日経プラス10

*風のメルマガ「つむじかぜ」673号より転載

私が住むマンションは14階建てで、10階の私の部屋からは富士山が望める。ところが近年、春は晴れていても富士山が見えない日が多くなってきた。特に今年は3月後半から殆ど隠れている。丹沢の山裾も“もやっていて”とにかくスッキリしない。原因は、PM2.5なのか黄砂のせいなのかは分からない。

一時PM2.5について騒がれたが、最近はマスコミでもほとんど取り上げなくなった。まさか、政治的な思惑によって報道に影響が出ているなどとは思いたくないが、最近のあれやこれやの事件を見ていると、政治的な忖度が絡んだ事象が多く、何が本当なのか判らなくなってくる。疑いたくはないが信じる気にもなれない。

最近は、BSジャパンの『BSニュース 日経プラス10』をよく見る。12チャンネルの『ワールドビジネスサテライト』にも出ていた小谷真生子氏がメインキャスターを務めており、日本経済新聞社や日経BP社など日経グループ各社及びテレビ東京が共同で作り上げる報道番組だ。小谷キャスターがその道の専門家を招きインタビューをする。これが目玉である。

今週の火曜日は東京大学の加藤泰浩教授が招かれ、レアアースの開発状況を解り易く説明していた。テンポ良く小谷氏のインタビューに答え、非常に明快に言葉をつなぐ。久しぶりに気持ちのいいクレバーなやり取りを聴き、大変気持ちが良かった。しかも生放送だからその緊張感が素晴らしい。

それにしても、レアアースの報道には驚いた。最近になく日本にとっていい話だ。日本の最東端にある南鳥島周辺の海底に、世界の消費量数百年分のレアアースが存在していることが明らかになったというのである。これが、商業ベースで採掘可能になれば、供給が安定し中国の馬鹿げた高値に悩まされることもなくなるという。レアアースはLEDや電気自動車に多く使われており、今後、新しい技術開発には欠かせない資源だそうだ。

こういうニュースは政治的な取引で報道規制されることもないだろうし、経済の世界だから客観性は保たれていると思う。トランプ大統領が出現してから政治はすべてディール(取引)になった。だから脅しとすかしの世界で、思想性のかけらもない。尊敬や理想や夢など全く感じられない。もう耳にするのもうんざりである。


★弊社代表取締役原優二の「風の向くまま、気の向くまま」は弊社メールマガジン「つむじかぜ」にて好評連載中です。


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