中野の老舗 「陸蒸気/おかじょうき」

つむじかぜ400号より

JR中野駅の北口は、明治大学、早稲田大学、帝京平成大学の一部が、来年の4月から移転してくる関係で、北口改札が、駅前の商店街・サンロードに向かって真っ直ぐ方向に付け替えられた。駅前にも、広場ができてかなり広くなった。

駅の構内から、サンロードに向かって、見通しがよく利くようになり、改めてその人通りの多さに驚く。日本でも有数の商店街であることは間違いがない。

このサンロードと並行に東側に細い通りがあり飲み屋街になっている。その飲み屋街とサンロードを結ぶ道が、調度、梯子の横木のように何本も通っていて、そこにも、また飲み屋が並ぶ。最近は、学生を期待してか安い焼き鳥が増えてきて、立ち飲みや、椅子やテーブルが道路にはみ出すような屋台風の店も増えている。更には、秋葉原よろしくメイド喫茶のような不思議な飲み屋も増えてきた。

学生で賑やかになるのはいいが、私には、どうも好ましくないように映る。しかし、大学だけでなく、一年以内に、キリンホールディングスや栗田工業の本社も移転してくるそうだから、きっと昔からやっている老舗も、頑張って大人の世界を保ってくれるだろうと思う。

そんな訳で、中野の老舗(基準は、私が中野に来る前からやっていた店)を応援する意味で、時々紹介することにした。前回は、立ち食い蕎麦屋さんの話をしたが、今回は、「陸蒸気/おかじょうき 」という炉辺焼きのお店を紹介する。とは言っても、おいしい焼き魚定食を昼食に食べたい方にである。

焼き魚定食は、串に刺した秋刀魚、鯖、カレイ、鮭、ハラス、タイなどを炉の真ん中の炭火に斜めに刺して焼く、調度、鮎などの川魚を焼くような具合である。

焼きあがった魚は、大根おろしとすだちをそえて細長い皿に盛られて出てくる。魚が美味しいことは言うまでもないが、ご飯が美味い。「魚沼産こしひかり」に違いないと思うような真っ白な艶のある米で、おかわりもできる。これに、キュウリと野沢菜の漬物、そして味噌汁。実に単純である。

昼のメニューは、この焼き魚定食しかないし、毎日、一定の客が入ることは経験で分かっているのだろう。魚は、注文を待たず、どんどん焼いていく。客席は、2階まで含めると100席ぐらいがあるから、かなりの本数である。上手い商売だ。

年配の焼き方職人さんが、威勢よく掛け声を掛ながら焼いてくれるのも、また、いい。値段は、900円~1,000円ぐらい。今、ご飯のおかわりを出している若衆が、焼き方になって世代交代する。是非、そんな世界であってほしいものだ。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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