど全く眼中にないので、事前に、何のアナウンスもなく、こちらから知っている人を探し当てないと情報が入りません。信頼できる人に直接確認する。そうしたルートを確立するしか手がなかった訳です。

ショトゥン祭は、チベットのラサ・デプン寺の大タンカ(仏画)が開帳されることで有名で、その後は、次第に観光客も増えて色々な日本の旅行社が扱うようになりました。弊社でも長年、多くのお客様にご参加いただきました。
 
今年、そのショトゥン祭で、中国人の観光客が増えすぎてデプン寺では、参道で将棋倒しになって事故が起きても不思議がないと、現地駐在や添乗したスタッフから報告がありました。そんな状態でも、現地は、全くコントロールしようとしていないので尚更不安だというのです。

中国の場合、この問題がチベットに限らず、いたる所で起きています。どんなに素晴らしい観光地も、人で溢れて、まるで初詣の明治神宮のようになってしまっては、その価値はすっかり毀損されてしまいます。この数年の間に、中国人の海外渡航者数は、一億人を超えると言われています。世界中の観光地が中国人で溢れるだろうとも言われています。中国国内においては、想像がつかないほどの数になります。どうやってコントロールするのか大変難しい問題です。

さて、このショトゥン祭を来年どうするか。じっくり考える必要がありそうです。

→ 今年(2012年8月)のショトゥン祭ツアーの様子はこちら

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

シェアする