師走と酒

つむじかぜ510号より


走は、忘年会はもちろんだが、誰と飲んでも酒の量が増えてしまう。最近は、日本酒とかワインのような醸造酒を美味しいと感じるようになった。そのせいではないが、ワインを飲む機会が3回続いた。美味しいものだからつい飲みすぎてしまう。結果、3回ともひどい目にあった。醸造酒は翌朝がきつい。

「酒は熟睡をもたらす」と私は思っていたが、どうもこのごろは少し違う。以前は、ほどほど飲んで眠ればぐっすり眠れたのに、最近は中途半端な時間に目が覚めて、そのまま寝付けないことが多い。酒のせいで体はだるいのに眠れないというのは、なかなか厄介である。

酒好きといえば、秋山兄弟の兄、秋山好古を思い出す。普段から飯は食べずに酒ばかり飲んでいたという。戦場でも水筒に酒をいれて馬上で飲んでいたそうだからすごい。昔は、酒に関しては寛容だったようだ。しかし、こんなことをすれば体がおかしくなるだろうと思いきや、秋山好古は、71歳まで生きているから不思議である。

来年90歳になる父が、昨年、酒をやめた。タバコも酒も止めてしまって何が楽しみだか解らないが、ただでさえトイレに行くのも難儀しているから酒も飲まないほうがいいと思ったのだろう。「ジャージは嫌だ、折り目の付いたズボンがいい」と、今も言う位だから、あの歳になっても自己を律する力があるようだ。

血糖値が高くなると、醸造酒はあまりよくないそうだ。ビール、日本酒はダメで芋焼酎ならよいそうだが、日本酒好きにはつらい。ダメといわれればいわれるほどきつかろう。私は、今のところ大丈夫である。しかし、母が糖尿だったからそろそろ黄信号かもしれない。

12/27からネパールへお客様と一緒に行く。ネパールにはロキシーという日本でいえば焼酎にあたる酒がある。「はなのいえ」で飲むロキシーは、実に美味しい。居間で暖炉の火を眺めながら、徳利におちょこで飲む。ぬる燗にすれば最高である。いまから楽しみだ。

酒は、「魔の水」ともいわれる。酒のなかったミクロネシアの村やイヌイットたちの世界に酒が入ったとき、彼らの多くが「魔の水」に魂を奪われた。怪しいものほど魅惑的だというのが世の習いだが、こんなものを発明した人間は罪深い。しかし、私は、結構感謝している。

私は、酒はあまり強くはないが好きではある。美味しい酒を、ほどほどに少し、楽しんで飲む。そうありたいものだ。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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