壱岐

*風のメルマガ「つむじかぜ」659号より転載

壱岐が長崎県だと知っている人は少ない。私もそうだったが、場所すらはっきりしない人も多かろう。中には先日世界遺産に登録された沖ノ島と間違える人すらいる。歴史に詳しい人なら「壱岐・対馬」でセットで頭の中に入っている方もいるかもしれない。

対馬と九州の間、玄界灘に浮かぶ東西14㎞、南北17㎞、最高標高213m、人口が約25,000人の島である。観光のピークは7~9月の夏季で、海水浴客が主だそうだ。遠浅で綺麗な海が人気を呼んでいる。ただ、近年は、全国的に海水浴客自体が減少しているので嘗てのような賑わいはないようだ。

「神々の集う島」ともいわれる壱岐には、古い神社も多い。今回参拝した月読神社は西暦480年には存在したという記録が残っている。月読命は、古事記にはほとんど登場しないから目立たないが、この神社の古さには、同行した神社好きの仲間が驚き興奮していたくらいだ。

古墳も200以上あるし、弥生時代の村落を再現した施設もあり、その上、魏志倭人伝の時代に遡る資料が展示された「一支国博物館」がある。同博物館のHPでは「中国の歴史書『魏志倭人伝』に『一支国(いきこく)』と記された壱岐。古代日本を物語る貴重な資料が島内から多数出土しているが、これらを一堂に展示しているのが一支国博物館である。」と、歴史好きには堪らない説明がされている。この日は休館日で残念にも行けなかった。

今回は、観光以外にもう一つ目的があった。旅行産業経営塾の塾生が主催する異業種交流会に参加することである。投宿したビューホテル壱岐の吉田繁社長もこの交流会の島内の主催者をされており、活発な島の交流の中心におられた。何でも、赤字でもいいから集まって飲むことから何かが始まる。これがやり方らしい。何といっても若い人が多く嬉しかった。

今、地方創生で温度差はあるものの、活発に動いている地域もある。単に助成金頼みの事業ではなく、自らリスクを取って、島の伝統や産業を復活させようと頑張っている人たちが集まっていた。

途絶えてしまった日本酒造りを復活させた人、小さな6つの焼酎蔵を合併し一つの蔵にして販売を増加させている若頭首、日本一(?)ジャムを売る八百屋の主人。小企業の仕事のよろず相談を受けるサポートセンターの職員、プサンから来た企業経営者、等々、様々な人間たちが、壱岐を盛り上げていという意識を共有して集まってきていた。

離島は面白い。いつも私はそう感じる。なにかその島独特の匂いがあり、島を意識した人々がいる。博多港から高速船で約一時間で行ける。是非、訪れて頂きたい。


★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。


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