燃油サーチャージ廃止ならず

つむじかぜ516号より


「原油価格が60米ドルを切ったら燃油サーチャージは廃止」という規定があった。この場合の原油価格とは「シンガポールケロシン市況価格」のことをいうが、昨年の12/1から1/31は、平均で71.02米ドル。1月は、60米ドルを切る日もあり燃油サーチャージ廃止間近と期待された。

ところが、全日空は、2月10日、この基準を米ドルから日本円に変更し、その金額を6,000円にすると発表した。現在のレートに換算すると約50ドル。日本航空も同様の措置を取るそうだ。したがって、燃油サーチャージの廃止は当分の間、遠退いたことになる。

全日空は、その理由を、『昨今の原油価格や為替レートの急激な環境変化を考慮し透明性のある対応をするため』としているが、円高のときは為替の問題には触れず、円安になったら為替への対応を言い出すとはどういうことなのか。燃油サーチャージを取り続けたいがためのご都合主義ではないのか。

全日空のホームページには、燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)とは?と題して以下のような説明がある。『燃油特別付加運賃とは、原油価格の高騰に伴い、企業努力で吸収しきれない航空燃料費用の一部をお客様にご負担いただく追加運賃のことです。本来、航空燃料費用は航空運賃に含まれるべきものですが、航空燃料価格の不安定な変動に対応するため、またお客様にわかりやすく提示させていただくため、通常の運賃とは別に収受させていただいております。』

航空燃料費の一部を、燃油サーチャージとしてご負担いただくという説明だが、その追加負担は、原油価格が60米ドルを切ったら『航空燃料価格の不安定な変動に対応する必要』はなくなるから、廃止すると言ってきたのに、60ドル切りそうになったら、為替の問題を持ち出してきて日本円の6,000円が基準だと言い出した。

そもそも、航空燃料は、買う国によっても燃料費は違う。いったい航空会社がどこの国で何の通貨で燃料を買い、その実勢価格が幾らで、為替の影響がどうなのか、さっぱり私たち旅行会社にも消費者にも分らない。

国際線を飛ぶ航空会社は、日本でも外国でも売上げが発生する。当然、為替の影響を受けるが、円安になれば、日本円の売上げは、ドル換算では大幅ダウン。海外でのドルやユーロでの売上げは、日本円換算では大幅な増になる。しかし、その割合がどれくらいかは、私たちには分らない。

さらには、為替の先物予約なども絡んで各社の事情も異なっている。なのに、「シンガポールケロシン市況価格」などという一定の基準を定めて、各社の事情に関係なく、一定の燃油サーチャージを公然と取ること自体がおかしい。

「企業努力で吸収しきれない」からだというが、為替レートや感染症の流行やテロの発生だって同じはずだ。そのリスクで失ったものを誰かが補償してくれるなら、そんな 楽な商売はない。

海外旅行がずっと低迷している理由は、高額な燃油サーチャージにあるという指摘もある。航空運賃より高い燃油サーチャージも珍しくない。今、「燃油サーチャージは下がるが航空運賃は値上げされるかもしれない」という懸念が広がっている。そんなことがないことを願いたい。

★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。

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